浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0290A01: | かば。さても敎下に。死在せらるゝ。鈍な人かなと。笑 |
Z14_0290A02: | ふべし。 さて千代野は。敎外の悟りなれば。敎者な |
Z14_0290A03: | どの。折め正しく。禮儀三百。威儀三千の法を設け上 |
Z14_0290A04: | 下混ぜぬ樣にとて。君臣凡聖を分ち。位を定て修行す |
Z14_0290A05: | る悟りとは。大に殊なり。故に。禪家は兎も角も。若し |
Z14_0290A06: | 敎家より。これを勘辨せば。千代野などは。六卽を以 |
Z14_0290A07: | て。定めぬことなれば。其悟りの程が。凡じややら。聖 |
Z14_0290A08: | じややら。しかとは極め難し。譬へば。種姓のしれぬ。 |
Z14_0290A09: | 山がつが。殿上の改務を。語るが如し。咄を聞けば。殿 |
Z14_0290A10: | 上のことなれども。いかにしても。種姓が知れぬ程 |
Z14_0290A11: | に。一の人。左右の大臣とも。云れず。又檢非違使。藏 |
Z14_0290A12: | 人とも。申されねば。たゞ山がつの事知と。名け置が |
Z14_0290A13: | 如し。かの馬鳴。龍樹。南岳。天台等の如き。みな次位 |
Z14_0290A14: | を知て。悟り玉へるは。譬へば。種姓の知れたる顯官 |
Z14_0290A15: | の。本職の政事を。語るが如し。故に其位。或は五品。 |
Z14_0290A16: | 十信。初地。八地なんど。明かに知るゝなり。千代野な |
Z14_0290A17: | どは。彼の山がつの事知にて。そこのぬけたる。咄は |
Z14_0290B01: | すれども。其位は知れ難し。因て前に。禪人格外の鈴 |
Z14_0290B02: | 鎚などは。次位を立る。修行の例に。なりかぬべしと |
Z14_0290B03: | 云へるは。是のことなり。よく〱了知すべし。 |
Z14_0290B04: | 如レ此なれば○能く悟るものなり。 貴女の思惟。橘 |
Z14_0290B05: | 后。賤婦の千代野。文盲なる男の。からうすふみ。獵人 |
Z14_0290B06: | とは。思はるれど。思惟は。初地の大菩薩にて。餘はみ |
Z14_0290B07: | な。敎外の悟りなれば。敎內にて。愚人を勸る例には。 |
Z14_0290B08: | 一向とり合ぬこと。上の如し。 |
Z14_0290B09: | 今の世とても○にてはなし。 尤も左も有んかなれ |
Z14_0290B10: | ども。たゞしそれは。並頭の蓮なり。烏曇の華なり。彈 |
Z14_0290B11: | 々章にの玉ふ通り。今の世に。眞修の人は。麟角の如 |
Z14_0290B12: | くなれば。其悟りを開くことも。彌よ萬中無一なら |
Z14_0290B13: | ん。さて。善き敎へを受けずとも。器量なる人は。無 |
Z14_0290B14: | 師獨悟すべし。天台は。自解佛乘し。蒲州には。不聽泰 |
Z14_0290B15: | あり。縱ひ善き敎へを受けたりとも。智慧明らかに。 |
Z14_0290B16: | ならぬも有りなん。四明。慈雲。傳敎。慈覺。樂天。天覺 |
Z14_0290B17: | 等の人々は。一生の內。五品十信の。智慧明らかにな |