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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0065A01: いひ。十萬億土を隔てたる。西方の彌陀を。我心の彌
Z14_0065A02: 陀なりなどゝ云ことを聞ば。一切合點がゆかねば。ま
Z14_0065A03: して行することはならず。又卽心ならぬは。大分水を
Z14_0065A04: 加る乳の。極樂の順禮やど位ならでは。えをるまじな
Z14_0065A05: どゝ云るゝを聞ては。今まで勤めし。事の念佛は。あ
Z14_0065A06: り難くなき樣になりて。信心を動轉し。卽心もなら
Z14_0065A07: ず。事相も決定せねば。邯鄲の步みの如くになりて。
Z14_0065A08: 進退に利益を失ひ。又智慧利根の人が。此意を忘れず
Z14_0065A09: して。よく覺え。思ひ思ふ樣な談義を聞ては。さてさ
Z14_0065A10: てわけもなき。理觀なりと打捨て。鳳凰の腐鼠を顧み
Z14_0065A11: ざるが如くなるべければ。此人にも利益なし。爾らば
Z14_0065A12: 此度の談義は。愚癡無智の輩にも。智慧利根の人に
Z14_0065A13: も。利益なきことなれば。下愚も上智も。漏すことな
Z14_0065A14: く。普く攝得する。天台の宗意とは。全く云れぬ談義
Z14_0065A15: なるかな。又古へ覺超僧都。慧心の僧都に問ての玉
Z14_0065A16: はく。所行の念佛は。これ事を行すとせんやこれ理
Z14_0065A17: を行すとせんや。慧心の僧都。答へての玉はく。こゝ
Z14_0065B01: ろ萬境にさへぎる。此を以て。我たゞ稱名を行するな
Z14_0065B02: り。往生の業には。稱名もともたれり。これによりて。
Z14_0065B03: 一生中の念佛。其數を勘へたるに。二十俱 遍なり
Z14_0065B04: と。叡山功德院。舜昌法印の書れし。繪詞傳に出たり然れは則ち。本邦にては。道俗
Z14_0065B05: の尊敬する。慧心の僧都も。我たゞ稱名を行するなり
Z14_0065B06: と云て。たゞ事の口稱を專らとして。卽心念佛を專ら
Z14_0065B07: とはし玉はざる程に。談義本の如くならば。慧心の僧
Z14_0065B08: 都も。天台宗になり玉ふ甲斐は。なきなりと云れん
Z14_0065B09: や。又乳に大分水を加えられたりと云れんや。又極樂
Z14_0065B10: の順禮やど位ならでは。えをられまじと云れんや。重
Z14_0065B11: 々不審千萬なり。慧心の僧都を。左樣に云れては。有
Z14_0065B12: 智の台徒は。合點せぬことなるべし。況や慧心の僧都
Z14_0065B13: は。安樂院の先祖師に非ずや。それを左樣に脚下にい
Z14_0065B14: ひ落されては。逆路伽耶陀此名弟子破師論 と云ものにはな
Z14_0065B15: らざるや。さて〱信仰にもなき談義なり。傳へ聞法
Z14_0065B16: 然上人も。慧心の所行を追慕して。慧心の先德の。往
Z14_0065B17: 生要集を披くに。往生之業。念佛爲本といひ。又かの

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