浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0059A01: | て。未だ修行の妙觀とは云れず。次に其行相を。念佛 |
Z14_0059A02: | 申してと云るゝは。たゞ南無阿彌陀佛と申すことな |
Z14_0059A03: | れば。此が何として。四明所立の。約心觀佛や。卽心念 |
Z14_0059A04: | 佛の妙觀法になるや不審なり。せめて南無阿彌陀佛 |
Z14_0059A05: | と念佛申すを。一心三觀を以て。三諦法界とか。空寂 |
Z14_0059A06: | 無相とか觀ずるならば。四明の卽心念佛に。似たりと |
Z14_0059A07: | も云べけれども。それにてさへ。口稱を境とすれば。 |
Z14_0059A08: | 四明の佛身を境として觀ずる。卽心念佛とは同じか |
Z14_0059A09: | らず。況や唯心法界とも。三觀三諦とも云ずして。た |
Z14_0059A10: | ゞ念佛申してと。ばかりいふ行相は。大に四明の妙觀 |
Z14_0059A11: | 法に違背せり。さて此をよく心得るより外に。卽心 |
Z14_0059A12: | 念佛と云法門はなしと云るゝは。亦大に非なり。南無 |
Z14_0059A13: | 阿彌陀佛念佛申す外に。四明尊者は。不思議の一心三 |
Z14_0059A14: | 觀を以て。彌陀の身相を。三諦法界と。觀念する妙觀 |
Z14_0059A15: | 法を。約心觀佛とも。卽心念佛とも名て。弘め玉ふが |
Z14_0059A16: | 故に。此明かに口にて念佛申す外に。佛の身相を觀念 |
Z14_0059A17: | するに付て。卽心念佛といふ。甚深微妙の法門これ |
Z14_0059B01: | あるに非ずや。かくの如く。明かにこれあることは。 |
Z14_0059B02: | をしかくして云ず。無知の輩を誑らかし。此外に卽心 |
Z14_0059B03: | 念佛と云法門はなしと。決定して云るゝは。甚だ正直 |
Z14_0059B04: | ならぬことなり。もし四明の如く。佛の身相を。一心 |
Z14_0059B05: | 三觀にて。唯心三諦と。絕待に觀することは。今時の |
Z14_0059B06: | 下根は。及び難し。故に今私に。口稱の念佛にて。淨土 |
Z14_0059B07: | も佛も。我心を離れずと知て。念佛申すを。卽心念佛 |
Z14_0059B08: | と名を立て。勸るなりと云るゝならば。それは四明と |
Z14_0059B09: | 別段に適時の巧みを能して。私に拵へて云るゝが故。 |
Z14_0059B10: | 一往は。ともかくもなれども。今の談義は。その簡別 |
Z14_0059B11: | の斷りを一言も云ず。卽心念佛と云名を立て。專ら弘 |
Z14_0059B12: | め玉ふは。四明尊者なりといひ置て。而して口にて申 |
Z14_0059B13: | す念佛を。卽心念佛なりと。重々談ぜらるゝが故。談 |
Z14_0059B14: | ぜらるゝ所が。全く四明所立の。卽心念佛なりと。紛 |
Z14_0059B15: | らかして聞ゆるなり。況や此外に。卽心念佛と云法門 |
Z14_0059B16: | はなしと云るれば。四明の卽心念佛も。云るゝ外に |
Z14_0059B17: | は。これなく。口にて念佛申すことと。いよ〱紛れ |