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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0058A01: 三諦の妙理を觀する。理觀とは云れず。上の文に。良
Z14_0058A02: 物情深。適時智巧。故多談事相。少示觀門とい
Z14_0058A03: へる此なり。故此に至て。適時之巧。非我所一レ能等と
Z14_0058A04: の玉へるは。彼孤山等。深妙の理觀にたえぬ。下凡の
Z14_0058A05: 緣種を霑さんが爲。且く時の機の宜きに適ふて。多く
Z14_0058A06: 事相の觀を以て示さるゝを適時之巧との玉へるも
Z14_0058A07: のなり。かくの如くに見てこそ。序の文の上下。よく
Z14_0058A08: 照應すれ。爾らば此は。別して觀經に明せる。觀法の
Z14_0058A09: 一色のみを釋する上にて。の玉へることなれば。全く
Z14_0058A10: 以て談義本の如く。時々の宜きに順つて。色々の法門
Z14_0058A11: を說ことには非ず。而るを總して佛や大菩薩のそれ
Z14_0058A12: 〲の機に適ふて。さま〲の法門を授ることと見
Z14_0058A13: られたるは。さし當る序の文意をさへ。とくと知れね
Z14_0058A14: は。後に明せる妙觀法を。理の觀念やら。事の口稱や
Z14_0058A15: ら。何ともしれぬ。模稜の手の權なる。卽心念佛を談
Z14_0058A16: し出さるゝは。其筈なり。卽心念佛と云名を立て。弘
Z14_0058A17: め玉へるは。なる程四明尊者なるが。其四明の立玉ふ
Z14_0058B01: 卽心念佛とは。約心觀佛と云と。同じことなるが故。
Z14_0058B02: 念とは觀念の念にして。
Z14_0058B03:   虎溪境觀要門には。卽心觀佛。亦名約心觀佛
Z14_0058B04:   いへり。
Z14_0058B05: 前に圓解を開て。三諦の理を明かにし。而して後不可
Z14_0058B06: 思議の一心三觀を以て。彌陀の身相を。唯心に約し
Z14_0058B07: て。三諦法界と。絕對に觀する。圓妙の觀佛を名け玉
Z14_0058B08: ふて。南無阿彌陀佛と。念佛申すことには非ず。其相
Z14_0058B09: 天台四明の疏鈔。明かなること赫日の如くなれば。
Z14_0058B10: 眼の人。誰か見ざらんや。而るを談義本は。四明の
Z14_0058B11: 卽心念佛との玉ふ念佛を。誤て口稱の念佛のことな
Z14_0058B12: りと思ひなし。それからして。淨土も彌陀も。卽ち我
Z14_0058B13: 心なりと知て。念佛申して。往生を求るが。卽心念佛
Z14_0058B14: なりと。口にて申す念佛にて云るゝは。明かに四明所
Z14_0058B15: 立の卽心念佛には非ず。談義本の僞作なること顯然
Z14_0058B16: なり。況や淨土も彌陀も。我心なりと知てと。云るゝ
Z14_0058B17: 所の知とは。且く與へて云に。これ開解の分齊にし

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