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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0077A01: より見れば。口にて唱る所の彌陀を三諦法界なりと
Z14_0077A02: 妙理を照すは。深く明かなる。上々の人なり。三諦の
Z14_0077A03: 理の明かならぬ人は。此理を一心三觀にて。觀じ照す
Z14_0077A04: ことはならず。それゆへ。たゞ我心を離れずと云こと
Z14_0077A05: を知覺えて忘れず。思ひ思ふて。念佛申すが。淺く暗
Z14_0077A06: き。下根の人なりと云意にして。前にいかなる人も。
Z14_0077A07: 合點ゆくべしと云て。愚癡無智をも。簡び除られぬ
Z14_0077A08: は。此下根の人のことと見へたり。此は上下根共に。
Z14_0077A09: 口にて南無阿彌陀佛と。佛の名を唱る上にて云るゝ
Z14_0077A10: が故。四明の。佛の身相に託し。思議を忘れて觀念す
Z14_0077A11: る。眞の卽心念佛とは。異なるなり。況や口にて念佛
Z14_0077A12: 申す上にて。上下根の人や。淺深明暗の品を分つ卽心
Z14_0077A13: 念佛は。根本の觀經にも曾てなく。天台大師の疏にも
Z14_0077A14: 終に見えず。その名を立て弘め玉ふ。四明の妙宗鈔の
Z14_0077A15: 中にも。全くこれなきことなれば。此も亦談義本の妄
Z14_0077A16: 料簡なること必定なり。最前には。根本は觀經より出
Z14_0077A17: たり。名を立て專ら弘め玉ふは。四明尊者なりと。い
Z14_0077B01: ひながら。而もか樣に。觀經にも四明にもなき。妄料
Z14_0077B02: 簡を出さるゝは。譬へば看板には。すさまじき虎を畫
Z14_0077B03: き出して。而も虎にはあらぬ。猫を見せるが如し。無
Z14_0077B04: 知の小兒は。誑らかさるゝとも。有識の人は。全く合
Z14_0077B05: 點せぬことなり。さて卽心念佛の人よりは。事の念佛
Z14_0077B06: 申すも。卽心念佛を離れずと見れども。事の念佛の申
Z14_0077B07: し方よりは。左樣には。え云ぬなりとは。此も四明の
Z14_0077B08: 弘め玉ふが如き。圓妙の理觀を修する人より見るな
Z14_0077B09: らば。なる程左樣に事の念佛申すも。卽心念佛を離れ
Z14_0077B10: ずと見るべし。さりながら。談義本の如く。いかなる
Z14_0077B11: 人も。合點し易き所の。思ひ思ふて。念佛申す樣な卽
Z14_0077B12: 心念佛の人よりはなか〱左樣に見ることは。なる
Z14_0077B13: まじきなり。又此談義の通りなれば。此度は事の念
Z14_0077B14: 佛申すも。卽心念佛を離れずと見る。理觀の人のこと
Z14_0077B15: ばかりを云て。左樣にはえ云ぬ事の念佛申しのこと
Z14_0077B16: を。全く云れねば。事理の二行を具足する。天台宗の
Z14_0077B17: 意に背き。十疑論や。延慶院の淨社の如き。但事本願

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