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Z1160 菩薩三聚戒弁要 普寂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z12_0312A01: 者の子。ふと自家をまよひ出で。邊夷(いなか)(さびしき)(さと)に流落し。(こつ)
Z12_0312A02: (がい)人となり。(も〻)(つ※り)(じゆん)衣。わづかに身をおほひ。一(おう)
Z12_0312A03: の殘食。かつ〲命をつぐのみ。されども自らはらか
Z12_0312A04: らの(こつ)(がい)()とおもひあやまりて。卑賤の境界を(ぶん)
Z12_0312A05: し。(へい)()麤食を愛護するにいたる。一日長者のもとよ
Z12_0312A06: り使人たづね來り。(ぐう)()にめぐりあひて。驚きかつ喜
Z12_0312A07: び。ねんごろにその來由を(つげ)。いざ本鄕に歸り給へと
Z12_0312A08: 促すに。窮子これを非分のこと〻おもひ。うたがひ(おそ)
Z12_0312A09: (にげ)(はし)れば。使人またせんかたなし。もし使者の語を
Z12_0312A10: (うけが)ひ。われは長者の子なりとおもは※。いかばかり喜
Z12_0312A11: び勇み。(とく)本家に歸らんことのみはかるべし。その時
Z12_0312A12: むかし乞兒の境界弊服臭飯は。(しきり)にこれを(はぢ)(いと)ふべ
Z12_0312A13: し。迷倒の衆生。菩薩の道におもむくも。また〱か
Z12_0312A14: くのごとし。()()三身萬德の性を具しながら。無明(こく)
Z12_0312A15: に覆はれ。六道生死の妄陰を感じ。輪廻無窮にして(きう)
Z12_0312A16: (せい)(りん)のごとく。剩さへ性具の功德はみなかくる。たま
Z12_0312A17: 〱佛法にめぐりあひ。善知識ありて緣起の正理を
Z12_0312B01: (とき)。かつ生死輪廻の(くわ)(げん)を示し。佛性の妙義を(のべ)て。菩
Z12_0312B02: 薩賢聖の道に(いら)しめんと。ねんごろにいざなへども。
Z12_0312B03: 宿善未熟の人は。信受せざるをいか※せん。もし(こう)
Z12_0312B04: する人ならば。をのづから二種の生死は。性に(さか)ふ妄
Z12_0312B05: 法なりとしりて。しきりに厭背の心をおこし。一乘の
Z12_0312B06: 因果は。〓性具の妙道なりと聞て。深く樂欲を生じ。卽
Z12_0312B07: ちその生死を出離し。賢聖道におもむく大願大行を
Z12_0312B08: 立べし。いはゆる大願は。卽ち發菩提心なり。いはゆ
Z12_0312B09: る大行は。卽ち三聚淨戒なり。三聚戒は。一には攝律儀
Z12_0312B10: 戒。謂く一切の惡をやむるなり。二には攝善法戒。謂
Z12_0312B11: く一切の善を修するなり。三には攝衆生戒。謂く一切
Z12_0312B12: の衆生を()(せふ)するなり。此三聚戒は。願を此生に立て。
Z12_0312B13: 行は三僧祇劫に滿(みつ)るなり。此三聚戒を誓受し。盡未來
Z12_0312B14: 際。この三聚を行ぜんと。誓願要期決定すれば。法界
Z12_0312B15: 無量の惡法。忽ち勢力を損し。法界無量の善法。頓に功
Z12_0312B16: 能を()し。諸佛菩薩。これが爲めに(かんばせ)をひらき。天魔
Z12_0312B17: 波旬。これがために眉をひそむ。まさにしるべし。三聚

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