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Z1440 即心念仏摘欺説 敬首 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0273A01: 人また例の。地上に濫巾せる者歟。さて。觀行已前
Z14_0273A02: の。あら凡夫の人ならば。いかにも生の見は。離れぬ
Z14_0273A03: 程に。往生の時。涙を浮むるが。至極相應にて。正直な
Z14_0273A04: り。涙を浮めぬは。虛なるべし。遺敎云。若所作未
Z14_0273A05: 者。見佛滅度。當悲感と。これ則ち位に據れば。三
Z14_0273A06: 藏の內凡已還なり。されば雙林の終り。未離欲の人々
Z14_0273A07: は。宛轉として。地にまろびて。胸を打て。なかれしこ
Z14_0273A08: と。尤のことなり。外凡博地などの。悟りがほしてな
Z14_0273A09: かぬは。出家にもあれ。在家にもあれ。恥辱のことな
Z14_0273A10: りと。南山大師も。の玉ひぬ。なれば死する時。涙をこ
Z14_0273A11: ぼすは。凡夫の身の上には。尤千萬なるに。それを笑
Z14_0273A12: ふは。成る程。聞へぬなり。さて又。今時のあら凡
Z14_0273A13: 夫。無生を修證せる樣に。不了簡し。地上深位のまね
Z14_0273A14: をして。死ぬるの。生るゝのと。云ことはなしと云。羊
Z14_0273A15: 質虎皮の者などが。死ぬる時。涙を浮めば。これをば
Z14_0273A16: 笑ふべし。何者。つね〲の虎皮が。此時に顯はるれ
Z14_0273A17: ばなり。この惡見なる者の死骸をば。宜く狗糞を灑ひ
Z14_0273B01: で。焚くべしとかや。さて。無生忍の菩薩は。生死に
Z14_0273B02: 於て。大自在を得玉ふ故。不生不滅の見。明らかなれ
Z14_0273B03: ば。極樂へ往生し玉ふが。この閻浮の人の。月見花見
Z14_0273B04: に行くが如く。心面白く思ひ。いさみすゝんで。行き
Z14_0273B05: 玉ふなり。不生の故に面白く。不滅の故に。すゝむな
Z14_0273B06: り。龍舒淨土文云。無生法忍者。生死自如。生死自如
Z14_0273B07: 者。隨意所欲。無自在と。云云未離欲の凡夫は。外
Z14_0273B08: 物に惑はされて。自在を得ず。故に不生不滅の理を聞
Z14_0273B09: けども。よく信ずることもならず。況や修證をや。唯
Z14_0273B10: とにかくに。學問するばかりのことなれば。正しく死
Z14_0273B11: ぬる時は。閻浮に心止りて。なごりをしく。涙もこぼ
Z14_0273B12: るゝなり。それ故にこそ。か樣のあら凡夫には。佛方
Z14_0273B13: 便めぐらして。臨終行儀と。云ことを拵へて。御手の
Z14_0273B14: 絲や。善知識の勸めなどを。敎へ玉ひぬれ。か樣の善
Z14_0273B15: 緣に。遇ふ者を見るにも。なを心は。とくと斷かぬれ
Z14_0273B16: ど。やう〱押すくめ。表むきは。まづ執心の。斷た分
Z14_0273B17: にて。命終するぞかし。されば易往而無人の。御誡も

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