浄土宗全書を検索する
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| 巻＿頁段行 | 本文 |
|---|---|
| Z14_0175A01: | は。其方自分の作ならずや。後にも。自分の作の。行業 |
| Z14_0175A02: | 記を證文に出ささたり。此は可笑こと。世上にて。緣 |
| Z14_0175A03: | 者の證人さへ。人の慥かには。思はぬことなるに。他 |
| Z14_0175A04: | 人と議論するに。自作の文を引て。自分の義の證據と |
| Z14_0175A05: | せらるゝを。誰の有智なる人が。受取べきや。但し其 |
| Z14_0175A06: | 方の作をも。佛祖の敎文の樣に。頂戴信受する人もあ |
| Z14_0175A07: | るべしと思ふて。引るゝや不審なり。いま眞盛上人傳 |
| Z14_0175A08: | 論に。記すが如しと云るゝ程に。かの傳論を見るに。 |
| Z14_0175A09: | 凡其所レ示淨土之法。專爲二愚士庸人一。而無レ有二理持妙觀 |
| Z14_0175A10: | 之說一といへり。此傳論に。凡其所レ示すとある。凡の字 |
| Z14_0175A11: | は。上人一代の淨土の敎示を。總じてさしたるものな |
| Z14_0175A12: | り。又專爲二愚士庸人一とあるは。上人一代の示しは。上 |
| Z14_0175A13: | 根利智の爲なる。卽心念佛にてはなく。專ら偏へに。 |
| Z14_0175A14: | 愚癡凡庸の人の爲に。事の稱名念佛を示し玉ふと云 |
| Z14_0175A15: | 意なり。因て次下に。無レ有二理持妙觀之說一と。明かに |
| Z14_0175A16: | 結せられたり。此論は。かの傳の始終にはよく符合 |
| Z14_0175A17: | し。此度云るゝとは。大に相違すること。水火の各々 |
| Z14_0175B01: | 異なるが如し。此に知ぬ。傳論は本氣にて。傳記の通 |
| Z14_0175B02: | りを。正直に書れ。此度は妄料簡にて。あて推量を云 |
| Z14_0175B03: | て。墮負を紛らかさるゝことを。四明尊者。山外を破 |
| Z14_0175B04: | して。只將二前後語詞一勘驗。則欺詐顯然。還知二慚恥一否 |
| Z14_0175B05: | との玉へるを。此處にて亦云たきなり。次に上人の |
| Z14_0175B06: | 本意。自行の勤めは。決定して卽心念佛なるべしと |
| Z14_0175B07: | は。此もかの傳記には。全く見えぬことなり。決定し |
| Z14_0175B08: | て亦あて推なるべし。次に淨土院にて。夢の吿を蒙 |
| Z14_0175B09: | り。往生要集にて。自利利他すとのことなれば。上人 |
| Z14_0175B10: | の勤めは。卽心念佛なること。決定なるべし。往生要 |
| Z14_0175B11: | 集の本意は。理觀理持なること。文に明かに。又無相 |
| Z14_0175B12: | の廻向を勝れたりとし玉へり等とは。今論辨する所 |
| Z14_0175B13: | は。上人は。事の稱名が。卽心念佛かと云ことなり。左 |
| Z14_0175B14: | 樣に。本意の正意のと云穿鑿にてはなし。事理や。有 |
| Z14_0175B15: | 相無相を對論せば。理觀無相。正意にて勝るゝこと |
| Z14_0175B16: | は。此方も合點のことなるに。入ざることを。節節云 |
| Z14_0175B17: | るゝなり。後にも。此度談義本が出て。卽心念佛が。天 |