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Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0163A01: 妄言なり。此方を自在坊風と嘲らんよりは。此論の別
Z14_0163A02: して眼なる觀の字を。偸かに書かへて。山外風を學ば
Z14_0163A03: るゝは。此ぞ其方の云るゝ可笑可憐ことなれば。早
Z14_0163A04: く慚悔せられよ。
Z14_0163A05:  庵主曰。慈雲の示し。事の念佛には非ずと云にては
Z14_0163A06:  なけれども。譯あることなり。先示人念佛方法
Z14_0163A07:  と云。題號に大に不審あることなれども。彼人など
Z14_0163A08:  は。曾て氣が付ぬと見へたり。佛菩薩より。列祖の
Z14_0163A09:  言句。聖默然聖說法。人に示すにあらぬことはなき
Z14_0163A10:  なり。孔子吾無行而不二三子と。宋儒注し
Z14_0163A11:  て曰。聖人作止語默。無敎也とあれば。世敎すら
Z14_0163A12:  かくの如。況や佛法をや。況や又方法と云が。人の
Z14_0163A13:  示にてあるまじき樣はなし。然にわきに見當ぬ。示
Z14_0163A14:  人の二字を加へ玉ふは。何ごとぞや。此を心得べき
Z14_0163A15:  樣は。總じて一切に亘る敎なれば。示人の二字を加
Z14_0163A16:  ることはいらぬなり。別して一類一緣の爲に。示し
Z14_0163A17:  玉ふなり。慈雲の本意には非るなり。慈雲の本意
Z14_0163B01:  は。卽心念佛なり。
Z14_0163B02: 彈曰。談義本に。四明は理觀の一道といひ。理觀を專
Z14_0163B03: らとせいでは。天台宗になりたる甲斐はなしと云る
Z14_0163B04: ゝが故。辨僞に。四明尊者の淨社を出し。慈雲大師の
Z14_0163B05: 念佛方法を引て。理觀の一道ばかりに非ず。事相の稱
Z14_0163B06: 名念佛をも。兼て弘め玉ふと辨じたるに。此度明か
Z14_0163B07: に。慈雲の示し。事の念佛には非ずと云にてはなしと
Z14_0163B08: 云るゝは。正しく此方の義に首伏せられて。慈雲の弘
Z14_0163B09: め玉ふ念佛は。事相の稱名と云こと。決定したれば。
Z14_0163B10: まづ珍重なり。さて慈雲の示し。事の念佛なるは。
Z14_0163B11: 譯あることと云るゝ。其譯を見るに。示人念佛方法
Z14_0163B12: とある。示人の二字に取付て。總じて一切に亘る敎
Z14_0163B13: へに非ず。別して一類一緣の爲に。示し玉ふ方法なれ
Z14_0163B14: ば。示人の二字を加へ玉ふなりとは。此は術なさの餘
Z14_0163B15: りに。大に顛倒したることを云るゝなり。此題號に。
Z14_0163B16: 彼人に示すとか。此人に示すとかあらば。一人一類の
Z14_0163B17: 爲に示し玉ふものと云べけれども。簡別の詞なく。た

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