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Z1440 即心念仏摘欺説 敬首 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0288A01: にて。悟道したる。貴賤男女の。事跡をあげ。六卽の階
Z14_0288A02: 級をば。捨置つゝ。漫りに今日の。平凡夫の例にせむ
Z14_0288A03: と。ひしめかるゝ序分にて。無智の俗子など。ざつと
Z14_0288A04: これを聞ば。甚だ惑ふべきことなれば。言の費をかへ
Z14_0288A05: りみず。如是諫曉する者なり。
Z14_0288A06: 昔しの龍女○畜生なり。 此は。夢中の邪味あり。
Z14_0288A07: さて。畜生の作佛といへば。況や人をやと。心安き樣
Z14_0288A08: に聞ゆれども。此龍女は。實は圓の初住にて。南岳天
Z14_0288A09: 台なども。及び玉はぬ。權化なれば。今日の犬猫など
Z14_0288A10: の。悟りを開く。手本とはならず。又この龍女の作佛
Z14_0288A11: には。權實の論ありて。殊の外むづかし。よく〱台
Z14_0288A12: 家の。智者達に尋ぬべし。
Z14_0288A13: 觀經の當機衆なる○女人なり。韋提大士。五百の侍
Z14_0288A14: 女も。皆また。常の凡倫には非ず。故に四明云。韋提。
Z14_0288A15: 本住法身。爲起淨土觀法。故示同凡と。又云。
Z14_0288A16: 多約相似。明發心位と。是なり。如是。三賢十聖の。
Z14_0288A17: 御身なれば。事理兼修なさるゝが。尤のことなり。
Z14_0288B01: さて又。上の龍女と。此の韋提とは。何と思ふ心にて。
Z14_0288B02: いらなく引れたるや。先づ龍女は。旣に智積菩薩さ
Z14_0288B03: へ。疑ふ程の。希有なる聖人なり。次に韋提は。淨土を
Z14_0288B04: 開發し玉ふ。法忍の薩埵なり。然ればこの二大菩薩
Z14_0288B05: は。女流に居すと雖も。大丈夫も及ばざれば。百萬の
Z14_0288B06: 中に。ひとりもなき。不可思議の境界なり。然るに。古
Z14_0288B07: 今の往生傳に。稱名の行に依て。めでたく出離せし。
Z14_0288B08: 僧俗貴賤男女。及び鳥獸の。唐日本かけて。夥敷ある
Z14_0288B09: 靈驗をば。一つも擧ず。さらずともと見ゆる。二大菩
Z14_0288B10: 薩をば。牽强して。今日十惡具足の者を勸る。手鑑に
Z14_0288B11: 出さるゝこと。さて〱不思議なる。思ひ入れかな。
Z14_0288B12: 六祖大師は○大祖師となれり。此より下。無相空寂
Z14_0288B13: なるべしまでは。敎外の大機大用を出せり。凡そ禪と
Z14_0288B14: 敎とは。悟道の處は。各々言語道斷なれば。一異いひ
Z14_0288B15: 難し。但し其入門は。大に殊なり。故に禪流の。卽心是
Z14_0288B16: 佛の頓旨は。更に次第方便をからざれば。直下に承當
Z14_0288B17: す。敎家の六卽を明して。天然の彌勒なき證入とは。

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