浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
Z14_0155A01: | はえ云るまじ。もし捨る義はあれども。捨ると云文字 |
Z14_0155A02: | がなき故なりと云れは。それこそ。文字に取付て。義 |
Z14_0155A03: | に昩き學問と云ものなれ。次に又稱彼佛號の言は。 |
Z14_0155A04: | 觀經の下品上生等にありとは。此も亦聞えず。前にも |
Z14_0155A05: | 云し通り。下品に明せる惡人の稱名は。所觀の境とさ |
Z14_0155A06: | せんが爲に宣玉ふて。修觀の行者に。自ら稱名念佛せ |
Z14_0155A07: | よと。敎へ玉ふには非ず。故に四明の萬人に。每日自 |
Z14_0155A08: | ら稱念せよと勸め玉ふ。淨社の念佛とは。同じからぬ |
Z14_0155A09: | ことなれば。今此下品の稱名を出さるゝも。亦名に迷 |
Z14_0155A10: | ふて義に昩きなり。上來段段辨ずる所の如くなれ |
Z14_0155A11: | ば。四明の淨社は。たゞ事相本願の稱名にして。全く |
Z14_0155A12: | 卽心念佛に非ること。明明白白たり。爾らば願共有 |
Z14_0155A13: | 情。卽心念佛とあるは。別して心妙觀を明す、妙宗の |
Z14_0155A14: | 序なるが故なり。總じていへば。事の口稱念佛をも捨 |
Z14_0155A15: | ずして。 |
Z14_0155A16: | 此度事の念佛を捨るには非ずと云は。相符極成 |
Z14_0155A17: | の過なり。此方に事の念佛を捨ると云ことは。曾 |
Z14_0155B01: | て云ぬなり等と云るゝは。此亦紛らかしの妄言 |
Z14_0155B02: | なり。台宗には。事理の二行を。雙べ弘ることな |
Z14_0155B03: | るに。談義本に。四明は理觀の一道を。勤んとの |
Z14_0155B04: | 御願ひなりと。明かに云れしは。事相の一道は。 |
Z14_0155B05: | 捨ると云ものならずや。もし捨るに非ずば。何と |
Z14_0155B06: | て。事理の二道とは云ず。たゞ理觀の一道と云れ |
Z14_0155B07: | しや。不審なり。又卽心念佛を。專らとせいでは。 |
Z14_0155B08: | 天台宗になりたる甲斐は。なきなりと云れし。專 |
Z14_0155B09: | らとは。獨なり。專一の義なれば。二行の內。たゞ |
Z14_0155B10: | 卽心の理觀を。獨り專一にするを。天台宗と云る |
Z14_0155B11: | ゝも。これ亦事相の一道は。捨ると云ものなり。 |
Z14_0155B12: | 因て辨僞に。片輪車と名けたり。此方には。四明 |
Z14_0155B13: | は。理觀も。事相も。雙べて弘め玉ふと云に。其方 |
Z14_0155B14: | には。たゞ理觀の一道と云る。此が何として。相 |
Z14_0155B15: | 符極成の過になるや。但し自分と。敵者との。立 |
Z14_0155B16: | 義不同なるを。相符極成の過と云。因明の文もあ |
Z14_0155B17: | ることなりや。出さるべし。 |