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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0081A01: 辨曰。まづ此卽心念佛の申し樣とある。標題を見れ
Z14_0081A02: ば。見るとはや。四明の卽心念佛にはあらぬと云こと
Z14_0081A03: が。よく知るなり。何となれば。四明の名を立て。弘め
Z14_0081A04: 玉ふのならば。卽心念佛の觀じ樣とか。觀念し樣とか
Z14_0081A05: 云では。叶はぬことなるに。卽心念佛の申し樣とあ
Z14_0081A06: る。申すとは口にて南無阿彌陀佛と申すことなれば。
Z14_0081A07: 四明の佛身を觀念する。眞の卽心念佛にはあらぬ。僞
Z14_0081A08: 作なりと云事の。よく顯はるゝ標題なり。心を付て見
Z14_0081A09: るべし。さて卽心念佛の行者の。腰のすへ樣と云る
Z14_0081A10: れば。なにぞ甚深に殊勝なることにてあらんと思ふ
Z14_0081A11: に。一向左はなく。たゞ人の心を失はぬが。卽心念佛
Z14_0081A12: の行者の。腰のすへ樣とは。さて〱信さめたる談義
Z14_0081A13: なり。人の心を失はず。惻隱羞惡。辭讓是非の心の。あ
Z14_0081A14: るべきことは。儒者も。佛者も。小乘の學者も。大乘の
Z14_0081A15: 行者も。下職人百姓に至るまで。並に同じことなれ
Z14_0081A16: ば。今別して天台宗の卽心念佛の行者と。高上に標し
Z14_0081A17: 出す。その腰のすへ樣に。人の心を失はぬといふ分に
Z14_0081B01: ては。近比不足にして。殘念千萬なり。なをよく思案
Z14_0081B02: し。腰をすへ直されて可なり。か樣の合點なるが故。
Z14_0081B03: 此度の談義も。腰がすはらず。理觀やら。口稱やら。ふ
Z14_0081B04: ら〱としたる在樣なり。かゝる在樣なる談義にて。
Z14_0081B05: 卽心念佛の。安心決定すべきこととは。さら〱思は
Z14_0081B06: れぬなり。
Z14_0081B07:  談曰。三諦の理の明らかならぬ人にても。とかく我
Z14_0081B08:  心が法界なれば。西方の彌陀は。我心の內の彌陀な
Z14_0081B09:  り。我は彌陀の心の內の衆生なりと思ふて。念佛す
Z14_0081B10:  るがよきなり。此念佛の功積らば次第に三諦の理
Z14_0081B11:  が明らかになるべし。此分は。學問せぬ人も。なる
Z14_0081B12:  ほど覺へ易きこと。心得易きことなれば。天台宗の
Z14_0081B13:  念佛申しは。必ず此意にて申すべし。卽心念佛の安
Z14_0081B14:  心決定。此外にはなきことなり。
Z14_0081B15: 辨曰。今圓人の卽心念佛を談ずるとして。三諦の理の
Z14_0081B16: 明かならぬ人の。西方の彌陀は。我心の內の彌陀なり
Z14_0081B17: 等と思ふて。念佛申すがよきなり。此念佛の功積らば。

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