浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z12_0326A01: | 了二因開發すれば。二空の智自らひらけ。出假の妙善 |
Z12_0326A02: | 任運に轉じ。三佛菩提これに由て顯生す。これを還滅 |
Z12_0326A03: | といふ。奇なるかな衆生流轉の妄陰を感ずれば。妄境 |
Z12_0326A04: | 己が心量に循て變現し。六道の依正亂起亂滅。なを夢 |
Z12_0326A05: | の所見に似たり。人は人境界をとり。天は天境界をと |
Z12_0326A06: | り。乃至三途をの〱己が業感の依正をとりて實と |
Z12_0326A07: | し。自心自心を取て非幻に幻を生じ。迷倒自纒して。 |
Z12_0326A08: | 蠶繭の自縛するがごとし。今しばらく人間をいは※。 |
Z12_0326A09: | 先業の所感人の妄陰を受れば。身心世界みな人境界 |
Z12_0326A10: | を成じ。見聞覺知みな人境界に縛著し。妄苦を認て樂 |
Z12_0326A11: | とし。眞樂を計して苦とするゆへ。五欲名榮恩愛等に |
Z12_0326A12: | は。深く保著を生じ。三乘無漏の聖法に於ては。卻て |
Z12_0326A13: | 厭忌の情をいだく。生死の妄緣におもむくは。水の壑 |
Z12_0326A14: | に就がごとく。出世の淨法に向ふは。舟を陸に推すが |
Z12_0326A15: | ごとし。これ卽ち流轉の妄陰。心性を覆ふゆへのみ。 |
Z12_0326A16: | しかるに衆生還滅時いたり。本有の佛性內に熏習し。 |
Z12_0326A17: | 生死を厭ふ氣分まさに萠し。菩提を求る淨心。わづか |
Z12_0326B01: | に起り初れば。勝緣こも〲資發し。道念うた〻增長 |
Z12_0326B02: | し。遂には菩提薩埵の衆同分を成ずれば。流轉の妄陰 |
Z12_0326B03: | 自然に勢力を失し。いつとなく心地むかしにうちか |
Z12_0326B04: | はり。世の五欲名利恩愛等の有漏有過患の法。これ眞 |
Z12_0326B05: | 樂にあらずとや〻厭心を生じ。菩薩賢聖の道。これ第 |
Z12_0326B06: | 一安穩無過失の法。無比の眞樂なりと信得し。いよ |
Z12_0326B07: | 〱悕求を起すべし。この人卽ち三界の妄苦を苦と |
Z12_0326B08: | し。法身の眞樂を樂とす。これ無顛倒正知見といふべ |
Z12_0326B09: | し。古の賢人に。人ありて世間なにものか最も樂しき |
Z12_0326B10: | と問ければ。善を爲すM(コト)最も樂しと答へられしと。史 |
Z12_0326B11: | 書にいでたり。世の中の君子なをこの雅致あり。況や |
Z12_0326B12: | 無上菩提を求る大心の薩埵に於てをや。然ればなみ |
Z12_0326B13: | 〱の人は。この戒受とも。初めは止惡行善の務め。 |
Z12_0326B14: | 少苦に似るべし。良師友に値て正法を聞。あながちに |
Z12_0326B15: | 心を如理の境にと※むれば。宿障や〻除き善芽自ら |
Z12_0326B16: | 長じ。遂には菩提薩埵の阿世耶を成じ。生死の妄法を |
Z12_0326B17: | おそる〻ことは怨家のごとく。菩提の妙道をねがふ |