浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0084A01: | は。大に心緣の相もあり。能思所思。能覺所覺有て。能 |
Z14_0084A02: | 所絕せず。待對忘れざれば。四明所說の卽心念佛の妙 |
Z14_0084A03: | 觀には非ず。卽ちこれ魔事を行ずと云ものなり。此魔 |
Z14_0084A04: | 事の卽心念佛が。近來出たる故に。大勢の僧俗男女が |
Z14_0084A05: | 誑らかされて。日比の安心を損害し。極樂往生を。し |
Z14_0084A06: | そこなひ。生死の魔民となる樣に見ゆるは。さて〱 |
Z14_0084A07: | 歎かしきことなり。魔事の卽心念佛の流行する處は。 |
Z14_0084A08: | 諸人用心すべし。又卽心念佛の安心決定。此外には。 |
Z14_0084A09: | なきことなりと云るれども。三諦の理の明かならぬ |
Z14_0084A10: | 人の。思ふたり。覺えたりする。念佛申しの外に。なる |
Z14_0084A11: | 程四明は。思を絕し。議を忘れ。能所四緣の相をも忘 |
Z14_0084A12: | れて。佛の身相を。絕待に觀する。卽心念佛を立玉へ |
Z14_0084A13: | り。而るに今の談義は。四明と異にして。たゞ緣影を |
Z14_0084A14: | 認て。覺えたり。思ふたりして。口にて念佛申すをさ |
Z14_0084A15: | し出し。卽心念佛の安心決定。此外になきことなりと |
Z14_0084A16: | 云るゝは。譬へば京商人の。田舍ものに對して。麤相 |
Z14_0084A17: | なる新町物を。あてがひ。此はこれ極上なり。此外に |
Z14_0084B01: | 極上はなきことなりと。誑らかすが如し。家裏の小僧 |
Z14_0084B02: | を。欺誑するの談義。有識の受取ぬことなり。 |
Z14_0084B03: | 談曰。末世の要行は。卽心念佛なる事。總じて先。往 |
Z14_0084B04: | 生極樂を求めて。念佛を務むる人は。佛敎の大意 |
Z14_0084B05: | をよく〱知たるにてなければ。安心決定せぬな |
Z14_0084B06: | り。 |
Z14_0084B07: | 辨曰。卽心念佛安心決定談義本と題して。卽心念佛の |
Z14_0084B08: | 安心決定を專ら勸めらるゝ談義なるに。其安心決す |
Z14_0084B09: | ることは。佛敎の大意をよく〱知たるにてなけれ |
Z14_0084B10: | ば。決定せぬとは。さて〱むづかしきこと。此を末 |
Z14_0084B11: | 世の要行とは。いひ難きなり。よく思ふて見られよ。 |
Z14_0084B12: | 佛敎の大意を知と云は。大底に知ことさへ。無智の輩 |
Z14_0084B13: | は。なか〱なり難きこと。況やよく〱知と云こと |
Z14_0084B14: | は。尋常の人の及ぶ所に非ず。五濁の障り重く。衆生 |
Z14_0084B15: | の根鈍なる末世にて。佛敎の大意を。よく〱知たる |
Z14_0084B16: | 人は。百千人の中にも稀なるべければ。其餘の知ぬ人 |
Z14_0084B17: | は。皆々安心が決定せぬからは。往生も亦決定すまじ |