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Z1430 即心念仏弾妄録細評 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0222A01: りたることなるに。大悲だては早すぎたり。一家の敎
Z14_0222A02: 觀は。邪解にて。大悲だてをせらるゝは。無目而導く
Z14_0222A03: なり。笑止なることなり。彼の人若し眞實に大悲なら
Z14_0222A04: ば。幸いに天台宗にてはあり。先師の弟子一分と。思
Z14_0222A05: はるゝほどに。卽心念佛を。勸めらるゝ筈のことな
Z14_0222A06: り。卽心念佛は。名を聞くも。大ひなる功德あり。爲種
Z14_0222A07: 亦强と釋し玉ひて。事の念佛に。結緣するより。大ひ
Z14_0222A08: に功德あることなるに。それをば結句邪義と云るゝ
Z14_0222A09: は。天台宗の大悲とは。曾て云れぬことなり。名利壅
Z14_0222A10: 己が。實なるべし。さて又。天台宗と云意を 知られぬ
Z14_0222A11: なり。それゆへ。譯もなきことを。多く云るゝなり。天
Z14_0222A12: 台宗と云は。圓宗と云に非ずや。四敎を立て。八敎を
Z14_0222A13: 沙汰すれども。通宗別宗とは。云ぬなり。因て四明。文
Z14_0222A14: 璨法師に。授け玉ふ辭に云。天台命宗。以偏圓一揆
Z14_0222A15: 乎敎。以境智不二乎觀との玉へり。此れ則ち。
Z14_0222A16: 四敎。八敎を立つれども。天台宗と名くるは。偏圓一
Z14_0222A17: 揆。境智不二の旨を以て。天台圓宗と名くと。の玉へ
Z14_0222B01: り。此文。能く心妄られよ。台宗に事理の二行あり。有
Z14_0222B02: 相無相の二行を明せども。事理不二が。正しき天台宗
Z14_0222B03: なり。事の念佛を弘むるが。何ぞ必ず天台宗ならん。
Z14_0222B04: 有相無相の二行をば。此亦一往。分於二人。究竟而論。
Z14_0222B05: 二行互顯と釋して。有相無相を分つは。一往なり。彼
Z14_0222B06: の人は。事理の二行を。固く分たるゝゆへ。一往の說
Z14_0222B07: を執して。究竟而論に昩き。偏見なり。次に彼の人
Z14_0222B08: の。此段は。天台。四明。慈雲の意に。大ひに相違せ
Z14_0222B09: る。云分なり。先づ天台の十疑論を。事の念佛と計り
Z14_0222B10: 云るゝこと。十疑論を。みぬ人の。云樣なることなり。
Z14_0222B11: 今具さに。指し示したらば。亦心𤍠し面赤かるべし。
Z14_0222B12: 十疑論は。前の九問答は。淨土の法門に就ての。問答
Z14_0222B13: なり。第十疑が。淨土の行業の問答なり。淨土の行業
Z14_0222B14: に。二種あり。一つには。厭離行。此れは。不淨觀を示
Z14_0222B15: し玉へり。二つには。欣願行。此れに亦二つあり。一つ
Z14_0222B16: には。菩提心なり。往生論注の意にて。法然上人の。念
Z14_0222B17: 佛を抑ふと。の玉へるとは。大ひに違へる。勸めなり。

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