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Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0164A01: ゞ示人とあるは。總じて廣く一切に亘る敎示なるこ
Z14_0164A02: と明かなり。譬へば富士の山とか。愛宕の山とかいは
Z14_0164A03: ゞ。たゞ一山に限れども。たゞ山とばかりいへば。廣く
Z14_0164A04: 一切の山に通じ。山鳥とか。庭鳥とかいへば。一鳥のこ
Z14_0164A05: となれども。たゞ鳥と云は。一切の鳥に亘るが如し。
Z14_0164A06: もし强て論語を引き。聖人作止語默。無敎也とあ
Z14_0164A07: るが故。示人と云は。一類一緣にして。一切に亘る敎
Z14_0164A08: へに非ずと云れば。大學序に。大學之書古之大學
Z14_0164A09: 以敎一レ人之法也と云も。聖人の作止語默。敎へに非るこ
Z14_0164A10: となきに。此別して敎人とあるが故。一類一人の爲に
Z14_0164A11: 敎へ示すと云ことなりや。もし左樣に云れば。自
Z14_0164A12: 子之元子衆子。以至公卿大夫。元士之適子。與凡民之
Z14_0164A13: 俊秀。皆入大學而敎之とあるは。如何。又孟子に。敎
Z14_0164A14: 人以善謂之忠といへるも。別して敎人とあれば。善
Z14_0164A15: を敎ることは。一切に亘る敎示に非ず。たゞ一類一緣
Z14_0164A16: の爲なりと云んや。不審なり。題號已にかくの如く。
Z14_0164A17: たゞ示人と有て。一切に亘るが故。其別文にも。故今
Z14_0164B01: 普示稱佛之法とあり。此普示とある普の字を。いか
Z14_0164B02: ゞ思はるゝや。石鼓雲師。通爲一切。故云普と釋し玉
Z14_0164B03: へば。普示稱佛之法とあるは。通じて一切の人に。事
Z14_0164B04: の稱名念佛の方法を。敎示し玉ふものなり。而るを
Z14_0164B05: 人とあるが故。一切に亘る敎へに非ずとは。これ
Z14_0164B06: 顛倒せる云分ならずや。かく顛倒せることを。いひな
Z14_0164B07: がら。彼人などは。曾て氣が付ぬと見へたりと。憍慢
Z14_0164B08: せらるゝは。尤もならぬこと。なる程此方には。曾て
Z14_0164B09: 氣の付ぬ顛倒の妄義なり。次に慈雲の本意は。卽ち
Z14_0164B10: 心念佛なりとは。交聞えぬことなり。慈雲師に限ら
Z14_0164B11: ず。總じて台宗の意。卽心の理觀が本意なることは。
Z14_0164B12: 誰か之を遮せんや。今はその本意か。旁意かと云論に
Z14_0164B13: は非ず。たゞ理觀の一道といひ。理觀を專らにすと云
Z14_0164B14: るゝ故。此方より。四明も慈雲も。理觀の一道ならず。
Z14_0164B15: 事の稱名念佛をも。兼て弘め玉ふと辨じたるに。此度
Z14_0164B16: 慈雲の示し。事の念佛には非ずと云にてはなしと。首
Z14_0164B17: 伏せられたれば。辨僞の能破能成し。理觀の一道と

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