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Z1390 即心念仏談義本弁偽 性慶 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0057A01: 卽心念佛談義本辨僞
Z14_0057A02:
Z14_0057A03: 一日有人。一卷の書を携へ來て之を與ふ。其題號を見
Z14_0057A04: るに。卽心念佛安心決定談義本とあればさても。なが
Z14_0057A05: 〱として。をかしき題號かなと思ふて。披き見る
Z14_0057A06: に。四明尊者の妙宗鈔によれども。四明所說の卽心念
Z14_0057A07: 佛には非ず。たゞ他宗の忿恨を發動するのみならず。
Z14_0057A08: また自家の祖判に違戾すれば。笑止千萬なること。此
Z14_0057A09: 書なからましかばと思はるゝなり。或人のいはく。他
Z14_0057A10: 宗を貶斥することは。はや往々に辨駁する人多しと
Z14_0057A11: 聞。家祖に違戾することは。世人曾て之を知ず。台徒
Z14_0057A12: の中にも知ずして。隨喜讃歎する人少からず。良に悲
Z14_0057A13: むべし。此を辨ずること。今の世に當つて。師を舍て
Z14_0057A14: 誰ぞや。爲法爲人なれば。速かに辨ぜよと。之を請す
Z14_0057A15: ること頻りなれば。速かに辨ぜよと。之を請すること
Z14_0057A16: 頻りなれば。已ことを得ず。僞觀の大綱を辨ずるな
Z14_0057A17: り。これ山僧が。人我を騁するに非ず。宗意の濫する
Z14_0057B01: ことを恐れてなり。
Z14_0057B02:  談曰。故に淨土も。彌陀も。卽ち我心なりと知て念
Z14_0057B03:  佛申して。往生を求るが。卽心念佛なり。此をよく
Z14_0057B04:  心得るより外に。卽心念佛と云法門はなし。此卽心
Z14_0057B05:  念佛の義。根本は佛の說せ玉へる。觀無量壽佛經よ
Z14_0057B06:  り出たり。それによつて。卽心念佛と云名を立て。
Z14_0057B07:  專ら弘め玉へるは。大唐宋の代の天台宗。第十七代
Z14_0057B08:  の祖師。四明尊者なり。因て尊者妙宗鈔序に。適
Z14_0057B09:  之巧。非我所一レ能。願共有情。卽心念佛との玉へり。
Z14_0057B10:  此意は。時々の宜しきに順つて。色々の法を說き。
Z14_0057B11:  それ〲の機に適て。さま〲の法門を授くるこ
Z14_0057B12:  とは。佛や大菩薩ならでは。ならざることなるゆ
Z14_0057B13:  へ。四明尊者は。只法界の衆生と共に。卽心念佛の
Z14_0057B14:  一道を。勤めんとの御願ひなり。
Z14_0057B15: 辨曰。此談義は。大に妙宗の文意に背たる妄談なり。
Z14_0057B16: まづ四明尊者適時之巧等と序せられたるは。孤山等
Z14_0057B17: の師は。十六觀を並に事觀と見て。一心三觀を以て。

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