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Z1380 即心念仏談義本弁惑編 殊意痴 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0044A01: 若此の本願に遇こと無くは。輪回の轍何れの時か免
Z14_0044A02: れん。僅かに戒行修道の人。定惠困學の徒も。或は名
Z14_0044A03: 利の穽に陷りて。徒らに名を偸み德を衒ひ。或は觸犯
Z14_0044A04: の毒に中りて。空く身を穢し業を增す。形は持律の如
Z14_0044A05: にして。三毒胸に滿ち。自を是し他を非して。浮華の
Z14_0044A06: 僞風に飄零す。
Z14_0044A07:   藕益曰。古之受戒者修心之基址也。今之受戒者我
Z14_0044A08:   慢之幢幟也矣。老漢應羞死也。
Z14_0044A09: 談曰。事の念佛にても。淨土を期するは。小乘と云は
Z14_0044A10: れず。大乘事の行にてあるなり。去ども見解は小乘三
Z14_0044A11: 藏なり。𣵀槃經に四敎の意を。四句と說せ玉ひたり
Z14_0044A12: 乃至極樂へ生じ生すと思ふは。小乘の見解にあらす
Z14_0044A13: や。辨曰。此は老漢。殊外耄せられて。擇法の眼を失は
Z14_0044A14: れしと聞えたり。𣵀槃經に小乘三藏を。生々不可說と
Z14_0044A15: 宣玉ふは。三藏經は。三界の外に。他佛の淨土を明さ
Z14_0044A16: ず生の緣に從て。諸法生す。因緣に從て生ずる法は。
Z14_0044A17: 皆必ず空なり。此空理は。言語の及ぶ所に非ず。不可
Z14_0044B01: 說との玉へり。然に凡夫の極樂に生ぜんと願ふは。娑
Z14_0044B02: 婆の外に。他佛の淨土を立て。其淨土に生ぜんと願ふ
Z14_0044B03: が故に。大に小乘の見解と異なり。此を小乘に同ぜら
Z14_0044B04: るゝは。精き學者との自慢には相應しがたし。さて他
Z14_0044B05: 佛の淨土へ實に生ぜんと。生の見を逞しくするは。凡
Z14_0044B06: 夫の執想と云ものなり。故に往生論の注に言生者。
Z14_0044B07: 得生者之情耳といへる此なり。此謂實の情執は。生こ
Z14_0044B08: れ空なりと解する。小乘には同じからず。而るに此凡
Z14_0044B09: 夫の情執を。生の緣に從て生ずる法は空なりと明す。
Z14_0044B10: 小乘三藏の見解なりと云るゝは何ぞや。摩訶衍に對
Z14_0044B11: すれば。小乘三藏は。卑劣の敎なりといへども。此も
Z14_0044B12: 亦佛の所說の敎法なり。此を凡夫謂實の。生の見解と
Z14_0044B13: 同じことと。混亂めされたるは。兎角擇法の眼が。す
Z14_0044B14: きと見えぬ故なるべし。今願力往生の者は。佛の敎え
Z14_0044B15: に順し。信して願生すれば。或は生の見もあるべく。
Z14_0044B16: 無生の見もあるべし。生も無生も只南無阿彌陀佛と
Z14_0044B17: 唱て終れば。佛力住持して。淨土の門に入り。自然と

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