ウィンドウを閉じる

Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0159A01: 觀の一字を能觀に非ずといひ。所觀の境の心佛の二
Z14_0159A02: 字を。妄境に非ずと云たることは。終にこれなし。此
Z14_0159A03: 方何れの處にか。左樣に云こと有て。灼然として。境
Z14_0159A04: 觀要門に相違するや。此も亦妄言なること灼なり。
Z14_0159A05: さて初心の學者と云ども。彼人の立義を。曾て受取
Z14_0159A06: ず。贔負偏頗の人は各別とは。此も亦此方のことを云
Z14_0159A07: んより。全く其の方の身の上のことなりと省み知れ
Z14_0159A08: よ。此次に不可思議の一心三觀のことを云るゝは。
Z14_0159A09: 全く此方の轉計にても。墮負にてもなし。此はもと問
Z14_0159A10: 詰錄に。紛らかしたることをいひ。其後其方の不合點
Z14_0159A11: にて妄破せらるゝことなるが故。此方に兼て委く筆
Z14_0159A12: 記し置て享保丙午の秋。十義書講談の時。具さに辨斥
Z14_0159A13: したれば。一會の大衆の皆聞れたることなり。今亦辨
Z14_0159A14: ずべけれども。此は別の所論にてもあり。長くもなれ
Z14_0159A15: ば且く略す。時等もあらば。筆記をも梓行し。重て辨
Z14_0159A16: 斥すべし。
Z14_0159A17:  庵主曰。辨僞に。さて上に卽心念佛を○決してなる
Z14_0159B01:  まじきなり。此段は。なにとしたるわけもなきを
Z14_0159B02:  云るゝや。諦觀を云ず。觀ぜずして。南無阿彌陀佛
Z14_0159B03:  と念佛申すを。卽心念佛と云ことは。此方には曾て
Z14_0159B04:  云ず。それは誰の立義なるや。此方に云ぬことゆ
Z14_0159B05:  へ。其明文を出すことは。申さるゝ通り。決してな
Z14_0159B06:  らぬなり。
Z14_0159B07: 彈曰。此方に曾て云ずと云るゝは。亦是例の妄言な
Z14_0159B08: り。此辨僞は。談義本の初座を難じたるものなるが。
Z14_0159B09: かの初座の初に。淨土も彌陀も。卽ち我心なりと知
Z14_0159B10: て。念佛申して。往生を求るが。卽心念佛なりと。明か
Z14_0159B11: に云れたり。今此卽ち我心なりと知るとは。開解の解
Z14_0159B12: 知にして。未だ修行の妙觀には非ず。次に其行相を。
Z14_0159B13: 念佛申してと。ばかり云るゝは。たゞ南無阿彌陀佛と
Z14_0159B14: 申すことなれば。此明かに知て後の行を。三諦三觀も
Z14_0159B15: 云ず。觀ずとも。照すとも云ことなく。たゞ念佛申す
Z14_0159B16: を。卽心念佛なりと云るゝこと。了了分明なるに非ず
Z14_0159B17: や。而るを今。諦觀を云ず。觀ぜずして。念佛申すを卽

ウィンドウを閉じる