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Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0161A01: ては。口にて念佛申す〱と。始終云れし談義本が。
Z14_0161A02: 墮負する故。此に於て。妄料簡を運らし。談義本に。亦
Z14_0161A03: 約心觀佛とも云と。慥かに云れし所の。觀の字を。偸
Z14_0161A04: かに念の字に作りかへ。卽心念佛を。亦約心念佛とも
Z14_0161A05: 云と改れば。念の字は。觀念稱念に通ずるが故。談義
Z14_0161A06: 本は。其中の稱念の方を取て。念佛申すと云たる樣
Z14_0161A07: に。跡より上手に紛らかし。それでも人情が强くて。
Z14_0161A08: 我誤れり。我書かへたりとは。曾て云ず。觀字筆誤な
Z14_0161A09: りと。心もなき筆に。誤りをにじり付らるゝは。毛錐
Z14_0161A10: 子が身になりては。近比迷惑なることと。思はるゝな
Z14_0161A11: り。談義本梓行してより。今歲三年に及び。三千部に
Z14_0161A12: 垂んとして。弘通するまで。何も云ず。今春辨僞の詰
Z14_0161A13: 難を見て。此度俄かに觀の字筆誤なりと。いひ出さる
Z14_0161A14: ゝは。これ手のわるき轉計妄言にして。觀の字にて
Z14_0161A15: は。念佛申す〱と云れし義の。墮負なること決定す
Z14_0161A16: るが故なり。か樣に俄かに文字を。跡より改めらるゝ
Z14_0161A17: は。かの山外の。初には直顯心性といひしに。四明に
Z14_0161B01: 詰難せられて。後に直顯法性と。偸かに改るが故。四
Z14_0161B02: 明尊者。之を破して。若轉改有路。終不偸換文字。蓋
Z14_0161B03: 是路極。遂至於此との玉ふが如し。かゝることを云
Z14_0161B04: て。山外風を學ばるゝは。豈無慚愧の至り。ひきやう
Z14_0161B05: なることに非ずや。且此度俄かに書改られし通り。念
Z14_0161B06: の字に作りては。又大に不審あり。談義本に。亦約心
Z14_0161B07: 念佛とも云。理持とも云なりと。云るゝ所の理持と
Z14_0161B08: は。彌陀經要解等に云て。これあるが。約心念佛と云
Z14_0161B09: こと。天台四明の疏鈔等。何れの處に云てこれある
Z14_0161B10: や。明かに其文を承りたし。此方には約心觀佛と云こ
Z14_0161B11: とは。處處の文に見たれども。約心念佛と云ことは。
Z14_0161B12: 終に見たることも。聞たることもなし。必ず〱珍し
Z14_0161B13: き約心念佛と云てある處を。示されよ。理路極ても。
Z14_0161B14: 人情强くて。なを誤れりと云ぬ人は。後には。か樣に
Z14_0161B15: 妄言妄義を。巧み出すものと見えたり。愼むべし。さ
Z14_0161B16: て觀の字筆誤なることは。旁觀記。台宗綱要にて。知
Z14_0161B17: るることなり等とは。此れは一圓聞えぬこと。彼兩書

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