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Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0167A01: は。反てあさましき心底。恥かしきことゝ。思はるゝ
Z14_0167A02: なり。さて此次に辨僞には。慈雲大師の。晨朝十念
Z14_0167A03: 法も。卽心唯心の名もなく。三觀三諦の言もなく。た
Z14_0167A04: ゞ事相口稱の念佛なりと。文を引て具さに辨じたる
Z14_0167A05: に。一言の返答もなきは。已に屈伏せられしが故と見
Z14_0167A06: えたり。もし屈伏はせず。此も卽心念佛なりと云れ
Z14_0167A07: ば。唯心の名もなく。諦觀をも云ぬ。卽心念佛もある
Z14_0167A08: ことなりや。もしなきならば。餘りに餘義をさす。山
Z14_0167A09: 外風にてなく。正しく此十念の中に。卽心唯心や。三
Z14_0167A10: 諦三觀と云文言を。明かに出さるべし。
Z14_0167A11:  庵主曰。さて十疑論のこと。兎角。彼人は文句計り
Z14_0167A12:  に取りつひて。心を得ぬ學問なり。十疑論の通り
Z14_0167A13:  は。念佛の事の方を。述玉へるものなり。それを圓
Z14_0167A14:  人が修すれば。卽ち卽心念佛になるなり。彼論の第
Z14_0167A15:  二。諸法無生の疑の答は。見られぬか。談義本の第
Z14_0167A16:  四座の。往生無生の心に非や。談義本。能く十疑論
Z14_0167A17:  の心に契たるに。十疑論を貴で。其心を述たる談義
Z14_0167B01:  本を。破さるゝは。法には依ずして。人計りを論ぜ
Z14_0167B02:  らるゝゆへ。佛の敎に背きたる。妄料簡なり。
Z14_0167B03: 彈曰。談義本に。四明は理觀の一道。台宗は理觀を專
Z14_0167B04: らとすと云るゝが故。此方より。台宗には。理觀の方
Z14_0167B05: と。事相の方と。雙べて二途を立るが故。觀經疏鈔は。
Z14_0167B06: 理觀の方の念佛。十疑論は。事相の方の念佛にして。
Z14_0167B07: たゞ理觀ばかりに非ず。事の本願の念佛をも弘ると
Z14_0167B08: 云證文に。明かなる十疑論を引て辨じたるに。此度十
Z14_0167B09: 疑論の通りは。念佛の事の方を述玉へるものなりと
Z14_0167B10: 云るゝは。明かに此方の義に歸伏せられたれば。復珍
Z14_0167B11: 重なり。此方は。十疑論の文により。論文の心をよく
Z14_0167B12: 得て。此れは事の本願の念佛を明し玉ふと云に。此を
Z14_0167B13: 心を得ぬ學問なりと嘲けらるゝは。亦無理なる云か
Z14_0167B14: けなり。辨僞に云所。何くか論文の心に叶はずして。
Z14_0167B15: 心を得ぬと云るゝや其處を承りたし。 次にそれを
Z14_0167B16: 圓人が修すれば。卽心念佛になるなりとは。此れは墮
Z14_0167B17: 負を紛らかさんとて。場の違ふたることを云るゝな

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