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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0064A01: は。別して此觀經の觀法を釋し玉ふが故なり。總じて
Z14_0064A02: は。事理の二行。もと經說に出るが故。天台宗祖も。經
Z14_0064A03: 說に依て。事理の二行。一つも闕ことなく。雙へて弘
Z14_0064A04: め玉へり。理觀を明し玉ふは觀經疏等の如し。事相本
Z14_0064A05: 願の念佛は。十疑論の中に。又阿彌陀佛。別有大悲四
Z14_0064A06: 十八願。攝引衆生といひ。又阿彌陀經。大無量壽經
Z14_0064A07: 等に十方恒沙諸佛。舒其舌相。證成一切衆生。念
Z14_0064A08: 彌陀佛。乘佛大悲本願力故。決定得上レ極樂世界
Z14_0064A09: いひ。釋迦大師。一代說法。處々聖敎。唯勸衆生專心。
Z14_0064A10: 偏念阿彌陀佛。求上レ西方極樂世界といへり。此等
Z14_0064A11: の文。卽心唯心の理觀は一句も云ず。たゝ事相本願の
Z14_0064A12: 念佛のみを勸め玉ふこと。宛かも四明の淨社。慈雲の
Z14_0064A13: 力法と一轍にして。歷々分明なれは。末學誰か異議せ
Z14_0064A14: んや。かくの如く。宗祖の敎に。事理の二途。一つも闕
Z14_0064A15: ことなきが故。天台の宗敎は。上々根の智者達も。其
Z14_0064A16: 敎に依て觀を起し。下々根の尼入道も。其勸めを受て
Z14_0064A17: 佛を稱すれば。漏す底の衆生なく。普諸根機を攝得
Z14_0064B01: す。嗚呼天台の宗敎。盛んに富るかな。淨土之敎。至
Z14_0064B02: 于天台。其說大備と。古人の稱歎せるは。正しく此か
Z14_0064B03: 爲なり。而るに談義本は。かゝる祖敎に違背して。四
Z14_0064B04: 明尊者は。只卽心念佛の。一道を勤め玉ふといひ。事
Z14_0064B05: の念佛申すも。卽心念佛を離れずと見るなどゝ。たゞ
Z14_0064B06: 理の一邊のみを云るゝは。天台の宗敎を。最も高上に
Z14_0064B07: 云んとて。反て尼入道も。愚夫愚婦も。並に漏すこと
Z14_0064B08: なき宗敎の廣大なることを。曾て知れねば。これぞ天
Z14_0064B09: 台宗になられし。甲斐はなきなりと。謂つべきなり。
Z14_0064B10: もし剛然として。天台宗は卽心念佛を專らとし。たゞ
Z14_0064B11: 理觀の一道ばかりを勤むと云れば。天台宗には理觀
Z14_0064B12: を明す觀經ばかりを用て。卽心を明さず。無量壽經
Z14_0064B13: や。阿彌陀經等は。大分水を加る乳なるが故に。用ひ
Z14_0064B14: ぬ經なりと云れんや。もし左樣に云れば。天台祖師の
Z14_0064B15: 十疑論等に。無量壽經も阿彌陀經も。往々に引用ひ玉
Z14_0064B16: ふは。何とか云んや。此會通を。紛かさずして。分明に
Z14_0064B17: せらるべし。況や愚癡無智の輩が。卽心の。三觀のと

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