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Z1420 即心念仏弾妄録略箴 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0197A01: 念の字に改むれば。觀佛と。念佛とが。分るゝゆへな
Z14_0197A02: り。かく云ても。得合點せられずば。賢き人に問て見
Z14_0197A03: られよ。さて約心念佛と云ことなしと云て。とがめ
Z14_0197A04: らるゝは。此れ亦此方の書たるものを。ろくに見られ
Z14_0197A05: ぬなり。筆誤と云次に。卽心とも云。約心とも云こと。
Z14_0197A06: 境觀要門の如しと。書き置けるは。見られざるか。觀
Z14_0197A07: 佛を。約心とも云ひ。卽心とも云ば。念佛も亦約心とも
Z14_0197A08: 云れ。卽心とも云るゝなり。名に迷ふて。義に眛き。彼
Z14_0197A09: 人の癖が出るゆへ。疑はるゝなり。名がなしと云ば。
Z14_0197A10: 天台。四明の言に。理持と云名はなきに。何とて理持
Z14_0197A11: を。信仰せらるゝや。其譯。承りたし。さて三年に及
Z14_0197A12: ぶまで。何とも云ずと云るゝは。不正直なる。云分な
Z14_0197A13: り。なるほど。三年にはわたれども。其實は。談義本を
Z14_0197A14: 書き畢りしは。享保十二年朧月下旬なり。或問を書き
Z14_0197A15: 始めしは。十四年正月十三日なり。然れば。實數は一
Z14_0197A16: 年廿二日なり。一年十一箇月餘の。そらざやあり。兎
Z14_0197A17: 角仰山に聞ゆる樣にと云心にて。三年に及ぶと。書れ
Z14_0197B01: たり。彼人は。加樣の不律儀なる云分が。甚だ多きな
Z14_0197B02: り。三年にても。五年にても。氣の付ぬことは。多きも
Z14_0197B03: のなり。それゆへ今に文字など。改むることなり。
Z14_0197B04: 但の字顛倒とは何と妄見せらるるや但の字當の字の
Z14_0197B05: 上に在ても。なる程此方の云分に符ふなり。
Z14_0197B06: 箴曰。此亦。此方の書たる處を。合點もせずして。云る
Z14_0197B07: ゝことなり。或問に。尤も加樣の言は。當の字の上に。
Z14_0197B08: あることあれども。今彼人の見樣にては。顛倒なり
Z14_0197B09: と。云置けり。當の字の上に。但の字なき筈とは。云ぬ
Z14_0197B10: なり。但當の。深當の。なともあるゆへに。加樣の言。
Z14_0197B11: 當の字の上にあることありと。云置けり。此れは見ら
Z14_0197B12: れざるか。さて今彼人の見樣にては。顛倒なりと云
Z14_0197B13: は。見られざるか。さて又。但の字をよく見られよ。卽
Z14_0197B14: 心の理觀を修せざれども。たゞ口稱念佛と。云るれ
Z14_0197B15: ば。たゞの言は。稱の字にかゝるに非ずや。此れに依
Z14_0197B16: て。彼人の見樣にては。顛倒と云なり。兎角。精細なる
Z14_0197B17: 議論は。一圓得合點せられぬなり。哀れなることか

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