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Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0173A01: にて。漉天人魚とあれば。愚癡無智ながら。尼入道も
Z14_0173A02: 人間にてはなしや。已に人間なるからは。漏さず漉ひ
Z14_0173A03: 取る。荆溪の御心なるに。もれても少しもかまはぬと
Z14_0173A04: 云るゝは。また荆溪の文に。違背すること顯然なり。
Z14_0173A05:  菴主曰。慧心の僧都のことは。末にて云べし。繪詞
Z14_0173A06:  傳のことは。受取れぬことなり。總じて彼傳は。先
Z14_0173A07:  頃少少讀て聞きたるに。笑止なること多し。法然上
Z14_0173A08:  人の道德を。顯さんとて。書きたる傳なるが。結句
Z14_0173A09:  法然上人の。威光のさがることどもがあるなり。彼
Z14_0173A10:  時分の叡山の學問は。殊の外衰へて。譯もなかりし
Z14_0173A11:  ことどもなり。
Z14_0173A12: 彈曰。慧心のこと。末にて云べしと云るゝは。廿八葉
Z14_0173A13: の左に。慧心の先德は。慈慧大師。四人の上足の中の
Z14_0173A14: 第一なり。弘め玉ふ所の念佛。慈慧大師と。同じく卽
Z14_0173A15: 心念佛なること決定なり等とある處のことなるべ
Z14_0173A16: し。此れは一圓聞えぬことなり。まづ慈慧大師の念佛
Z14_0173A17: を。西方の佛を。唯心法界と觀ずる所の。卽心念佛な
Z14_0173B01: りと云るゝは。全く信受し難し。縱ひ卽心念佛にもせ
Z14_0173B02: よ。衆生の根性不同にして。師匠は座禪すれども。弟
Z14_0173B03: 子は經をよみ。師匠は經をよめども。弟子は陀羅尼を
Z14_0173B04: 誦することあれば。慈慈大師が。卽心念佛なればと
Z14_0173B05: て。弟子の慧心も。決定卽心念佛なりとは。これ推量
Z14_0173B06: の說なり。かゝるあて推の說は。いか程決定なりと云
Z14_0173B07: れても。さら〱決定なりとは思はれず。古へ覺超僧
Z14_0173B08: 都。直に慧心の僧都に相見して。所行の念佛は。これ
Z14_0173B09: 事を行ずとせんや。これ理を行ずとせんやと問るゝ
Z14_0173B10: を。慧心の僧都。自ら答へて。我たゞ稱名念佛を行ず
Z14_0173B11: るなり。往生の業には。稱名もともたれりと。明白に
Z14_0173B12: の玉へば。かく明白なる慧心の直說を捨て。其方のあ
Z14_0173B13: て推を。誰か決定なりとて。受取ものあらんや。入ざ
Z14_0173B14: る妄說を構へらるゝなり。慧心の直說明白なれば。法
Z14_0173B15: 然流に限らず。天台の先德も。事の稱名念佛を行じ玉
Z14_0173B16: ふこと。亦明白なり。 さて彼傳は。法然上人の道德
Z14_0173B17: を。顯さんとて。結句法然上人の威光のさがることど

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