浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0164A01: | ゞ示レ人とあるは。總じて廣く一切に亘る敎示なるこ |
Z14_0164A02: | と明かなり。譬へば富士の山とか。愛宕の山とかいは |
Z14_0164A03: | ゞ。たゞ一山に限れども。たゞ山とばかりいへば。廣く |
Z14_0164A04: | 一切の山に通じ。山鳥とか。庭鳥とかいへば。一鳥のこ |
Z14_0164A05: | となれども。たゞ鳥と云は。一切の鳥に亘るが如し。 |
Z14_0164A06: | もし强て論語を引き。聖人ノ作止語默。無レ非レ敎也とあ |
Z14_0164A07: | るが故。示レ人と云は。一類一緣にして。一切に亘る敎 |
Z14_0164A08: | へに非ずと云れば。大學序に。大學之書ハ古之大學ノ所二 |
Z14_0164A09: | 以敎一レ人之法也と云も。聖人の作止語默。敎へに非るこ |
Z14_0164A10: | となきに。此別して敎レ人とあるが故。一類一人の爲に |
Z14_0164A11: | 敎へ示すと云ことなりや。もし左樣に云れば。自二天 |
Z14_0164A12: | 子之元子衆子一。以至三公卿大夫。元士之適子。與二凡民之 |
Z14_0164A13: | 俊秀一。皆入二大學一而敎レ之とあるは。如何。又孟子に。敎レ |
Z14_0164A14: | 人以レ善謂二之忠一といへるも。別して敎レ人とあれば。善 |
Z14_0164A15: | を敎ることは。一切に亘る敎示に非ず。たゞ一類一緣 |
Z14_0164A16: | の爲なりと云んや。不審なり。題號已にかくの如く。 |
Z14_0164A17: | たゞ示レ人と有て。一切に亘るが故。其別文にも。故今 |
Z14_0164B01: | 普示二稱佛之法一とあり。此普示とある普の字を。いか |
Z14_0164B02: | ゞ思はるゝや。石鼓雲師。通爲二一切一。故云レ普と釋し玉 |
Z14_0164B03: | へば。普示二稱佛之法一とあるは。通じて一切の人に。事 |
Z14_0164B04: | の稱名念佛の方法を。敎示し玉ふものなり。而るを |
Z14_0164B05: | 示レ人とあるが故。一切に亘る敎へに非ずとは。これ |
Z14_0164B06: | 顛倒せる云分ならずや。かく顛倒せることを。いひな |
Z14_0164B07: | がら。彼人などは。曾て氣が付ぬと見へたりと。憍慢 |
Z14_0164B08: | せらるゝは。尤もならぬこと。なる程此方には。曾て |
Z14_0164B09: | 氣の付ぬ顛倒の妄義なり。次に慈雲の本意は。卽ち |
Z14_0164B10: | 心念佛なりとは。交聞えぬことなり。慈雲師に限ら |
Z14_0164B11: | ず。總じて台宗の意。卽心の理觀が本意なることは。 |
Z14_0164B12: | 誰か之を遮せんや。今はその本意か。旁意かと云論に |
Z14_0164B13: | は非ず。たゞ理觀の一道といひ。理觀を專らにすと云 |
Z14_0164B14: | るゝ故。此方より。四明も慈雲も。理觀の一道ならず。 |
Z14_0164B15: | 事の稱名念佛をも。兼て弘め玉ふと辨じたるに。此度 |
Z14_0164B16: | 慈雲の示し。事の念佛には非ずと云にてはなしと。首 |
Z14_0164B17: | 伏せられたれば。辨僞の能破能成し。理觀の一道と |