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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0084A01: は。大に心緣の相もあり。能思所思。能覺所覺有て。能
Z14_0084A02: 所絕せず。待對忘れざれば。四明所說の卽心念佛の妙
Z14_0084A03: 觀には非ず。卽ちこれ魔事を行ずと云ものなり。此魔
Z14_0084A04: 事の卽心念佛が。近來出たる故に。大勢の僧俗男女が
Z14_0084A05: 誑らかされて。日比の安心を損害し。極樂往生を。し
Z14_0084A06: そこなひ。生死の魔民となる樣に見ゆるは。さて〱
Z14_0084A07: 歎かしきことなり。魔事の卽心念佛の流行する處は。
Z14_0084A08: 諸人用心すべし。又卽心念佛の安心決定。此外には。
Z14_0084A09: なきことなりと云るれども。三諦の理の明かならぬ
Z14_0084A10: 人の。思ふたり。覺えたりする。念佛申しの外に。なる
Z14_0084A11: 程四明は。思を絕し。議を忘れ。能所四緣の相をも忘
Z14_0084A12: れて。佛の身相を。絕待に觀する。卽心念佛を立玉へ
Z14_0084A13: り。而るに今の談義は。四明と異にして。たゞ緣影を
Z14_0084A14: 認て。覺えたり。思ふたりして。口にて念佛申すをさ
Z14_0084A15: し出し。卽心念佛の安心決定。此外になきことなりと
Z14_0084A16: 云るゝは。譬へば京商人の。田舍ものに對して。麤相
Z14_0084A17: なる新町物を。あてがひ。此はこれ極上なり。此外に
Z14_0084B01: 極上はなきことなりと。誑らかすが如し。家裏の小僧
Z14_0084B02: を。欺誑するの談義。有識の受取ぬことなり。
Z14_0084B03:  談曰。末世の要行は。卽心念佛なる事。總じて先。往
Z14_0084B04:  生極樂を求めて。念佛を務むる人は。佛敎の大意
Z14_0084B05:  をよく〱知たるにてなければ。安心決定せぬな
Z14_0084B06:  り。
Z14_0084B07: 辨曰。卽心念佛安心決定談義本と題して。卽心念佛の
Z14_0084B08: 安心決定を專ら勸めらるゝ談義なるに。其安心決す
Z14_0084B09: ることは。佛敎の大意をよく〱知たるにてなけれ
Z14_0084B10: ば。決定せぬとは。さて〱むづかしきこと。此を末
Z14_0084B11: 世の要行とは。いひ難きなり。よく思ふて見られよ。
Z14_0084B12: 佛敎の大意を知と云は。大底に知ことさへ。無智の輩
Z14_0084B13: は。なか〱なり難きこと。況やよく〱知と云こと
Z14_0084B14: は。尋常の人の及ぶ所に非ず。五濁の障り重く。衆生
Z14_0084B15: の根鈍なる末世にて。佛敎の大意を。よく〱知たる
Z14_0084B16: 人は。百千人の中にも稀なるべければ。其餘の知ぬ人
Z14_0084B17: は。皆々安心が決定せぬからは。往生も亦決定すまじ

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