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Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0169A01:  處卽空。全體卽假。亦空亦有。非空非有。不湊泊
Z14_0169A02:  不擬議。心路絕處。卽名爲佛。故淨土之敎。至
Z14_0169A03:  天台。其說大備。昭昭猶日月。而耀太虛也と。こ
Z14_0169A04:  れを見られよ。歷代の諸師の淨土之敎は。工拙あ
Z14_0169A05:  り。天台計りが一心三觀を以て。淨土の法を修する
Z14_0169A06:  ゆへ。淨土之敎。至于天台。其說大備と云なり。尼
Z14_0169A07:  入道をも。もらさぬゆへ。其說大備と云にては曾て
Z14_0169A08:  なきなり。
Z14_0169A09: 彈曰。此段。とくと辨じたらば。反て其方の心𤍠し面
Z14_0169A10: 赤かるべしと。思はるゝことなり。此淨土指歸の意
Z14_0169A11: は。天台已前の歷代の諸師の。淨土を述るは。淺深巧
Z14_0169A12: 拙。同く善に歸すれども。たゞ事の念佛にして。圓妙
Z14_0169A13: の理觀を云ざれば。未だ備らざることあり。天台大
Z14_0169A14: 師に至て。十疑論には。事相の本願念佛を明し。觀經
Z14_0169A15: 疏には。歷代の諸師の。未だ云ざる。淨土の依正を。所
Z14_0169A16: 觀の境とし。一心法界。卽空假中と。觀念する理觀を
Z14_0169A17: 明し玉ふが故。事理の二行闕ことなく。よく備足する
Z14_0169B01: を以て。淨土之敎至于天台。其說大備といへるなり。
Z14_0169B02: もし其方の如く。天台計りが。一心三觀を以て。淨土
Z14_0169B03: の法を修するゆへ。理觀を專らとし。たゞ理觀の一道
Z14_0169B04: ばかりならば。それにては。事の稱名念佛が漏るゆ
Z14_0169B05: へ。其說大備とはいひ難し。此方の意は。已に事理の
Z14_0169B06: 二行大に備れば。上上根は勿論。下下根の尼入道を
Z14_0169B07: も。漏すことなき。天台の宗敎と云ことなり。今無理
Z14_0169B08: に惡く取なして云るゝが如く。尼入道も漏さぬゆへ。
Z14_0169B09: 其說大備と云ことにては曾てなし。とかく人のこと
Z14_0169B10: を惡き樣に。いひ落したがらるゝくせが有て。意地の
Z14_0169B11: よからぬことなり。さて其方の書れし。眞盛上人傳
Z14_0169B12: 論を見るに。淨土之敎。至于天台。其說大備。良以
Z14_0169B13: 觀雙明。事理兼運也といへり。此傳論は。此方の云が
Z14_0169B14: 如く。天台大師は。歷代の諸師と異にして。淨土の依
Z14_0169B15: 正を。所觀の境とし。卽空假中と觀ずれば。境觀も雙
Z14_0169B16: べて明し。理觀の一道ならず。理觀も事相も。兼て運
Z14_0169B17: ぶを以て。其說大備と云ことなり。傳論には。かくの

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