浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| Z15_0002A01: | の說給へるを經と申し。菩薩の釋し給へるを論と名 |
| Z15_0002A02: | づけ。人の造るをば文と云。又三寶と申すは。佛と法 |
| Z15_0002A03: | と僧との三なり。是を都て佛法と申すべき也。其故 |
| Z15_0002A04: | は彼十方三世の諸佛菩薩と申も。其說給ふ所の法門 |
| Z15_0002A05: | 聖敎と云も。只我等が三界の苦しみの中に有を愍み |
| Z15_0002A06: | て。淨土に參れと。のたまふ事。草木の草に隨ふ露 |
| Z15_0002A07: | の如く。人に隨ふ敎へなり。是大恩敎主釋迦牟尼如 |
| Z15_0002A08: | 來。不レ輙して說弘め給ひし事を。諸の菩薩大師達。 |
| Z15_0002A09: | 天竺唐土の嶮しく遙かなるより。風波を不レ厭。危き |
| Z15_0002A10: | 船に命ちを忘れて。是を渡し給ふは。特に我朝の衆 |
| Z15_0002A11: | 生を助け給はんが爲なり。是を思ひ知らば善と云。 |
| Z15_0002A12: | 思ひ不レ知を惡と可レ申なり。 |
| Z15_0002A13: | 第二に人の生るるより。終る迄の有樣と者。此世に |
| Z15_0002A14: | 生るる程の人。心に叶ひ久は不レ急しても有ぬべし。 |
| Z15_0002A15: | 又惡道の苦しみななめならずば。極樂を願はでも過 |
| Z15_0002A16: | なん。然るに齡ひも憑み少なきに。思ひを遙かに述 |
| Z15_0002A17: | て。千秋萬歲と祝ふ事こそ。實に迷ひの至りなれ。 |
| Z15_0002B01: | 昔し四人の仙人ありき。各此世に留まる謀を營み。 |
| Z15_0002B02: | 獨獨或は山に隱れ海に入。虛空に登り市の中にまぎ |
| Z15_0002B03: | れしか共。かかる仙人だにも四人の中に一人も留ま |
| Z15_0002B04: | りたるはなし。或は唐土に賢かりし御門。此世に久し |
| Z15_0002B05: | くをはせんとする御心を空に知れて。西王母が三千 |
| Z15_0002B06: | 年に一度。華さき實なる桃を奉る程に成しか共。終に |
| Z15_0002B07: | 此死を不レ遁玉ハ。或は命を惜みて臂をおりしも。其亦爾 |
| Z15_0002B08: | なり。是に不レ限加樣に謀あるもなきも。此世は實に |
| Z15_0002B09: | 假の栖かなり。昔を聞に只留まるは名のみ計なり。 |
| Z15_0002B10: | 古しの人の形見には。只書置筆のすさみなり。亦今 |
| Z15_0002B11: | も昔とならん事を。事新く墓なしと云も。實にをろか |
| Z15_0002B12: | なり。朝には華を見る人も夕の風に隨ひ。宵には月 |
| Z15_0002B13: | を詠る人も曉の雲に隱れぬと云り。實に常ならぬ事 |
| Z15_0002B14: | は。只をくれ先立計なり。設ひ久かるべくとも何の益 |
| Z15_0002B15: | かあらん。又人久しくは我を悲み我久しくは人を歎 |
| Z15_0002B16: | き。恨を殘さずと云事あらじ。されば盛りならんを打 |
| Z15_0002B17: | 憑みて何か空く過ん。猶暫留まるとも。世間の苦しみ |