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Z1400 即心念仏安心決定談義本或問 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0134A01: り。彼人。先師の弟子と思ひ。四明を信仰しながら。四
Z14_0134A02: 明の御願。先師の思ひ入を。何とぞ弘めんと思ふ心
Z14_0134A03: は。少しもなくて。世間に多くて。こともかけぬ。法然
Z14_0134A04: 流の事の念佛を。弘めらるゝは。誠に天台宗になりた
Z14_0134A05: る甲斐は。なきにてなくて。何ぞや。笑止千萬なる心
Z14_0134A06: 根なり。剩へ四明や。先師の思召を。書き付たる談義
Z14_0134A07: 本を。僞作と云るゝは。何としたる心根ぞや。四明の
Z14_0134A08: 明かなる文は。譯もなく見誤り。先師の思ひ入は。得
Z14_0134A09: と聞き受られぬ故なり。年來法然流を。尼入道に勸め
Z14_0134A10: られしに。此度談義本が出て。卽心念佛が。天台宗の
Z14_0134A11: 正意と云ことを。人が知る故。從來のことが。面目な
Z14_0134A12: さに。妄說妄難を云述らる。人情甚しくて。深く因果
Z14_0134A13: を信ずることのならざる所。あらはるゝなり。さて
Z14_0134A14: 止訛に見立たる。十種の持病とのこと。此は曾て書き
Z14_0134A15: 付け置しことある故。今又此に出すなり。彼書を。此
Z14_0134A16: 方の弟子分の者や。官僧衆が。此方に代りて。返答を
Z14_0134A17: せんと云るれども。馬方船頭の喧嘩の樣なることを。
Z14_0134B01: 仕かくるには。相手にならぬがよし。必ず返答無用
Z14_0134B02: と。をしとめたり。彼書に。此方に。十種の持病ありと
Z14_0134B03: 數へ立たるは。此方には。此は。贔負分にて。十種と數
Z14_0134B04: へられたるが。過分なり。八萬四千の煩惱。一毫も未
Z14_0134B05: だ斷ぜざる。麤凡夫なれば。持病。十種や二十種にて
Z14_0134B06: は。あるまじと思る。彼人などは。持病が一種もなき
Z14_0134B07: 樣に。思てをらるゝと。見へたり。修行が甚だ精密な
Z14_0134B08: る故か。羨まし。修行があらくて。覺られずは。笑止千
Z14_0134B09: 萬なり。
Z14_0134B10: 或人問。天台宗の事持の人と。卽心念佛の淺きとの。
Z14_0134B11: 同異如何か。心得べきや。答。事持の人にても。天台
Z14_0134B12: 宗なれば。心具心造。唯心の淨土。本性の彌陀と云こ
Z14_0134B13: とを。聞かねば。天台宗とは。云れず。聞きは聞ひて
Z14_0134B14: も。卽心念佛申されぬ故。善導。法然流と同じことの。
Z14_0134B15: 念佛計り申を。天台宗の事持の人と云なり。因て藕益
Z14_0134B16: は。而猶未達と云て。而猶未聞とは。の玉はざるな
Z14_0134B17: り。卽心念佛の人は。聞く上に。明かには無けれども。

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