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Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0177A01: えたり。因て上人の一生。厭離穢土。欣求淨土を說て。
Z14_0177A02: 事の稱名念佛を勤めもし。弘めもし玉へるは。皆これ
Z14_0177A03: 夢の吿を謹んで奉行し玉ふが故なり。もし其方の如
Z14_0177A04: く。往生要集は。理觀理持が本意なれば。此集を吿玉
Z14_0177A05: ふからは。上人の自利利他は。卽心念佛決定なりと云
Z14_0177A06: れば。上人の一代。專ら偏へに。卽心念佛〱と。の玉
Z14_0177A07: ふべき筈なるに。傳の中。上人の自行化他終に卽心念
Z14_0177A08: 佛と云ことは。一處もなきは何としたることぞや。但
Z14_0177A09: し夢の吿は。なる程本意なる理觀の卽心念佛なれど
Z14_0177A10: も。上人は夢の吿を用ひず。吿に背て。たゞ事の稱名
Z14_0177A11: 念佛にて。自利利他し玉ふと云。證文もあることなり
Z14_0177A12: や。
Z14_0177A13:  菴主曰。上に云所の如くなれば。眞盛上人は。傳敎。
Z14_0177A14:  慈覺。慈慧。慧心の御心を能く知て。卽心念佛を。弘
Z14_0177A15:  め玉ひしこと決定なるべし。特に慈慧大師は。彼寺
Z14_0177A16:  の開山なり。豈彼の大師の心に順ぜざらんや。眞盛
Z14_0177A17:  上人が。眞盛上人でなくは。それは格別のことなり。
Z14_0177B01:  今時の眞盛派の人の。卽心念佛を。得弘めぬは。彼
Z14_0177B02:  人の先師の弟子と思ふて居ながら。先師一生の心
Z14_0177B03:  要たる卽心念佛を。得弘られぬたぐひなるべし。
Z14_0177B04: 彈曰。傳敎。慈覺。慈慧大師の念佛。西方の佛を。唯心
Z14_0177B05: 法界と觀ずる所の。卽心念佛なりと云こと。上に云る
Z14_0177B06: ゝ所にては。曾て分明ならぬことなり。縱ひ諸大師各
Z14_0177B07: 々卽心念佛なるにもせよ。眞盛上人の自行化他は。其
Z14_0177B08: 卽心念佛には非ず。我たゞ稱名念佛を行ずと。明かに
Z14_0177B09: 直說し玉ふ。慧心の僧都の御心をよく知て。たゞ事の
Z14_0177B10: 稱名念佛を弘め玉ふこと傳の文昭昭たり。而るを今。
Z14_0177B11: 眞盛上人は。卽心念佛を弘め玉ひしこと。決定なるべ
Z14_0177B12: しと云るゝは。全く傳記に見えぬ。あて推の妄言な
Z14_0177B13: り。もし妄言にてなくば。上人の盛んに念佛を弘め玉
Z14_0177B14: ふ。江勢越賀の間。何れの處にて。卽心念佛を。弘め玉
Z14_0177B15: ひたるや。其弘め玉ひたる處處を。分明に承りたし。
Z14_0177B16: 本よりあて推の妄言なれば。其處を出すことは。決定
Z14_0177B17: してなるまじきなり。又其樣に決定して。卽心念佛を

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