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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0088A01: 以て稀なることなり。か樣に稀なる師弟が。たま〱
Z14_0088A02: 相逢て。能敎へ能習はねば。なるまじき卽心念佛。こ
Z14_0088A03: とに佛敎の大意を。よく〱知たるにてなければ。其
Z14_0088A04: 安心が決定せぬことならば。ことの外むづかしく。甚
Z14_0088A05: だ合點し難きことなるが故に。此を障り重く根鈍な
Z14_0088A06: る。末世の要行とは。さら〱云れぬなり。左樣にむ
Z14_0088A07: づかしく智慧聰明なる人を簡ひ。理觀の一道ばかり
Z14_0088A08: 云れては。天台の宗敎は。今時末世の。愚癡無智の衆
Z14_0088A09: 生をして。生死を出すの利益は。一向なしと。他宗よ
Z14_0088A10: り難破せば。何とか答へられんや。もと天台四明の祖
Z14_0088A11: 意に背きたる談義なるが故。か樣に種々の過失が出
Z14_0088A12: るなり。天台の宗敎は。別しては法華經によれども。
Z14_0088A13: 總じて一代の經說を用ゆれば。其廣博なること。大海
Z14_0088A14: の如くにして。理觀事相闕ことなく。智慧聰明なる上
Z14_0088A15: 々根の人も。其敎へを受るに不足なく。理觀を修し
Z14_0088A16: て。三德の妙果を證し。愚癡無智なる下々根の人も。
Z14_0088A17: 其勸めによりて信を起し。佛名を唱へて。九品の蓮臺
Z14_0088B01: に坐す。かくの如く天台の宗敎は。普く萬機を利益す
Z14_0088B02: ることなるに。談義本は智慧聰明なる人を簡ひ取て。
Z14_0088B03: 一道ばかりを勸め。卽心念佛を專らとせいでは。天台
Z14_0088B04: 宗になりたる甲斐はなきなりと云て。反て天台の事
Z14_0088B05: 理具足する兩輪を。忽ち片輪車となし。末世の愚癡無
Z14_0088B06: 智を運び載て。生死の火宅を出すことのならぬ樣に
Z14_0088B07: せらるゝは。大に歎息するに堪たること。これ今辨ぜ
Z14_0088B08: ざることを得ざる所以なり。況や其名は卽心念佛と
Z14_0088B09: 云るれども。其行は四明の如くに。唯心とも。三諦と
Z14_0088B10: も觀ずることなく。たゞ南無阿彌陀佛と念佛申す事
Z14_0088B11: なれば。理觀とも事相ともしれぬ。僞作の卽心念佛。
Z14_0088B12: 全く信仰し難き談義本なり。猶此外にも。聞えぬこと
Z14_0088B13: 共多ければ。辨ずべけれども。右大綱の入わけさへ顯
Z14_0088B14: はるれば。其餘は例知すべきことと思ふが故に。之を
Z14_0088B15: 略するものなり。此度辨ずる所を。談義者が見られた
Z14_0088B16: りとも。止訛に見立たる所の。十種の持病ある人なれ
Z14_0088B17: ば。速かに改悔するの心は發らず。反て持病が强く發

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