浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0174A01: | もがあるなり等とは。此は例の餘所ごとを云て。紛ら |
Z14_0174A02: | かさるゝなり。慧心の明白なる直說なれば。此を直に |
Z14_0174A03: | 誤りと云ことはならず。繪詞傳には。よからぬことが |
Z14_0174A04: | あり。彼時分の叡山の學問は。衰へたれば。慧心の問 |
Z14_0174A05: | 答のことをいへる處も。誤りにてもあらんと。餘所な |
Z14_0174A06: | がら聞ゆる樣に。紛らかす合點と見えたれども。左樣 |
Z14_0174A07: | の妄料簡にて。紛らかすことはなるまじ。もし慧心の |
Z14_0174A08: | 僧都。自ら覺超僧都に。たゞ稱名念佛を行ずると。答 |
Z14_0174A09: | へたることは曾てなし。我は本より。卽心念佛を行ず |
Z14_0174A10: | との玉ふとある。慥かなる書の。證文を引て云るゝな |
Z14_0174A11: | らば。さては繪詞傳は誤りなり。慧心の所行は。卽心 |
Z14_0174A12: | 念佛決定なりと。深く信受すべけれども。法然上人の |
Z14_0174A13: | 道德を顯さんとて。結句威光がさがる抔とある。餘所 |
Z14_0174A14: | ごとの紛らかしにて。明白なる慧心の直說を。捨んと |
Z14_0174A15: | することは。堅くなるべからず。 |
Z14_0174A16: | 菴主曰。眞盛上人のことは。色色のことも。之有な |
Z14_0174A17: | り。余が著せる西敎寺中興開山眞盛上人傳論草堂雜錄第三 |
Z14_0174B01: | に載すに記すが如し。眞盛上人の念佛は。隨他意の邊 |
Z14_0174B02: | にて。至極愚癡の輩には。事の念佛を。勸め玉ふこ |
Z14_0174B03: | とあるべし。上人の本意。自行の勤めは。決定して。 |
Z14_0174B04: | 卽心念佛なるべし。因て傳論の末に。上人旣宗二智 |
Z14_0174B05: | 者一。博涉二群籍一。則豈不レ欲下念佛據二於心性一。持律依中於佛 |
Z14_0174B06: | 制上乎と。いへり。今又思ふに。淨土院にて。傳敎大 |
Z14_0174B07: | 師の夢の吿を蒙り。慧心の往生要集にて。自利利他 |
Z14_0174B08: | すべしとのことなれば。上人の勸。卽心念佛なるこ |
Z14_0174B09: | と。決定なるべし。云云 |
Z14_0174B10: | 彈曰。此段も。亦あて推にして。彼上人の傳とは。大に |
Z14_0174B11: | 相違せり。かの傳には。眞盛上人の。一代の自行化他 |
Z14_0174B12: | を明すに。卽心念佛と云ことは。一言一句も終にこれ |
Z14_0174B13: | なく。皆悉く事の稱名念佛なるに。今云るゝ意は。上 |
Z14_0174B14: | 人平生は。卽心念佛を勸め玉ひ。至極愚癡の輩に對す |
Z14_0174B15: | る時は。事の稱名念佛をも。勸め玉ふことあるべしと |
Z14_0174B16: | 云意なれば。かの傳とは明かに相違する妄言なり。 |
Z14_0174B17: | さて其證據に。眞盛上人傳論を引れたり。此傳論と |