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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0087A01: て智慧聰明簡ひ出し。また其智慧聰明ばかりにては
Z14_0087A02: なく。其上に能敎へ能習ひたらば。なるまじきことに
Z14_0087A03: てなしと云て。直になるとは云ず。なるまじきことに
Z14_0087A04: てなしと。まだなを未決に云るゝは。ことの外むづか
Z14_0087A05: しくして。愚癡無智は。なか〱なりがたく聞えて。
Z14_0087A06: 前にいかなる人もと云しとは。大に相違するは。何ご
Z14_0087A07: とぞや。況や此初に。末世の愚癡無智。此修行はなる
Z14_0087A08: まじきことといへども。左樣にてはなしとあれば。愚
Z14_0087A09: 癡無智の。なる程よく修行のなることを。分明に云れ
Z14_0087A10: ては。ならぬ處なるに。その愚癡無智のことは。一言
Z14_0087A11: も云ず。反て智慧聰明なる生つきの人は。なるまじき
Z14_0087A12: ことにてなしと云て。智慧聰明の人にて。また〱上
Z14_0087A13: 手に紛らかさるゝは。何としたる誑らかしぞや。愚癡
Z14_0087A14: 無智の修行のなることを。一言もえ云れぬからは。末
Z14_0087A15: 世の愚癡無智。此修行のならぬことは。なる程左樣な
Z14_0087A16: りと云ものなるに。上に左樣にてはなしと云れしは。
Z14_0087A17: 大なる相違に非ずや。か樣に相違ともの出るは。根本
Z14_0087B01: 談義本の腰が。よくすはらぬ故なり。かゝる談義を聞
Z14_0087B02: ん人は。前後の談が相違する程に。恐くは安心決定は
Z14_0087B03: せず。談義の座ごとに。安心が迷亂すべきなり。 さ
Z14_0087B04: てその智慧聰明なる人には。法華の龍女や。觀經の韋
Z14_0087B05: 提希。六祖大師や。石鞏禪師。橘皇后。千代野を出され
Z14_0087B06: たり。龍女や韋提希は。云さらなり。六祖石鞏は。間生
Z14_0087B07: の人にして。末世には得難く。橘皇后千代野も。各見
Z14_0087B08: 識ありて。なみ〱の俗女には非ず。か樣の人は。千
Z14_0087B09: 萬人の中にも。まことに少かるべし。而るを智慧聰明
Z14_0087B10: なる生れつきの人をほしと云るゝは。何れの處にて
Z14_0087B11: か。左樣にをほく澤山に。六祖や千代野が如き。智慧
Z14_0087B12: 聰明なる人を見られたるや。不審なり。特に此は。第
Z14_0087B13: 五に末世の要行は卽心念佛なることと。標する下の
Z14_0087B14: 談義なるが。五濁の障り重く衆生の根鈍なる末世に
Z14_0087B15: て。龍女や。六祖の如く。智慧聰明なる人は。たとひあ
Z14_0087B16: りとも。萬々稀なること。況や智慧聰明なる人ありと
Z14_0087B17: も。其聰明なる人に。能敎ゆる樣な。大器量の師は。猶

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