ウィンドウを閉じる

Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0086A01:  明なる生れつきの人をゝし。能敎へ能習ひたらば。
Z14_0086A02:  なるまじきことにてなし。云云
Z14_0086A03: 辨曰。事理の二行を。鳥の兩翼。車の兩輪に譬へられ
Z14_0086A04: しは。なる程其通り。これ吾宗の意なり。大凡台宗に
Z14_0086A05: 立る所の念佛に二途あり。一には卽心唯心の沙汰な
Z14_0086A06: く。たゞ事相本願の口稱念佛。此は十疑論。及び延慶
Z14_0086A07: 院の淨社等の如し。二には三觀を以て唯心三諦と觀
Z14_0086A08: ずる。理觀の念佛。此は觀經疏鈔等に明す所の如し。
Z14_0086A09: かくの如く台宗に事相理觀を雙べ立て。一つも闕こ
Z14_0086A10: となきは。正しくこれ鳥の兩翼。車の兩輪と云ものな
Z14_0086A11: り。此外に口稱の念佛する的を。空寂無相と觀じ。或
Z14_0086A12: は三諦法界と觀じて事に卽して理を觀ずる人あり。
Z14_0086A13: 此は事理融卽する。理觀の人の念佛にして。理持と云
Z14_0086A14: ものなれば。十疑論等にいへる。但事口稱の念佛とは
Z14_0086A15: 異なるなり。
Z14_0086A16:   先年書れし驗非に。實相の觀解に住して。專ら名
Z14_0086A17:   號を唱る人は。理持の人なり。既に理持なれば。
Z14_0086B01:   事の念佛の機にあらず。何とて事の念佛に此機
Z14_0086B02:   を攝せんやと云れたり。此云分によるに。事に卽
Z14_0086B03:   して理を觀ずるは。理持の一邊にして。事の念佛
Z14_0086B04:   の攝に非ること決定せり。
Z14_0086B05: 談義本の云分にては。たゞ理觀の一道ばかりを云て。
Z14_0086B06: 十疑論や。延慶院の淨社の如き。事相の一邊を全く云
Z14_0086B07: れねば。兩翼が忽ち一翼となり。兩輪がまた片輪とな
Z14_0086B08: れば。云るゝが如く。自由自在にはあるべからず。
Z14_0086B09: さて末世の愚癡無智。此修行なるまじきことといへ
Z14_0086B10: ども。左樣にてはなし。女にも。男にも。貴にも。賤に
Z14_0086B11: も。智慧聰明なる生つきをゝし。能敎へ能習ひたら
Z14_0086B12: ば。なるまじきことにてなし等と云るゝは。甚だ聞え
Z14_0086B13: ぬことなり。まづさし當りて疑はしきは。第二座の談
Z14_0086B14: 義には。むづかしき入くみにてもなし。合點し難きこ
Z14_0086B15: ともなければ。いかなる人も。合點ゆくべきことなり
Z14_0086B16: と。心易げに云れしが。今になりては。いかなる人も
Z14_0086B17: とは。全く云ず。智慧聰明なる生れつきの人と。別し

ウィンドウを閉じる