浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0122A01: | ふなり。但し機の上下一にあらざれば。信に又淺深あ |
Z09_0122A02: | また有べきなり。問。信心具足の人は一念の疑をも |
Z09_0122A03: | 發すべからざるかや。答。是れ又人に依て兎も角も |
Z09_0122A04: | 有べし。凡は道理を思ふ時は。すこしの疑もなけれど |
Z09_0122A05: | も。未ならはぬ事なれば。さてもいか※などいふ。ひ |
Z09_0122A06: | が心のふと指し出る事は有べきなり。吉水も蓮臺に |
Z09_0122A07: | のぼらむ程はなどこそ仰せられければ。あやしむべ |
Z09_0122A08: | からざる事也。問。此機をば信者疑者の中には何れ |
Z09_0122A09: | と云べきぞ。答。猶信者と云べき也。問。是より疑を |
Z09_0122A10: | 發さぬ人は有まじきか。答。さる人も有べし。機類多 |
Z09_0122A11: | きが故に。問。いかなる疑かゆるされ。何なる疑か邊 |
Z09_0122A12: | 地に生れ。いかなる疑か生死に留るや。答。此世ざま |
Z09_0122A13: | にむけても。志深く思ふ事はせめても心のあまりに。 |
Z09_0122A14: | いかさまにがなとおぼゆる事なれば。增て多生曠劫 |
Z09_0122A15: | なき往生を。不思議の本願に依て遂べしと思ふにも。 |
Z09_0122A16: | 餘に不思議の事なれば。さればよ是は實かなと覺ゆ |
Z09_0122A17: | るは信の上の疑とて許さるべき也。これ一のすがた |
Z09_0122A18: | なり。又或時は。我等程のおろかに罪ふかき者はよも |
Z09_0122B01: | 生れじと疑ひ。或時は不思議の本願にて有なればな |
Z09_0122B02: | どか生れざらむと信ず。疑と信とかはる〲發りな |
Z09_0122B03: | がら。さすがに行をもすてず。又願の心もたえぬ人は。 |
Z09_0122B04: | 邊地に生れて花の中に久しかるべき也。是一のすが |
Z09_0122B05: | た也。猶やうあり。かきつくすべからず。一向に疑て願ふ心も。又行ひもはか |
Z09_0122B06: | 〲しくもなき人は。生死にと※まる也。但し第二十 |
Z09_0122B07: | の願に依て宿習の機と成て。三生などに往生を遂べ |
Z09_0122B08: | きなり。三には廻向發願心。むかし今我人の功德と云 |
Z09_0122B09: | ふほどの物をば。皆悉く捧て往生せんと廻向するな |
Z09_0122B10: | り。問。人の功德をば。何として廻向するぞや。答。 |
Z09_0122B11: | 隨喜すれば我功德となる。此を廻向するなり。問。深 |
Z09_0122B12: | 心の中。及び無餘無間の二修には正行の外の善をば |
Z09_0122B13: | きらふと見えたり。何としてこ〻にはゆるされたる |
Z09_0122B14: | ぞや。答吉水のつたへには。餘行をするをこそきら |
Z09_0122B15: | へ念佛を妨ればなり。功德をば捨つればこそ。往生の |
Z09_0122B16: | 因となるが故にとあり。又これより衆生と共に極樂 |
Z09_0122B17: | に生れんと思ふをば。往想の廻向といふ。淨土よりた |
Z09_0122B18: | ちかへりて。恣に人をすくはむと思ふをば。還想の廻 |