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Z1160 菩薩三聚戒弁要 普寂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z12_0314A01: 保熱を解脫するがゆへに。三に具緣とは。略して五緣
Z12_0314A02: を出さん。一に淨信。二に發心。三に要期。四に受緣。五
Z12_0314A03: に離障。初に淨信とは。まづ三藏門の信を立て。後に
Z12_0314A04: 大乘信を起すべし。いはゆる三藏門の信といふは。こ
Z12_0314A05: れまた三あり。一には善惡因果の道を信じ。二には四
Z12_0314A06: 諦無我の理を信じ。三には戒に餘德あるを信ずるな
Z12_0314A07: り。いはゆる大乘の信といふは。卽ち三因佛性を信ず
Z12_0314A08: るなり。三因佛性とは。一に自性住佛性。二に引出佛
Z12_0314A09: 性。三に至得果佛性なり。自性住佛性といふは。衆生
Z12_0314A10: 在纒の心に。如來の性を具するをいふなり。引出佛性
Z12_0314A11: といふは。三乘の聖道を修すれば。漸々佛性顯現し。所
Z12_0314A12: 具の勝德。みな證得するなり。至得果佛性といふは。佛
Z12_0314A13: 果究竟の位。三身四德圓成するなり。此大小二種の信
Z12_0314A14: 起るを淨信と名く。菩薩三聚戒を受るものは。かなら
Z12_0314A15: ず。此淨信を起すべきなり。二に發心とは。卽ち發菩
Z12_0314A16: 提心なり。菩提心といふは。(かみ)無上菩提を求め。(しも)
Z12_0314A17: 切衆生を救度せんと願ふ心なり。地前の發心を緣修
Z12_0314B01: といひ。地上の發心を眞修といふ。此義甚深。(こ〻)(のべ)
Z12_0314B02: がたし。三に要期といふは。卽ち上に明す所の三聚戒
Z12_0314B03: を。今身より成佛に至るまで。護持せんと。誓願要期
Z12_0314B04: するなり。四に受緣とは。これに二あり。一に人緣。二
Z12_0314B05: に法緣。人緣は卽ち戒師なり。戒師に三あり。一に眞
Z12_0314B06: 佛。二に聖人。三に凡師これなり。佛像舍利等は。發戒
Z12_0314B07: の緣(よは)し。前加行を修し。好相を得てのち。憑對すれ
Z12_0314B08: ば受を成ず。爾らざれば得戒せずと。經疏に見えたり。
Z12_0314B09: 法緣は戒羯磨なり。台疏に六本の羯磨を出せり。その
Z12_0314B10: 後數本()(ぎやう)す。心に任て依用すべし。一本に(くつ)(しう)する
Z12_0314B11: は。聖旨に順ぜざるべし。五に離障とは。障に三種あ
Z12_0314B12: り。謂く煩惱障業障報障なり。煩惱は受戒の障にあら
Z12_0314B13: ず。業と報との中。障と不障とあり。その障となる中
Z12_0314B14: にまた輕重あり。これまた台疏に(つまび)らかなり。(たづ)ぬべ
Z12_0314B15: し。
Z12_0314B16: 二に戒體といふは。前にいはゆる戒法身心に(ちう)(にう)し。
Z12_0314B17: 無作業を成じ。菩提成佛の種子となるものこれなり。

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