浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0065A01: | いひ。十萬億土を隔てたる。西方の彌陀を。我心の彌 |
Z14_0065A02: | 陀なりなどゝ云ことを聞ば。一切合點がゆかねば。ま |
Z14_0065A03: | して行することはならず。又卽心ならぬは。大分水を |
Z14_0065A04: | 加る乳の。極樂の順禮やど位ならでは。えをるまじな |
Z14_0065A05: | どゝ云るゝを聞ては。今まで勤めし。事の念佛は。あ |
Z14_0065A06: | り難くなき樣になりて。信心を動轉し。卽心もなら |
Z14_0065A07: | ず。事相も決定せねば。邯鄲の步みの如くになりて。 |
Z14_0065A08: | 進退に利益を失ひ。又智慧利根の人が。此意を忘れず |
Z14_0065A09: | して。よく覺え。思ひ思ふ樣な談義を聞ては。さてさ |
Z14_0065A10: | てわけもなき。理觀なりと打捨て。鳳凰の腐鼠を顧み |
Z14_0065A11: | ざるが如くなるべければ。此人にも利益なし。爾らば |
Z14_0065A12: | 此度の談義は。愚癡無智の輩にも。智慧利根の人に |
Z14_0065A13: | も。利益なきことなれば。下愚も上智も。漏すことな |
Z14_0065A14: | く。普く攝得する。天台の宗意とは。全く云れぬ談義 |
Z14_0065A15: | なるかな。又古へ覺超僧都。慧心の僧都に問ての玉 |
Z14_0065A16: | はく。所行の念佛は。これ事を行すとせんやこれ理 |
Z14_0065A17: | を行すとせんや。慧心の僧都。答へての玉はく。こゝ |
Z14_0065B01: | ろ萬境にさへぎる。此を以て。我たゞ稱名を行するな |
Z14_0065B02: | り。往生の業には。稱名もともたれり。これによりて。 |
Z14_0065B03: | 一生中の念佛。其數を勘へたるに。二十俱 遍なり |
Z14_0065B04: | と。叡山功德院。舜昌法印の書れし。繪詞傳に出たり然れは則ち。本邦にては。道俗 |
Z14_0065B05: | の尊敬する。慧心の僧都も。我たゞ稱名を行するなり |
Z14_0065B06: | と云て。たゞ事の口稱を專らとして。卽心念佛を專ら |
Z14_0065B07: | とはし玉はざる程に。談義本の如くならば。慧心の僧 |
Z14_0065B08: | 都も。天台宗になり玉ふ甲斐は。なきなりと云れん |
Z14_0065B09: | や。又乳に大分水を加えられたりと云れんや。又極樂 |
Z14_0065B10: | の順禮やど位ならでは。えをられまじと云れんや。重 |
Z14_0065B11: | 々不審千萬なり。慧心の僧都を。左樣に云れては。有 |
Z14_0065B12: | 智の台徒は。合點せぬことなるべし。況や慧心の僧都 |
Z14_0065B13: | は。安樂院の先祖師に非ずや。それを左樣に脚下にい |
Z14_0065B14: | ひ落されては。逆路伽耶陀此名二弟子破師論一 と云ものにはな |
Z14_0065B15: | らざるや。さて〱信仰にもなき談義なり。傳へ聞法 |
Z14_0065B16: | 然上人も。慧心の所行を追慕して。慧心の先德の。往 |
Z14_0065B17: | 生要集を披くに。往生之業。念佛爲レ本といひ。又かの |