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Z0500 浄土要略抄 然空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0125A01: いづれの佛をも賴み。何れの淨土をも求むべし。我身
Z09_0125A02: の愚に罪深ければこそ。阿彌陀ほとけならでは濟ふ
Z09_0125A03: べき佛もなく。極樂ならでは足を入るべき淨土もな
Z09_0125A04: ければと。わりなく彌陀如來をのみ賴み一かたに極
Z09_0125A05: 樂とは願ひ求むれといへり。されば罪の止みがたく。
Z09_0125A06: 妄念の發りやすからむにつけても。佛の誓ひを賴み
Z09_0125A07: て。本願を悅ぶべきなり。何事にか疑をばおこすべき。
Z09_0125A08: 問。是程に罪をゆるさば。本願にほこり惡無礙の義
Z09_0125A09: に同じかるべきや。答。本願には罪人を救はむとあ
Z09_0125A10: れば。罪をおそる〻は本願をしらぬなりなどいひて
Z09_0125A11: 恣に罪を造りてさきにも後にもおそる〻心なき。こ
Z09_0125A12: れをきらふなり。今はしかにはあらず。諸惡莫作諸善
Z09_0125A13: 奉行といふは。諸佛の通戒なれば。此旨を意樂にもち。
Z09_0125A14: て。と※めえつべからんほどは。罪をも構て止め。ま
Z09_0125A15: もりえつべからん程は。戒をもまもらんと思ふなり。
Z09_0125A16: さるを惡業は世々に習ふが故に强く。善心は今始て
Z09_0125A17: (うい)()しきが故に弱くして。惡をば作れども意樂破ら
Z09_0125B01: ざれば。さりとては佛たすけ給へと隨犯隨懺するな
Z09_0125B02: り。若しすべて惡をなして。くるしからずとおもはむ
Z09_0125B03: には。隨犯隨懺のわけも(いかで)か有べきや。譬へば人の親
Z09_0125B04: のよき子をも慈み。わろき子をもすてず。わろきをす
Z09_0125B05: てねども。恣に僻事をのみせんに。其親うれしと思ひ
Z09_0125B06: なんや。あはれむにつけても。よくふるまはん子をば。
Z09_0125B07: いと※うれしくいとをしくこそ思ふべけれ。若し親
Z09_0125B08: はすべて僻事をきらふ心なしといはむ子は。親の心
Z09_0125B09: を得そんじたるなり。只うとき人はわろきをすつる
Z09_0125B10: を。親の慈悲はこれをも悲しむにてこそあれ。わろし
Z09_0125B11: と思はぬには非ず。今の行者も又かくのごとし。惡人
Z09_0125B12: をもすてぬ本願とき〻て。まして善人をやと思ひて。
Z09_0125B13: 佛の御意に契はむとて罪をおそれ。戒をまもらんと
Z09_0125B14: 思はむは。正見の人にて有るべき也。吉水〓の敎には。
Z09_0125B15: 罪をば十惡五逆も皆生ずべしと信じて。すこしの罪
Z09_0125B16: をも作らじと思へとこその給ひけれ。若し十惡五逆
Z09_0125B17: も生るといへばとて。罪をおそる〻心なきは。すこし

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