ウィンドウを閉じる

Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0076A01: 念佛申すに付て理を照すを。理持と名るなりといへ
Z14_0076A02: り。此云分も亦聞えたり。三諦なりと云所を。深く了
Z14_0076A03: 達してと云は。これ妙解にして。理を照して念佛申す
Z14_0076A04: と云より下が。正しく妙行なり。かくの如く云てこ
Z14_0076A05: そ。理持なるべけれ。此度の樣に。我心を離れずと知
Z14_0076A06: てと。知解するばかりにて。其行は綱要の如くに。理
Z14_0076A07: を照して念佛申。念佛申すに付て。理を照すとは云
Z14_0076A08: ず。たゞ念佛申すとばかり云るゝは。さて〱信受し
Z14_0076A09: 難き理持なるかな。
Z14_0076A10:   有問云。先年撰ぜられし旁觀記や。台宗綱要の理
Z14_0076A11:   持は。よく聞えて。此度の理持が聞えぬならば。
Z14_0076A12:   談義者の學問は。先年より反てさがりたりと云
Z14_0076A13:   んや。答。學問のさがりたるか。老耄せられたる
Z14_0076A14:   故か。但しは胸中に一物ある故か。我は知ず。何
Z14_0076A15:   れにしても。此度のは不出來なり。
Z14_0076A16:  談曰。三諦の彌陀を念ずるは。卽ち一心三觀なり。
Z14_0076A17:  此理を知て。此理を照すは。上々の人なり。此理を
Z14_0076B01:  知ねども。此理は離れぬものなれば。愚癡無智の人
Z14_0076B02:  の申す念佛も。一心三觀の卽心念佛と云に。相違な
Z14_0076B03:  きなり。此則卽心念佛の人よりは。事の念佛申す
Z14_0076B04:  も。卽心念佛を離れずと見れども。事の念佛申しの
Z14_0076B05:  方よりは。左樣にはえ云ぬなり。
Z14_0076B06: 辨曰。此談義中に。此理を知て。此理を照すと云るゝ
Z14_0076B07: 此理を知とは。たゞこれ妙解の分齊此理を照すと云
Z14_0076B08: が。正しく行相なり。爾らば前に我心を離れずと知て
Z14_0076B09: と。云るゝ所の知とは。開解の分齊にして。未だ此理
Z14_0076B10: を照す。觀行には非ずと云こと。此處にてもよく見ゆ
Z14_0076B11: るなり。又此に此理を照すは。上々の人なりといひ。
Z14_0076B12: 前にも。南無阿彌陀佛と申す處に。一心三觀があきら
Z14_0076B13: かなり。此は上々の卽心念佛者なりといひ。後には此
Z14_0076B14: 安心に
Z14_0076B15:   此安心とは。上に云る。口にて念佛申す上の安心
Z14_0076B16:   なり。四明の觀佛とは同じからず。
Z14_0076B17: 淺きあり。深きあり暗きあり。明かなるあると云るゝ

ウィンドウを閉じる