浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z12_0312A01: | 者の子。ふと自家をまよひ出で。邊夷寒鄕に流落し。乞 |
Z12_0312A02: | 丐人となり。百結の鶉衣。わづかに身をおほひ。一甌 |
Z12_0312A03: | の殘食。かつ〲命をつぐのみ。されども自らはらか |
Z12_0312A04: | らの乞丐兒とおもひあやまりて。卑賤の境界を分と |
Z12_0312A05: | し。弊衣麤食を愛護するにいたる。一日長者のもとよ |
Z12_0312A06: | り使人たづね來り。窮子にめぐりあひて。驚きかつ喜 |
Z12_0312A07: | び。ねんごろにその來由を吿。いざ本鄕に歸り給へと |
Z12_0312A08: | 促すに。窮子これを非分のこと〻おもひ。うたがひ畏 |
Z12_0312A09: | れ逃走れば。使人またせんかたなし。もし使者の語を |
Z12_0312A10: | 肯ひ。われは長者の子なりとおもは※。いかばかり喜 |
Z12_0312A11: | び勇み。疾本家に歸らんことのみはかるべし。その時 |
Z12_0312A12: | むかし乞兒の境界弊服臭飯は。頻にこれを恥厭ふべ |
Z12_0312A13: | し。迷倒の衆生。菩薩の道におもむくも。また〱か |
Z12_0312A14: | くのごとし。自己三身萬德の性を具しながら。無明殼 |
Z12_0312A15: | に覆はれ。六道生死の妄陰を感じ。輪廻無窮にして汲 |
Z12_0312A16: | 井輪のごとく。剩さへ性具の功德はみなかくる。たま |
Z12_0312A17: | 〱佛法にめぐりあひ。善知識ありて緣起の正理を |
Z12_0312B01: | 說。かつ生死輪廻の過患を示し。佛性の妙義を宣て。菩 |
Z12_0312B02: | 薩賢聖の道に入しめんと。ねんごろにいざなへども。 |
Z12_0312B03: | 宿善未熟の人は。信受せざるをいか※せん。もし肯信 |
Z12_0312B04: | する人ならば。をのづから二種の生死は。性に逆ふ妄 |
Z12_0312B05: | 法なりとしりて。しきりに厭背の心をおこし。一乘の |
Z12_0312B06: | 因果は。〓性具の妙道なりと聞て。深く樂欲を生じ。卽 |
Z12_0312B07: | ちその生死を出離し。賢聖道におもむく大願大行を |
Z12_0312B08: | 立べし。いはゆる大願は。卽ち發菩提心なり。いはゆ |
Z12_0312B09: | る大行は。卽ち三聚淨戒なり。三聚戒は。一には攝律儀 |
Z12_0312B10: | 戒。謂く一切の惡をやむるなり。二には攝善法戒。謂 |
Z12_0312B11: | く一切の善を修するなり。三には攝衆生戒。謂く一切 |
Z12_0312B12: | の衆生を救攝するなり。此三聚戒は。願を此生に立て。 |
Z12_0312B13: | 行は三僧祇劫に滿るなり。此三聚戒を誓受し。盡未來 |
Z12_0312B14: | 際。この三聚を行ぜんと。誓願要期決定すれば。法界 |
Z12_0312B15: | 無量の惡法。忽ち勢力を損し。法界無量の善法。頓に功 |
Z12_0312B16: | 能を益し。諸佛菩薩。これが爲めに顏をひらき。天魔 |
Z12_0312B17: | 波旬。これがために眉をひそむ。まさにしるべし。三聚 |