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Z1160 菩薩三聚戒弁要 普寂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z12_0326A01: 了二因開發すれば。二空の智自らひらけ。出假の妙善
Z12_0326A02: 任運に轉じ。三佛菩提これに由て顯生す。これを還滅
Z12_0326A03: といふ。奇なるかな衆生流轉の妄陰を感ずれば。妄境
Z12_0326A04: (をの)が心量に(したがひ)て變現し。六道の依正亂起亂滅。なを夢
Z12_0326A05: の所見に似たり。人は人境界をとり。天は天境界をと
Z12_0326A06: り。乃至三途をの〱(をの)が業感の依正をとりて實と
Z12_0326A07: し。自心自心を取て非幻に幻を生じ。迷倒自纒して。
Z12_0326A08: (さん)(けん)の自縛するがごとし。今しばらく人間をいは※。
Z12_0326A09: 先業の所感人の妄(おん)を受れば。身心世界みな人境界
Z12_0326A10: を成じ。見聞覺知みな人境界に(ばく)(ぢやく)し。妄苦を(みとめ)て樂
Z12_0326A11: とし。眞樂を計して苦とするゆへ。五欲名榮恩愛等に
Z12_0326A12: は。深く保著を生じ。三乘無漏の聖法に於ては。卻て
Z12_0326A13: 厭忌の情をいだく。生死の妄緣におもむくは。水の(たに)
Z12_0326A14: (つく)がごとく。出世の淨法に向ふは。舟を(くが)(をす)すが
Z12_0326A15: ごとし。これ卽ち流轉の妄陰。心性を覆ふゆへのみ。
Z12_0326A16: しかるに衆生還滅時いたり。本有の佛性內に熏習し。
Z12_0326A17: 生死を厭ふ氣分まさに(きざ)し。菩提を求る淨心。わづか
Z12_0326B01: に起り(そむ)れば。勝緣こも〲資發し。道念うた〻增長
Z12_0326B02: し。遂には菩提薩埵の衆同分を成ずれば。流轉の妄陰
Z12_0326B03: 自然に勢力を失し。いつとなく心地むかしにうちか
Z12_0326B04: はり。世の五欲名利恩愛等の有漏有過患の法。これ眞
Z12_0326B05: 樂にあらずとや〻厭心を生じ。菩薩賢聖の道。これ第
Z12_0326B06: 一安穩無過失の法。無比の眞樂なりと信得し。いよ
Z12_0326B07: ()()を起すべし。この人卽ち三界の妄苦を苦と
Z12_0326B08: し。法身の眞樂を樂とす。これ無顛倒正知見といふべ
Z12_0326B09: し。古の賢人に。人ありて世間なにものか最も樂しき
Z12_0326B10: (とひ)ければ。善を爲すM(コト)最も樂しと答へられしと。史
Z12_0326B11: 書にいでたり。世の中の君子なをこの雅致あり。況や
Z12_0326B12: 無上菩提を求る大心の薩埵に於てをや。然ればなみ
Z12_0326B13: 〱の人は。この戒(うく)とも。初めは止惡行善の(つと)め。
Z12_0326B14: 少苦に似るべし。良師友に(あひ)て正法を(き〻)。あながちに
Z12_0326B15: 心を如理の境にと※むれば。宿障や〻除き善()自ら
Z12_0326B16: 長じ。遂には菩提薩埵の阿世耶を成じ。生死の妄法を
Z12_0326B17: おそる〻ことは怨家のごとく。菩提の妙道をねがふ

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