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Z0500 浄土要略抄 然空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0123A01: 向と云なり。問。三心の中には何れか殊に要なるや。
Z09_0123A02: 答。三ながらはなるべからざる心なり。但し(あながち)にいは
Z09_0123A03: ※。吉水は深心なりと仰せられけり。この一の心だに
Z09_0123A04: もあらば。先も後も必ず具せらるべきなり。問。何
Z09_0123A05: れの釋か往生掌を指て明なるや。答。其機分を明す
Z09_0123A06: 事は。深心の無有出離之緣等といへる文是なり。其心
Z09_0123A07: はさきにのぶるがごとし。又安樂集に。人間天上にだ
Z09_0123A08: も生ずべからざる人。猶往生をばとぐべしと定むる
Z09_0123A09: 文なり。但しこれらの文にも。正しく生ずべき心のや
Z09_0123A10: うは。未きこえぬを。二河のたとへこそ手を取て敎へ
Z09_0123A11: たる樣なれ。其譬への心は貪嗔のもとより多く具し
Z09_0123A12: たる事を顯さむとしては。そこもほとりもなき水火
Z09_0123A13: の二の河にたとへ。願往生の心のすくなき事を顯し
Z09_0123A14: ては。僅なる四五寸の白道に譬へたり。其貪嗔の常に
Z09_0123A15: 發り。願心の稀なる事を顯さむとしては。波恆に道を
Z09_0123A16: うるほし。ほのほ常に道をやくといへり。是程すくな
Z09_0123A17: く此れ程稀なる願心なりとも。猶水火の二河を顧ず。
Z09_0123B01: 二尊の敎にしたがひて本願を仰がば。必ず生るべし
Z09_0123B02: とゆるせるこそ。手のおきども足のふみまもなき
Z09_0123B03: 程に。うれしくもかなしくもおぼゆれ。信じ難しとい
Z09_0123B04: ふ人も(ことはり)と思へば。にくからずあるをや。是を信ぜん
Z09_0123B05: 人こそ。よのつねならず。ふしぎの人にて有るべけ
Z09_0123B06: れ。
Z09_0123B07: 自力他力
Z09_0123B08: 夫れ自力といふは。自の戒定慧の三學の力にて。此娑
Z09_0123B09: 婆世界にして佛にならむとする。此を自力となづけ。
Z09_0123B10: 他力といふは。戒定慧の三學具し難きが故に。佛の本
Z09_0123B11: 願を賴て淨土に往生する。是を他力といふなり。又自
Z09_0123B12: 力をば聖道門といひ。他力をば淨土門といふ。又自力
Z09_0123B13: を難行道と名づけ。他力をば易行道と名づくるなり。
Z09_0123B14: 問。〓或人。念佛かまへて多く申さむと思ふは自力の心
Z09_0123B15: 也。往生すべからずと云ふ。此義云何。答。念佛多く申
Z09_0123B16: すを自力と嫌ひたる事は全なき事也。禮讚には。今
Z09_0123B17: 身に彼國に生ぜんと思はむ人は。心をはげましをの

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