浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0072A01: | 以て觀ずとも。唯心法界と照すとも云ずして。たゞ口 |
Z14_0072A02: | にて南無阿彌陀佛と。念佛申すを。約心觀佛と同じ所 |
Z14_0072A03: | の。卽心念佛なりと云るゝは。天台四明の釋に。全く |
Z14_0072A04: | 見えぬ妄料簡なり。況や結して。卽心念佛の義。此外 |
Z14_0072A05: | にはなきことなりと。詞を放つて。談ぜられたるが。 |
Z14_0072A06: | たゞ南無阿彌陀佛と。念佛申す外に。なる程四明尊 |
Z14_0072A07: | 者。明かに佛の身相を。一心三觀を以て。絕待に觀念 |
Z14_0072A08: | することを。重々明し玉ふが故。此外になきことなり |
Z14_0072A09: | と。放言せらるゝは。無知の輩を誑らかす。臆裏の妄 |
Z14_0072A10: | 談なり。か樣の妄談なるが故。かく云分は。むづかし |
Z14_0072A11: | き入くみにてもなし。合點し難きこともなければ。い |
Z14_0072A12: | かなる人も。合點ゆくべきなりと。云るゝが道理な |
Z14_0072A13: | り。いかなる人もと云るゝからは。尼入道も。愚夫愚 |
Z14_0072A14: | 婦も。合點し易き。南無阿彌陀佛と。念佛申す卽心念 |
Z14_0072A15: | 佛なれば。全く四明の名を立て弘め玉ふとは。異なる |
Z14_0072A16: | ことなり。されば釋迦彌陀等の如き。究竟の佛智な |
Z14_0072A17: | る。一心三觀を以て。遙かに遠き西方の彌陀を。唯心 |
Z14_0072B01: | にして。三諦法界と。作是一心に觀ずる眞の卽心念佛 |
Z14_0072B02: | は。此を圓かに解知することさへ甚だ難し。況〓之を |
Z14_0072B03: | 觀じ照すこと何ぞ易からんや。恐くは天下に廣き台 |
Z14_0072B04: | 徒の中にも。文字上の知解はありとも。明かに此心觀 |
Z14_0072B05: | の圓解を開發して。念々性に稱ふて。絕待に觀する人 |
Z14_0072B06: | は。まことに稀なるへし。睿岳にては。此邦の四明と。 |
Z14_0072B07: | 尊重渴仰する。老比丘にて居ながらも。此念佛のこ |
Z14_0072B08: | と。拙僧も勤め得たりとは。思はれねば。いかでか。人 |
Z14_0072B09: | 々をして。深く信得せしむることを得んやと云るゝ |
Z14_0072B10: | が。これ眞實語なるべし。かの淸堂の。吾さへとくと。 |
Z14_0072B11: | 會得せぬといへるは其筈なり。爾らはいかなる人も。 |
Z14_0072B12: | 難きことなく。合點ゆく樣なる。卽心念佛は。決して |
Z14_0072B13: | 四明の弘め玉ふ所に非ず。黃金に似せたる。眞鍮の如 |
Z14_0072B14: | き。僞作の卽心念佛なれは。眼ある人は受取まじ。次 |
Z14_0072B15: | 第に段々色がさめて。千歲の後までも。醜名を殘され |
Z14_0072B16: | んは。笑止なることなり。 さて此意を忘れずして。 |
Z14_0072B17: | 念佛申すにつけて。此意を思ひ。此意を思ふて。念佛 |