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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0003A01: 其中にあり。或は天を愼み地を危み。然べきは人に
Z15_0003A02: 勝れん事を思ひ。賤しき者人にひとしからん事を歎
Z15_0003A03: き。いみじき心有人も心ならぬ事に隨つて。たえぬ
Z15_0003A04: 事を。はげみ。人の心を憚り我身を愼み。苦しきに
Z15_0003A05: も休事なく。行たきにも留まり時をたがへしと。は
Z15_0003A06: げみ終り。吉んと思ふ程に閑かなる暇なければ。後
Z15_0003A07: 世の事も不知。自知人も。はかなくよしなき。世間
Z15_0003A08: の營に心を留めて。しばしも急べき後の世を忘れて
Z15_0003A09: 必人を恨みいきどをりをなす。去去て不來は盛りな
Z15_0003A10: る年。來り來つて不去ば衰へたる齡ひなりと云り。
Z15_0003A11: 實に高きも。賤も形體替り。其身衰へぬれば。隨つ
Z15_0003A12: て病出來。亦振舞しはざ事の外に見苦敷迄なるは。
Z15_0003A13: 只年のよる一の故也。是を云に數多の苦みはれぬべ
Z15_0003A14: し。又人を見に鏡よりもあらはなり。然るに世の末
Z15_0003A15: はいよいよ人の命短く成行と云り。況んや盛り過た
Z15_0003A16: らん人の。殘る月日を算て急ても不急哉。實に過に
Z15_0003A17: し方の悅び歎き。只今と思ふらん。行年月は夢見る
Z15_0003B01: 心地して。こし方を思ふに。行末も程あらじ。又年
Z15_0003B02: を恨るのみならず。心の外の事幾哉。是色をさし數
Z15_0003B03: を記すに難及。只心靜に思はん。其人の前に細にあ
Z15_0003B04: るべし。
Z15_0003B05: 第三に捨と者。夫不定の此世を祈る人は多。
Z15_0003B06: 一定の後世を知る人は少し。人は無墓我は賢しと。
Z15_0003B07: いみじからん事を營む程に。恣に萬を罪の造る是な
Z15_0003B08: り。但し後世を思にも人を嫌ひ。力によらば限りあ
Z15_0003B09: り。然るに其品品に隨て。佛數多に說給ふ。或は罪の
Z15_0003B10: 深き淺き。人の賢き愚なる。物に堪ぬると不堪と。又
Z15_0003B11: 少きと老たると。病の有無までも不捨人に隨ふ敎へ
Z15_0003B12: あり。隨つて妙なる事も一に非ず。野山の草木。海
Z15_0003B13: 川石瓦にいたる迄。我身を助くれば。佛に供養して
Z15_0003B14: 功德にならぬと云物はなし。是を分つに暇まあらず。
Z15_0003B15: 法華經の方便品を可見。殊に佛の御弟子。比丘比丘
Z15_0003B16: 尼優婆塞優婆夷と云は。僧尼男女なり。彼此を聞に
Z15_0003B17: 漏不遁。かかる世に遇て空く過なば。閻魔王の廳

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