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Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0170A01: 如く。事理兼運ふといひながら。談義本には。理觀の
Z14_0170A02: 一道。理觀を專らにすといひ。此度は天台計りが。一
Z14_0170A03: 心三觀を以て。淨土の法を修するゆへ。其說大備と云
Z14_0170A04: るゝは。前後の云分相違せり。此も四明の。良爲心無
Z14_0170A05: 的解。隨時改轉と破し玉ふ。山外風と見ゆるなり。か
Z14_0170A06: ゝる自言の相違を。內に自ら省みられば。最も恥しき
Z14_0170A07: ことなれば。實に心𤍠し面赤かるべし。此にても。𤍠
Z14_0170A08: せず。赤からぬならば。それは無慚愧の人なり。
Z14_0170A09:  庵主曰。至極愚癡無智の尼入道は。もれても。少も
Z14_0170A10:  かまわざるなり。滋賀のあたりにて。大網を引を。
Z14_0170A11:  舊と見られざるか。聞れざるか。鯉鮒。網に留をこそ
Z14_0170A12:  取。だんぎぼうなどの。にげていぬるは。少もかま
Z14_0170A13:  わぬなり。去ども世間に。談義ぼう賣と云ものあれ
Z14_0170A14:  ば。漏るるを取人もあるなり。其人は獨身の。その
Z14_0170A15:  日すぎの。あさましきしよざいなり。彼人の念佛會
Z14_0170A16:  の勸は。談義ぼう賣の樣なることなり。佛敎を魚を
Z14_0170A17:  取に喩るは。勿體なき樣なれども。天台大師は。敷
Z14_0170B01:  八敎網。亘法界海。懼其有漏と釋し玉へり。荆溪
Z14_0170B02:  は。華嚴經を引て張佛敎網。亘法界海。漉天人魚
Z14_0170B03:  置𣵀槃岸との玉へり。
Z14_0170B04: 彈曰。此段はあはぬ譬へを出し。心入のよからぬ云分
Z14_0170B05: なり。世間の大網を引者。たゞ鯉鮒を取て。だんぎぼ
Z14_0170B06: うを。かまはぬは。いかなることぞや。鯉鮒は市に買
Z14_0170B07: るに。價がよければ。我身を資ること多く。だんぎぼ
Z14_0170B08: うは。價少くて。我身を資けぬ故。いぬるを少しも。か
Z14_0170B09: まはぬなり。佛の衆生を見玉ふは。網引の我身の利養
Z14_0170B10: を專らとするには同じからず。一切衆生を。皆悉く吾
Z14_0170B11: 子と愍み玉ふなり。まづ世間の親の。子を思ふを見ら
Z14_0170B12: れよ。其心平等なれども。病もなく。達者にて。福分あ
Z14_0170B13: る子のことは。さのみ思はず。病もあり。目も見えず。
Z14_0170B14: 足も立ず。貧き子は。別して愛愍を加る。此があり難
Z14_0170B15: き。親の慈悲心なり。又文王の政を發し。仁を施すも。
Z14_0170B16: 鰥寡孤獨の吿ることなく。便りなき者を。先にし玉ふ
Z14_0170B17: ことあり。もし其方の如く。網引者に譬へて。愚癡無

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