浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0081A01: | 辨曰。まづ此卽心念佛の申し樣とある。標題を見れ |
Z14_0081A02: | ば。見るとはや。四明の卽心念佛にはあらぬと云こと |
Z14_0081A03: | が。よく知るなり。何となれば。四明の名を立て。弘め |
Z14_0081A04: | 玉ふのならば。卽心念佛の觀じ樣とか。觀念し樣とか |
Z14_0081A05: | 云では。叶はぬことなるに。卽心念佛の申し樣とあ |
Z14_0081A06: | る。申すとは口にて南無阿彌陀佛と申すことなれば。 |
Z14_0081A07: | 四明の佛身を觀念する。眞の卽心念佛にはあらぬ。僞 |
Z14_0081A08: | 作なりと云事の。よく顯はるゝ標題なり。心を付て見 |
Z14_0081A09: | るべし。さて卽心念佛の行者の。腰のすへ樣と云る |
Z14_0081A10: | れば。なにぞ甚深に殊勝なることにてあらんと思ふ |
Z14_0081A11: | に。一向左はなく。たゞ人の心を失はぬが。卽心念佛 |
Z14_0081A12: | の行者の。腰のすへ樣とは。さて〱信さめたる談義 |
Z14_0081A13: | なり。人の心を失はず。惻隱羞惡。辭讓是非の心の。あ |
Z14_0081A14: | るべきことは。儒者も。佛者も。小乘の學者も。大乘の |
Z14_0081A15: | 行者も。下職人百姓に至るまで。並に同じことなれ |
Z14_0081A16: | ば。今別して天台宗の卽心念佛の行者と。高上に標し |
Z14_0081A17: | 出す。その腰のすへ樣に。人の心を失はぬといふ分に |
Z14_0081B01: | ては。近比不足にして。殘念千萬なり。なをよく思案 |
Z14_0081B02: | し。腰をすへ直されて可なり。か樣の合點なるが故。 |
Z14_0081B03: | 此度の談義も。腰がすはらず。理觀やら。口稱やら。ふ |
Z14_0081B04: | ら〱としたる在樣なり。かゝる在樣なる談義にて。 |
Z14_0081B05: | 卽心念佛の。安心決定すべきこととは。さら〱思は |
Z14_0081B06: | れぬなり。 |
Z14_0081B07: | 談曰。三諦の理の明らかならぬ人にても。とかく我 |
Z14_0081B08: | 心が法界なれば。西方の彌陀は。我心の內の彌陀な |
Z14_0081B09: | り。我は彌陀の心の內の衆生なりと思ふて。念佛す |
Z14_0081B10: | るがよきなり。此念佛の功積らば次第に三諦の理 |
Z14_0081B11: | が明らかになるべし。此分は。學問せぬ人も。なる |
Z14_0081B12: | ほど覺へ易きこと。心得易きことなれば。天台宗の |
Z14_0081B13: | 念佛申しは。必ず此意にて申すべし。卽心念佛の安 |
Z14_0081B14: | 心決定。此外にはなきことなり。 |
Z14_0081B15: | 辨曰。今圓人の卽心念佛を談ずるとして。三諦の理の |
Z14_0081B16: | 明かならぬ人の。西方の彌陀は。我心の內の彌陀なり |
Z14_0081B17: | 等と思ふて。念佛申すがよきなり。此念佛の功積らば。 |