浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0044A01: | 若此の本願に遇こと無くは。輪回の轍何れの時か免 |
Z14_0044A02: | れん。僅かに戒行修道の人。定惠困學の徒も。或は名 |
Z14_0044A03: | 利の穽に陷りて。徒らに名を偸み德を衒ひ。或は觸犯 |
Z14_0044A04: | の毒に中りて。空く身を穢し業を增す。形は持律の如 |
Z14_0044A05: | にして。三毒胸に滿ち。自を是し他を非して。浮華の |
Z14_0044A06: | 僞風に飄零す。 |
Z14_0044A07: | 藕益曰。古之受レ戒者修心之基址也。今之受レ戒者我 |
Z14_0044A08: | 慢之幢幟也矣。老漢應二羞死一也。 |
Z14_0044A09: | 談曰。事の念佛にても。淨土を期するは。小乘と云は |
Z14_0044A10: | れず。大乘事の行にてあるなり。去ども見解は小乘三 |
Z14_0044A11: | 藏なり。𣵀槃經に四敎の意を。四句と說せ玉ひたり |
Z14_0044A12: | 乃至極樂へ生じ生すと思ふは。小乘の見解にあらす |
Z14_0044A13: | や。辨曰。此は老漢。殊外耄せられて。擇法の眼を失は |
Z14_0044A14: | れしと聞えたり。𣵀槃經に小乘三藏を。生々不可說と |
Z14_0044A15: | 宣玉ふは。三藏經は。三界の外に。他佛の淨土を明さ |
Z14_0044A16: | ず生の緣に從て。諸法生す。因緣に從て生ずる法は。 |
Z14_0044A17: | 皆必ず空なり。此空理は。言語の及ぶ所に非ず。不可 |
Z14_0044B01: | 說との玉へり。然に凡夫の極樂に生ぜんと願ふは。娑 |
Z14_0044B02: | 婆の外に。他佛の淨土を立て。其淨土に生ぜんと願ふ |
Z14_0044B03: | が故に。大に小乘の見解と異なり。此を小乘に同ぜら |
Z14_0044B04: | るゝは。精き學者との自慢には相應しがたし。さて他 |
Z14_0044B05: | 佛の淨土へ實に生ぜんと。生の見を逞しくするは。凡 |
Z14_0044B06: | 夫の執想と云ものなり。故に往生論の注に言レ生者。 |
Z14_0044B07: | 得生者之情耳といへる此なり。此謂實の情執は。生こ |
Z14_0044B08: | れ空なりと解する。小乘には同じからず。而るに此凡 |
Z14_0044B09: | 夫の情執を。生の緣に從て生ずる法は空なりと明す。 |
Z14_0044B10: | 小乘三藏の見解なりと云るゝは何ぞや。摩訶衍に對 |
Z14_0044B11: | すれば。小乘三藏は。卑劣の敎なりといへども。此も |
Z14_0044B12: | 亦佛の所說の敎法なり。此を凡夫謂實の。生の見解と |
Z14_0044B13: | 同じことと。混亂めされたるは。兎角擇法の眼が。す |
Z14_0044B14: | きと見えぬ故なるべし。今願力往生の者は。佛の敎え |
Z14_0044B15: | に順し。信して願生すれば。或は生の見もあるべく。 |
Z14_0044B16: | 無生の見もあるべし。生も無生も只南無阿彌陀佛と |
Z14_0044B17: | 唱て終れば。佛力住持して。淨土の門に入り。自然と |