浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0273A01: | 人また例の。地上に濫巾せる者歟。さて。觀行已前 |
Z14_0273A02: | の。あら凡夫の人ならば。いかにも生の見は。離れぬ |
Z14_0273A03: | 程に。往生の時。涙を浮むるが。至極相應にて。正直な |
Z14_0273A04: | り。涙を浮めぬは。虛なるべし。遺敎云。若所作未レ辨 |
Z14_0273A05: | 者。見二佛滅度一。當レ有二悲感一と。これ則ち位に據れば。三 |
Z14_0273A06: | 藏の內凡已還なり。されば雙林の終り。未離欲の人々 |
Z14_0273A07: | は。宛轉として。地にまろびて。胸を打て。なかれしこ |
Z14_0273A08: | と。尤のことなり。外凡博地などの。悟りがほしてな |
Z14_0273A09: | かぬは。出家にもあれ。在家にもあれ。恥辱のことな |
Z14_0273A10: | りと。南山大師も。の玉ひぬ。なれば死する時。涙をこ |
Z14_0273A11: | ぼすは。凡夫の身の上には。尤千萬なるに。それを笑 |
Z14_0273A12: | ふは。成る程。聞へぬなり。さて又。今時のあら凡 |
Z14_0273A13: | 夫。無生を修證せる樣に。不了簡し。地上深位のまね |
Z14_0273A14: | をして。死ぬるの。生るゝのと。云ことはなしと云。羊 |
Z14_0273A15: | 質虎皮の者などが。死ぬる時。涙を浮めば。これをば |
Z14_0273A16: | 笑ふべし。何者。つね〲の虎皮が。此時に顯はるれ |
Z14_0273A17: | ばなり。この惡見なる者の死骸をば。宜く狗糞を灑ひ |
Z14_0273B01: | で。焚くべしとかや。さて。無生忍の菩薩は。生死に |
Z14_0273B02: | 於て。大自在を得玉ふ故。不生不滅の見。明らかなれ |
Z14_0273B03: | ば。極樂へ往生し玉ふが。この閻浮の人の。月見花見 |
Z14_0273B04: | に行くが如く。心面白く思ひ。いさみすゝんで。行き |
Z14_0273B05: | 玉ふなり。不生の故に面白く。不滅の故に。すゝむな |
Z14_0273B06: | り。龍舒淨土文云。無生法忍者。生死自如。生死自如 |
Z14_0273B07: | 者。隨二意所欲一。無レ不二自在一と。云云未離欲の凡夫は。外 |
Z14_0273B08: | 物に惑はされて。自在を得ず。故に不生不滅の理を聞 |
Z14_0273B09: | けども。よく信ずることもならず。況や修證をや。唯 |
Z14_0273B10: | とにかくに。學問するばかりのことなれば。正しく死 |
Z14_0273B11: | ぬる時は。閻浮に心止りて。なごりをしく。涙もこぼ |
Z14_0273B12: | るゝなり。それ故にこそ。か樣のあら凡夫には。佛方 |
Z14_0273B13: | 便めぐらして。臨終行儀と。云ことを拵へて。御手の |
Z14_0273B14: | 絲や。善知識の勸めなどを。敎へ玉ひぬれ。か樣の善 |
Z14_0273B15: | 緣に。遇ふ者を見るにも。なを心は。とくと斷かぬれ |
Z14_0273B16: | ど。やう〱押すくめ。表むきは。まづ執心の。斷た分 |
Z14_0273B17: | にて。命終するぞかし。されば易往而無人の。御誡も |