浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0087A01: | て智慧聰明簡ひ出し。また其智慧聰明ばかりにては |
Z14_0087A02: | なく。其上に能敎へ能習ひたらば。なるまじきことに |
Z14_0087A03: | てなしと云て。直になるとは云ず。なるまじきことに |
Z14_0087A04: | てなしと。まだなを未決に云るゝは。ことの外むづか |
Z14_0087A05: | しくして。愚癡無智は。なか〱なりがたく聞えて。 |
Z14_0087A06: | 前にいかなる人もと云しとは。大に相違するは。何ご |
Z14_0087A07: | とぞや。況や此初に。末世の愚癡無智。此修行はなる |
Z14_0087A08: | まじきことといへども。左樣にてはなしとあれば。愚 |
Z14_0087A09: | 癡無智の。なる程よく修行のなることを。分明に云れ |
Z14_0087A10: | ては。ならぬ處なるに。その愚癡無智のことは。一言 |
Z14_0087A11: | も云ず。反て智慧聰明なる生つきの人は。なるまじき |
Z14_0087A12: | ことにてなしと云て。智慧聰明の人にて。また〱上 |
Z14_0087A13: | 手に紛らかさるゝは。何としたる誑らかしぞや。愚癡 |
Z14_0087A14: | 無智の修行のなることを。一言もえ云れぬからは。末 |
Z14_0087A15: | 世の愚癡無智。此修行のならぬことは。なる程左樣な |
Z14_0087A16: | りと云ものなるに。上に左樣にてはなしと云れしは。 |
Z14_0087A17: | 大なる相違に非ずや。か樣に相違ともの出るは。根本 |
Z14_0087B01: | 談義本の腰が。よくすはらぬ故なり。かゝる談義を聞 |
Z14_0087B02: | ん人は。前後の談が相違する程に。恐くは安心決定は |
Z14_0087B03: | せず。談義の座ごとに。安心が迷亂すべきなり。 さ |
Z14_0087B04: | てその智慧聰明なる人には。法華の龍女や。觀經の韋 |
Z14_0087B05: | 提希。六祖大師や。石鞏禪師。橘皇后。千代野を出され |
Z14_0087B06: | たり。龍女や韋提希は。云さらなり。六祖石鞏は。間生 |
Z14_0087B07: | の人にして。末世には得難く。橘皇后千代野も。各見 |
Z14_0087B08: | 識ありて。なみ〱の俗女には非ず。か樣の人は。千 |
Z14_0087B09: | 萬人の中にも。まことに少かるべし。而るを智慧聰明 |
Z14_0087B10: | なる生れつきの人をほしと云るゝは。何れの處にて |
Z14_0087B11: | か。左樣にをほく澤山に。六祖や千代野が如き。智慧 |
Z14_0087B12: | 聰明なる人を見られたるや。不審なり。特に此は。第 |
Z14_0087B13: | 五に末世の要行は卽心念佛なることと。標する下の |
Z14_0087B14: | 談義なるが。五濁の障り重く衆生の根鈍なる末世に |
Z14_0087B15: | て。龍女や。六祖の如く。智慧聰明なる人は。たとひあ |
Z14_0087B16: | りとも。萬々稀なること。況や智慧聰明なる人ありと |
Z14_0087B17: | も。其聰明なる人に。能敎ゆる樣な。大器量の師は。猶 |