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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0075A01: りかへしたる在樣は。千代野が。桶の底の。ぬけたる
Z14_0075A02: には。遙かに及ばぬことと。笑ふべきなり。爾らば此
Z14_0075A03: 談義。他宗に向て。說べからずと云るゝは。なる程尤
Z14_0075A04: 千萬なり。いよ〱左樣に。禁制せらるゝが然るべ
Z14_0075A05: し。他宗の中にも。禪宗などには。聞せても害あるま
Z14_0075A06: じと云れしが。此は大に尤ならず。此云分より見れ
Z14_0075A07: ば。禪宗の旨を。少しも合點せられぬと聞えたり。此
Z14_0075A08: 度の樣に。此意を忘れず。思ひ思ふて。しづのをだま
Z14_0075A09: き。くりかへす。卽心念佛の談義を。少しにても。心あ
Z14_0075A10: る禪宗が。聞たるならば。別して腹を捧て笑ふべけれ
Z14_0075A11: ば。此天台宗の耻辱になることにして。大に害あるこ
Z14_0075A12: となる程に。禪宗には。いよ〱聞すことを禁制に
Z14_0075A13: し。たゞ家裏の小僧共を對衆にして。密かに談ぜらる
Z14_0075A14: るが。宜しかるべし。嗚呼公道ならぬ談義。天台四明
Z14_0075A15: 等の。事相理觀。雙へ談じて。普く諸根機を攝得する
Z14_0075A16: とは。大に異なることなれば。其邪談なること。明か
Z14_0075A17: に知ぬべし。又旁觀記には。此理を悟りて後。後の字眼をつ
Z14_0075B01: くべし念々に此理を照して。念佛申すをば。天台宗の理
Z14_0075B02: 持の念佛と云といへり。此記はなる程よく聞えたり。
Z14_0075B03: 此に由て見るに。此度我心を離れずと知て。念佛申す
Z14_0075B04: と。云るゝ所の知とは。旁觀記の。此理を悟りてと云
Z14_0075B05: と同じくして。たゞ妙解の分齊なり。その知て後の行
Z14_0075B06: を。旁觀記の如く。念々に此理を照して。念佛申すと
Z14_0075B07: は云ず。此度はたゞ念佛申すとばかりなれば。此は理
Z14_0075B08: 持とも。卽心念佛とも云れず。妙解らしき詞は。少し
Z14_0075B09: あれども。其行は觀照なき。たゞこれ事相の念佛な
Z14_0075B10: り。因ていかなる人も。合點ゆくべきなりと。心易く
Z14_0075B11: 云るゝなり。かくの如きは。四明の弘め玉ふ。前に妙
Z14_0075B12: 解を明に開て。而して後に境に託して。唯心法界と。
Z14_0075B13: 念々に觀じ照す。卽心念佛とも名け難く。また天台宗
Z14_0075B14: の理持ともいひ難きなり。又台宗綱要に。理持と云
Z14_0075B15: は。前の事持の上に。念佛申吾心も。本來三諦法界な
Z14_0075B16: り。念ずる所の佛も。唱る所の名號も。一々皆三諦法
Z14_0075B17: 界なりと云所を。深く了達して。理を照して念佛申。

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