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Z1410 即心念仏弾妄録 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0155A01: はえ云るまじ。もし捨る義はあれども。捨ると云文字
Z14_0155A02: がなき故なりと云れは。それこそ。文字に取付て。義
Z14_0155A03: に昩き學問と云ものなれ。次に又稱彼佛號の言は。
Z14_0155A04: 觀經の下品上生等にありとは。此も亦聞えず。前にも
Z14_0155A05: 云し通り。下品に明せる惡人の稱名は。所觀の境とさ
Z14_0155A06: せんが爲に宣玉ふて。修觀の行者に。自ら稱名念佛せ
Z14_0155A07: よと。敎へ玉ふには非ず。故に四明の萬人に。每日自
Z14_0155A08: ら稱念せよと勸め玉ふ。淨社の念佛とは。同じからぬ
Z14_0155A09: ことなれば。今此下品の稱名を出さるゝも。亦名に迷
Z14_0155A10: ふて義に昩きなり。上來段段辨ずる所の如くなれ
Z14_0155A11: ば。四明の淨社は。たゞ事相本願の稱名にして。全く
Z14_0155A12: 卽心念佛に非ること。明明白白たり。爾らば願共有
Z14_0155A13: 情。卽心念佛とあるは。別して心妙觀を明す、妙宗の
Z14_0155A14: 序なるが故なり。總じていへば。事の口稱念佛をも捨
Z14_0155A15: ずして。
Z14_0155A16:   此度事の念佛を捨るには非ずと云は。相符極成
Z14_0155A17:   の過なり。此方に事の念佛を捨ると云ことは。曾
Z14_0155B01:   て云ぬなり等と云るゝは。此亦紛らかしの妄言
Z14_0155B02:   なり。台宗には。事理の二行を。雙べ弘ることな
Z14_0155B03:   るに。談義本に。四明は理觀の一道を。勤んとの
Z14_0155B04:   御願ひなりと。明かに云れしは。事相の一道は。
Z14_0155B05:   捨ると云ものならずや。もし捨るに非ずば。何と
Z14_0155B06:   て。事理の二道とは云ず。たゞ理觀の一道と云れ
Z14_0155B07:   しや。不審なり。又卽心念佛を。專らとせいでは。
Z14_0155B08:   天台宗になりたる甲斐は。なきなりと云れし。專
Z14_0155B09:   らとは。獨なり。專一の義なれば。二行の內。たゞ
Z14_0155B10:   卽心の理觀を。獨り專一にするを。天台宗と云る
Z14_0155B11:   ゝも。これ亦事相の一道は。捨ると云ものなり。
Z14_0155B12:   因て辨僞に。片輪車と名けたり。此方には。四明
Z14_0155B13:   は。理觀も。事相も。雙べて弘め玉ふと云に。其方
Z14_0155B14:   には。たゞ理觀の一道と云る。此が何として。相
Z14_0155B15:   符極成の過になるや。但し自分と。敵者との。立
Z14_0155B16:   義不同なるを。相符極成の過と云。因明の文もあ
Z14_0155B17:   ることなりや。出さるべし。

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