浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
Z14_0167A01: | は。反てあさましき心底。恥かしきことゝ。思はるゝ |
Z14_0167A02: | なり。さて此次に辨僞には。慈雲大師の。晨朝十念 |
Z14_0167A03: | 法も。卽心唯心の名もなく。三觀三諦の言もなく。た |
Z14_0167A04: | ゞ事相口稱の念佛なりと。文を引て具さに辨じたる |
Z14_0167A05: | に。一言の返答もなきは。已に屈伏せられしが故と見 |
Z14_0167A06: | えたり。もし屈伏はせず。此も卽心念佛なりと云れ |
Z14_0167A07: | ば。唯心の名もなく。諦觀をも云ぬ。卽心念佛もある |
Z14_0167A08: | ことなりや。もしなきならば。餘りに餘義をさす。山 |
Z14_0167A09: | 外風にてなく。正しく此十念の中に。卽心唯心や。三 |
Z14_0167A10: | 諦三觀と云文言を。明かに出さるべし。 |
Z14_0167A11: | 庵主曰。さて十疑論のこと。兎角。彼人は文句計り |
Z14_0167A12: | に取りつひて。心を得ぬ學問なり。十疑論の通り |
Z14_0167A13: | は。念佛の事の方を。述玉へるものなり。それを圓 |
Z14_0167A14: | 人が修すれば。卽ち卽心念佛になるなり。彼論の第 |
Z14_0167A15: | 二。諸法無生の疑の答は。見られぬか。談義本の第 |
Z14_0167A16: | 四座の。往生無生の心に非や。談義本。能く十疑論 |
Z14_0167A17: | の心に契たるに。十疑論を貴で。其心を述たる談義 |
Z14_0167B01: | 本を。破さるゝは。法には依ずして。人計りを論ぜ |
Z14_0167B02: | らるゝゆへ。佛の敎に背きたる。妄料簡なり。 |
Z14_0167B03: | 彈曰。談義本に。四明は理觀の一道。台宗は理觀を專 |
Z14_0167B04: | らとすと云るゝが故。此方より。台宗には。理觀の方 |
Z14_0167B05: | と。事相の方と。雙べて二途を立るが故。觀經疏鈔は。 |
Z14_0167B06: | 理觀の方の念佛。十疑論は。事相の方の念佛にして。 |
Z14_0167B07: | たゞ理觀ばかりに非ず。事の本願の念佛をも弘ると |
Z14_0167B08: | 云證文に。明かなる十疑論を引て辨じたるに。此度十 |
Z14_0167B09: | 疑論の通りは。念佛の事の方を述玉へるものなりと |
Z14_0167B10: | 云るゝは。明かに此方の義に歸伏せられたれば。復珍 |
Z14_0167B11: | 重なり。此方は。十疑論の文により。論文の心をよく |
Z14_0167B12: | 得て。此れは事の本願の念佛を明し玉ふと云に。此を |
Z14_0167B13: | 心を得ぬ學問なりと嘲けらるゝは。亦無理なる云か |
Z14_0167B14: | けなり。辨僞に云所。何くか論文の心に叶はずして。 |
Z14_0167B15: | 心を得ぬと云るゝや其處を承りたし。 次にそれを |
Z14_0167B16: | 圓人が修すれば。卽心念佛になるなりとは。此れは墮 |
Z14_0167B17: | 負を紛らかさんとて。場の違ふたることを云るゝな |