浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0163A01: | 妄言なり。此方を自在坊風と嘲らんよりは。此論の別 |
Z14_0163A02: | して眼なる觀の字を。偸かに書かへて。山外風を學ば |
Z14_0163A03: | るゝは。此ぞ其方の云るゝ可レ笑可レ憐ことなれば。早 |
Z14_0163A04: | く慚悔せられよ。 |
Z14_0163A05: | 庵主曰。慈雲の示し。事の念佛には非ずと云にては |
Z14_0163A06: | なけれども。譯あることなり。先示二人念佛方法一 |
Z14_0163A07: | と云。題號に大に不審あることなれども。彼人など |
Z14_0163A08: | は。曾て氣が付ぬと見へたり。佛菩薩より。列祖の |
Z14_0163A09: | 言句。聖默然聖說法。人に示すにあらぬことはなき |
Z14_0163A10: | なり。孔子吾無下行而不レ與二二三子一者上と。宋儒注し |
Z14_0163A11: | て曰。聖人作止語默。無レ非レ敎也とあれば。世敎すら |
Z14_0163A12: | かくの如。況や佛法をや。況や又方法と云が。人の |
Z14_0163A13: | 示にてあるまじき樣はなし。然にわきに見當ぬ。示 |
Z14_0163A14: | 人の二字を加へ玉ふは。何ごとぞや。此を心得べき |
Z14_0163A15: | 樣は。總じて一切に亘る敎なれば。示人の二字を加 |
Z14_0163A16: | ることはいらぬなり。別して一類一緣の爲に。示し |
Z14_0163A17: | 玉ふなり。慈雲の本意には非るなり。慈雲の本意 |
Z14_0163B01: | は。卽心念佛なり。 |
Z14_0163B02: | 彈曰。談義本に。四明は理觀の一道といひ。理觀を專 |
Z14_0163B03: | らとせいでは。天台宗になりたる甲斐はなしと云る |
Z14_0163B04: | ゝが故。辨僞に。四明尊者の淨社を出し。慈雲大師の |
Z14_0163B05: | 念佛方法を引て。理觀の一道ばかりに非ず。事相の稱 |
Z14_0163B06: | 名念佛をも。兼て弘め玉ふと辨じたるに。此度明か |
Z14_0163B07: | に。慈雲の示し。事の念佛には非ずと云にてはなしと |
Z14_0163B08: | 云るゝは。正しく此方の義に首伏せられて。慈雲の弘 |
Z14_0163B09: | め玉ふ念佛は。事相の稱名と云こと。決定したれば。 |
Z14_0163B10: | まづ珍重なり。さて慈雲の示し。事の念佛なるは。 |
Z14_0163B11: | 譯あることと云るゝ。其譯を見るに。示二人念佛方法一 |
Z14_0163B12: | とある。示レ人の二字に取付て。總じて一切に亘る敎 |
Z14_0163B13: | へに非ず。別して一類一緣の爲に。示し玉ふ方法なれ |
Z14_0163B14: | ば。示人の二字を加へ玉ふなりとは。此は術なさの餘 |
Z14_0163B15: | りに。大に顛倒したることを云るゝなり。此題號に。 |
Z14_0163B16: | 彼人に示すとか。此人に示すとかあらば。一人一類の |
Z14_0163B17: | 爲に示し玉ふものと云べけれども。簡別の詞なく。た |