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Z0500 浄土要略抄 然空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0127A01: 夫れ末代の衆生の往生を遂む事は。專ら是來迎の願
Z09_0127A02: の力なり。凡そ衆生の命終に多くの障現ず。謂く魔障
Z09_0127A03: 業障惑障なり。先ず魔障と云は。第六天の魔王。もろ
Z09_0127A04: 〱の衆生を我眷屬と思ひて。一人も生死をいでん
Z09_0127A05: とするをば。力を發して是をさまたぐるなり。次に
Z09_0127A06: 業障といふは。世々の業つみて我身にあり。ところ
Z09_0127A07: 〲の報。必これを償ふべし。生死にめぐる間は。業の
Z09_0127A08: 輕き重きに隨て。果のよしあしをうくるなり。若し三
Z09_0127A09: 界を出ぬれば。其業ながく果を感ぜず。されば無始よ
Z09_0127A10: り以來造る所の業。力を合せて出離を妨るなり。實に
Z09_0127A11: 往生を遂げなば。一時に三界を超え。一念に五道を出
Z09_0127A12: べし。大經には。橫截五惡趣。惡趣自然閉といへり。此
Z09_0127A13: 故に三界五趣の業。同じく是を妨ぐべし。後に惑障と
Z09_0127A14: 云は。愛心發るなり。是に又三あり。一には住處愛。二
Z09_0127A15: には資具愛。三には眷屬愛なり。住處愛といふは。居處
Z09_0127A16: に愛をおこすなり。草の菴柴のとぼそのさびしさも。
Z09_0127A17: 住み馴れぬれば猶離れがたし。況や心ことにみがき
Z09_0127B01: たてし。玉樓金殿をや。資具愛といふは。すべて人の
Z09_0127B02: 三の衣一の鉢。持ち馴れぬれば猶心にか〻る。增て家
Z09_0127B03: に在りこし人の思ひしみぬる重き財をや。眷屬愛と
Z09_0127B04: いふは。親を悲しむ心。子を思ふなやみ。恩愛つくしが
Z09_0127B05: たく。妄心發り易し。況や天にあらばはねをならべ。地
Z09_0127B06: にあらば枝をかはさむと契をく心は。いかにもしみ
Z09_0127B07: ふかくきこゆるをや。是れわらひぬべき事なれども。
Z09_0127B08: 又凡夫の習ひ皆さにこそありぬべかめれば。たやす
Z09_0127B09: くおもひきり難し。いともかなしきわざなり。されば
Z09_0127B10: 阿彌陀ほとけ深く此理を鑒て。是を濟はむとて此願
Z09_0127B11: を發し給へり。若し念佛の功德積り。運心年深けれ
Z09_0127B12: ば。命終の時必す攝取の光をかうぶる。卽大師の御勸
Z09_0127B13: に。終る時彌陀を念ずれは。佛の慈光の來りて身を照
Z09_0127B14: すを見る。此本願の力に乘じて。一念の間に寶堂に入
Z09_0127B15: るとあり。誠に此光にあへば。苦み忽に止みて正念卽
Z09_0127B16: 生す。目を擧て遙に西方をみれは。彌陀如來光明赫々
Z09_0127B17: として威德巍々たり。觀音勢至はさきだち。菩薩聖衆

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