ウィンドウを閉じる

Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0080A01: のゆかぬものは。何とて左樣の功德あるべきやと。功
Z14_0080A02: 德の有無を疑ふに。功德があるとも。なしともえ云
Z14_0080A03: ず。たゞ合點のゆかぬことも。度々聞は。後には合點
Z14_0080A04: ゆくものなり。退屈すべからずとばかり云て。警策し
Z14_0080A05: て。しまはるゝは。さて〱不埓千萬なることなり。
Z14_0080A06: かゝる不埓を云て。はつきと。會通のならぬと云は。
Z14_0080A07: 三諦の理の。明かならぬ人の。覺えたり。思ふたりする
Z14_0080A08: 分齊は。眞の卽心念佛には非ずして。元來四明の如く
Z14_0080A09: なる。廣大無邊の功德なきが故なりと云こと。自顯れ
Z14_0080A10: たるなり。かくの如く。はつきと。會通はならず。やう
Z14_0080A11: やう得手の紛らを出して。當分の難を遁れながら。此
Z14_0080A12: にも懲ずして。又第六座の談義に。卽心念佛の功德利
Z14_0080A13: 益を云として。四明の卽心念佛に。廣大無邊の功德あ
Z14_0080A14: ると云文どもを。偸に取來て。覺えたり思ふたりす
Z14_0080A15: る。愚癡無智の念佛申しの功德の樣に。紛らかして憍
Z14_0080A16: らるゝは。狐が虎の威をかつて。百獸に憍慢するが如
Z14_0080A17: く。又隣りの藏にある。結構なる寶どもを。數へたて
Z14_0080B01: て。我物の樣にいひ。知ぬ人を誑らかすが如し。さて
Z14_0080B02: さて正直ならぬこと共なり。左樣に愚癡無智の。覺え
Z14_0080B03: たり思ふたりして。念佛申すに。四明の如く。廣大無
Z14_0080B04: 邊の功德があるならば。何とて最前伏疑を會するに。
Z14_0080B05: なる程功德があると。はつきと會通せずして。餘處ご
Z14_0080B06: とを云て。紛らかさるゝや。か樣に談義の腰がすはら
Z14_0080B07: ず。紛らかしの出るは。もと四明の弘め玉ふ。眞の卽
Z14_0080B08: 心念佛には非ず。僞作妄料簡の故なること明かに知
Z14_0080B09: るるなり。
Z14_0080B10:  卽心念佛の申し樣の事と。標する下の談曰。卽心念
Z14_0080B11:  佛の行者も。手前を能し。腰をすゆるを。本とすべ
Z14_0080B12:  し。其手前。腰のすへやうは。とかく佛道修行は。六
Z14_0080B13:  道の中にては。人道最上なれば。人間の心になり。
Z14_0080B14:  人間の心を失なわぬが。念佛申しの手前。腰のすゑ
Z14_0080B15:  やうなり。乃至人の心と云は。體能義讓。卽人道心
Z14_0080B16:  と釋して。仁義禮智の心が。人の心なり。孟子の四
Z14_0080B17:  端。云云

ウィンドウを閉じる