浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0138A01: | 三心とは。佛の本願に歸する心にてある也。歸すると |
Z09_0138A02: | は。本願をたのむをいふなり。それ歸する心を。わく |
Z09_0138A03: | れば三のしながある也。まめやかに。本願をたのみて。 |
Z09_0138A04: | たすけ給へと思ふ。これを本願に歸する心とす。かく |
Z09_0138A05: | 三のこ〻ろとけばとて。三がべち〲にはおこらぬ |
Z09_0138A06: | なり。た※そうじてあらたのもしやとも。又たすけ給 |
Z09_0138A07: | へともおもはる〻也。この時は。三心かふさねてひと |
Z09_0138A08: | つ心なるやうにおこるなり。それをこまかにわくれ |
Z09_0138A09: | ば。三のいろがある也。この三心は。智者も愚者も。み |
Z09_0138A10: | なた※おなじやうにおこるなり。智者なればとて。三 |
Z09_0138A11: | の心をこと〲しく。やうありげにおこす事はなき |
Z09_0138A12: | なり。三の心をべち〱に申し◇たするは。法門に申 |
Z09_0138A13: | しわくる時の事にてある也。 |
Z09_0138A14: | 問云。しみ〲とおぼゆる心を。眞實心とは申すかと |
Z09_0138A15: | 思ふはいかに。答云。しみ〲とは。ふか〱とおぼ |
Z09_0138A16: | ゆるをいふにや。それは眞實心のふかきにてこそあ |
Z09_0138A17: | れ。た※まづ眞實心とは。いつはりならで。げに〲し |
Z09_0138B01: | くおぼゆるぶんをこそ申せ。 |
Z09_0138B02: | 問云。念佛を申し居たる時。こゑ〲にも眞實の心が |
Z09_0138B03: | おこらずして。そう〲しきやうに申さる〻は。眞實 |
Z09_0138B04: | 心のかけたるかや。答云。念佛のみにもあらず。何事 |
Z09_0138B05: | も時をのべてしもてゆくことは。みなさこそあれ。た |
Z09_0138B06: | ※とりくはだつるはじめのあてがひをこそ申すに |
Z09_0138B07: | てあれ。この世の事のさしも心にそみたるだにも。し |
Z09_0138B08: | もてゆく時。さのみ念々に心にそむ事やある。これに |
Z09_0138B09: | てよろづ心えぬべし。 |
Z09_0138B10: | 問云。本願をたのむべき事とは思ひながら。ひし〱 |
Z09_0138B11: | と思ひつきたる心地もせぬは。いか※といへるは。み |
Z09_0138B12: | な他力本願は。安心のよわきをもたすくる事をあら |
Z09_0138B13: | はす文なり。されば彌陀の本願は。すべてゆるぎなき |
Z09_0138B14: | 事としりて。たのむ心のいできぬるこそうれしけれ。 |
Z09_0138B15: | 信心のおこるとは。これにてこそあれ。そのうへのよ |
Z09_0138B16: | わ〱しさは。本願のちからにか〻へられむずれば。 |
Z09_0138B17: | 往生はいまはしすまさむずる事なり。 |