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Z0500 浄土要略抄 然空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0124A01: れをせめて。晝夜にわする〻事なかれ。かみ一形に有
Z09_0124A02: ては少苦ににたれども。前念に命終して後念に彼國
Z09_0124A03: に生ずといへり。たとひ(ものう)くおぼゆとも。心を(はげ)まし
Z09_0124A04: て是を行ぜよとこそ勸められたれ。此釋をば何とか
Z09_0124A05: いはむとするや。問。一念十念ばかりにては往生す
Z09_0124A06: べからずと思ひて。多く申さむとはげむをばきらふ
Z09_0124A07: べしや。答。これは一念十念の功を疑ふ心をきらふ
Z09_0124A08: なり。吉水の傳へには。若し一念十念不足なしと思ふ
Z09_0124A09: て行を倦くする人は。いふべし。信が行を妨げたるな
Z09_0124A10: り。若し行をひまなくしてこそ往生すべけれ。一念十
Z09_0124A11: 念の力ばかりにては往生すべからずと思ふは。いふ
Z09_0124A12: べし。行が信をさまたげたるなり。此故に信をば一念
Z09_0124A13: にとりて。行をば無間にはげむべき也とあり。此敎へ
Z09_0124A14: 明かなり。かたをちする事なかれ。
Z09_0124A15: 止惡用心
Z09_0124A16: 夫れ聖道も淨土も。止惡の意樂は同じかるべし。然る
Z09_0124A17: を聖道門の心は。必ず此れを斷じて生死を出べき事
Z09_0124B01: なり。されば煩惱を盜人に喩へて。これを戒律の兵を
Z09_0124B02: 以てとらへ。禪定の繩をして縛り。智慧の劒をして殺
Z09_0124B03: すといへり。若し惡を止ずば戒を破るなり。戒やぶれ
Z09_0124B04: なば定發るべからず。定なくば慧生ずべからず。慧な
Z09_0124B05: くば煩惱を斷ずべからず。煩惱を斷ぜずば生死を出
Z09_0124B06: る理なきなり。淨土門の心は。止むべき思ひはあれど
Z09_0124B07: も。緣に値ひ境に向ひて。力及ばず犯すといへども。意
Z09_0124B08: 樂を破らざれば正見の人にて往生を遂ぐべきなり。
Z09_0124B09: 隨犯隨懺の敎思ひ知るべし。されは吉水の傳へには。
Z09_0124B10: 罪をば歎くとも。本願をば疑ふべからずといへり。思
Z09_0124B11: ふべし。か〻る拙き身なればこそ。三世の諸佛の利益
Z09_0124B12: にも漏れ。十方の淨土にもきらひすてらる〻身をし
Z09_0124B13: れば。救ひ給はぬ佛の御咎もおもはず。悲しむべし歎
Z09_0124B14: くべし。然るを今我阿彌陀ほとけか〻るを悲しみ。是
Z09_0124B15: を惠みて超世の願を發し給へり。禪林の語に。我等若
Z09_0124B16: し智慧も深く。戒行をもよくまもる身ならましかば。
Z09_0124B17: 必しも阿彌陀とのみ思ひ。極樂とのみやは願ふべき。

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