浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0086A01: | 明なる生れつきの人をゝし。能敎へ能習ひたらば。 |
Z14_0086A02: | なるまじきことにてなし。云云 |
Z14_0086A03: | 辨曰。事理の二行を。鳥の兩翼。車の兩輪に譬へられ |
Z14_0086A04: | しは。なる程其通り。これ吾宗の意なり。大凡台宗に |
Z14_0086A05: | 立る所の念佛に二途あり。一には卽心唯心の沙汰な |
Z14_0086A06: | く。たゞ事相本願の口稱念佛。此は十疑論。及び延慶 |
Z14_0086A07: | 院の淨社等の如し。二には三觀を以て唯心三諦と觀 |
Z14_0086A08: | ずる。理觀の念佛。此は觀經疏鈔等に明す所の如し。 |
Z14_0086A09: | かくの如く台宗に事相理觀を雙べ立て。一つも闕こ |
Z14_0086A10: | となきは。正しくこれ鳥の兩翼。車の兩輪と云ものな |
Z14_0086A11: | り。此外に口稱の念佛する的を。空寂無相と觀じ。或 |
Z14_0086A12: | は三諦法界と觀じて事に卽して理を觀ずる人あり。 |
Z14_0086A13: | 此は事理融卽する。理觀の人の念佛にして。理持と云 |
Z14_0086A14: | ものなれば。十疑論等にいへる。但事口稱の念佛とは |
Z14_0086A15: | 異なるなり。 |
Z14_0086A16: | 先年書れし驗非に。實相の觀解に住して。專ら名 |
Z14_0086A17: | 號を唱る人は。理持の人なり。既に理持なれば。 |
Z14_0086B01: | 事の念佛の機にあらず。何とて事の念佛に此機 |
Z14_0086B02: | を攝せんやと云れたり。此云分によるに。事に卽 |
Z14_0086B03: | して理を觀ずるは。理持の一邊にして。事の念佛 |
Z14_0086B04: | の攝に非ること決定せり。 |
Z14_0086B05: | 談義本の云分にては。たゞ理觀の一道ばかりを云て。 |
Z14_0086B06: | 十疑論や。延慶院の淨社の如き。事相の一邊を全く云 |
Z14_0086B07: | れねば。兩翼が忽ち一翼となり。兩輪がまた片輪とな |
Z14_0086B08: | れば。云るゝが如く。自由自在にはあるべからず。 |
Z14_0086B09: | さて末世の愚癡無智。此修行なるまじきことといへ |
Z14_0086B10: | ども。左樣にてはなし。女にも。男にも。貴にも。賤に |
Z14_0086B11: | も。智慧聰明なる生つきをゝし。能敎へ能習ひたら |
Z14_0086B12: | ば。なるまじきことにてなし等と云るゝは。甚だ聞え |
Z14_0086B13: | ぬことなり。まづさし當りて疑はしきは。第二座の談 |
Z14_0086B14: | 義には。むづかしき入くみにてもなし。合點し難きこ |
Z14_0086B15: | ともなければ。いかなる人も。合點ゆくべきことなり |
Z14_0086B16: | と。心易げに云れしが。今になりては。いかなる人も |
Z14_0086B17: | とは。全く云ず。智慧聰明なる生れつきの人と。別し |