浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0088A01: | 以て稀なることなり。か樣に稀なる師弟が。たま〱 |
Z14_0088A02: | 相逢て。能敎へ能習はねば。なるまじき卽心念佛。こ |
Z14_0088A03: | とに佛敎の大意を。よく〱知たるにてなければ。其 |
Z14_0088A04: | 安心が決定せぬことならば。ことの外むづかしく。甚 |
Z14_0088A05: | だ合點し難きことなるが故に。此を障り重く根鈍な |
Z14_0088A06: | る。末世の要行とは。さら〱云れぬなり。左樣にむ |
Z14_0088A07: | づかしく智慧聰明なる人を簡ひ。理觀の一道ばかり |
Z14_0088A08: | 云れては。天台の宗敎は。今時末世の。愚癡無智の衆 |
Z14_0088A09: | 生をして。生死を出すの利益は。一向なしと。他宗よ |
Z14_0088A10: | り難破せば。何とか答へられんや。もと天台四明の祖 |
Z14_0088A11: | 意に背きたる談義なるが故。か樣に種々の過失が出 |
Z14_0088A12: | るなり。天台の宗敎は。別しては法華經によれども。 |
Z14_0088A13: | 總じて一代の經說を用ゆれば。其廣博なること。大海 |
Z14_0088A14: | の如くにして。理觀事相闕ことなく。智慧聰明なる上 |
Z14_0088A15: | 々根の人も。其敎へを受るに不足なく。理觀を修し |
Z14_0088A16: | て。三德の妙果を證し。愚癡無智なる下々根の人も。 |
Z14_0088A17: | 其勸めによりて信を起し。佛名を唱へて。九品の蓮臺 |
Z14_0088B01: | に坐す。かくの如く天台の宗敎は。普く萬機を利益す |
Z14_0088B02: | ることなるに。談義本は智慧聰明なる人を簡ひ取て。 |
Z14_0088B03: | 一道ばかりを勸め。卽心念佛を專らとせいでは。天台 |
Z14_0088B04: | 宗になりたる甲斐はなきなりと云て。反て天台の事 |
Z14_0088B05: | 理具足する兩輪を。忽ち片輪車となし。末世の愚癡無 |
Z14_0088B06: | 智を運び載て。生死の火宅を出すことのならぬ樣に |
Z14_0088B07: | せらるゝは。大に歎息するに堪たること。これ今辨ぜ |
Z14_0088B08: | ざることを得ざる所以なり。況や其名は卽心念佛と |
Z14_0088B09: | 云るれども。其行は四明の如くに。唯心とも。三諦と |
Z14_0088B10: | も觀ずることなく。たゞ南無阿彌陀佛と念佛申す事 |
Z14_0088B11: | なれば。理觀とも事相ともしれぬ。僞作の卽心念佛。 |
Z14_0088B12: | 全く信仰し難き談義本なり。猶此外にも。聞えぬこと |
Z14_0088B13: | 共多ければ。辨ずべけれども。右大綱の入わけさへ顯 |
Z14_0088B14: | はるれば。其餘は例知すべきことと思ふが故に。之を |
Z14_0088B15: | 略するものなり。此度辨ずる所を。談義者が見られた |
Z14_0088B16: | りとも。止訛に見立たる所の。十種の持病ある人なれ |
Z14_0088B17: | ば。速かに改悔するの心は發らず。反て持病が强く發 |