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Z0500 浄土要略抄 然空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0121A01: にもすてはてられ。何れの國にも入れられざるおろ
Z09_0121A02: かに罪おもき。無有出離之緣の機なりと釋せらる〻
Z09_0121A03: にこそ。本願ひしと我等が分になり定りぬれ。若し此
Z09_0121A04: 釋なからましかは。本願の信心も發り難かるべきお
Z09_0121A05: や。摠て今の大師の御心によらば。往生の機にもる〻
Z09_0121A06: 人は有べからず。其中に深く願はむ人は上品に生れ。
Z09_0121A07: 次ならば中品に生れ。無下にあさく求るは下品〓に生
Z09_0121A08: る。しな〲は機に隨て不同ありといへども。賴を本
Z09_0121A09: 願にかけ。信を念佛にと〻む(たぐひ)の。生せずと云事ゆめ
Z09_0121A10: 〱有べからず。實に一向に疑をなし誹を發して。手
Z09_0121A11: を引てのかむ人は其かぎりに非ず。か〻らんより外
Z09_0121A12: は。往生の機ならずと云ふ人有べからず。般舟讚にい
Z09_0121A13: はく。人々有分不疑と。次に法を信ずといふは本
Z09_0121A14: 願を信ずるなり。是はさきの信だにもをこりぬれば
Z09_0121A15: 安き也。か〻るあさましき凡夫。自力にては人間天上
Z09_0121A16: の夢の中の果報すらかなふべからざる機なれども。
Z09_0121A17: 佛の本願に乘じぬれば。往生せん事更に一念の疑も
Z09_0121B01: 有べからず。巨石も船に置きぬれば萬里の海を渡る
Z09_0121B02: たとへ。法に准へて(さとり)ぬべし。無窮の生死を苦しくす
Z09_0121B03: ぐせる事。只此法に値はざるが故なり。道鏡師の釋に
Z09_0121B04: は。生死を出る事の難にはあらず。此法に値ふことの
Z09_0121B05: 難きなりといへり。禪林寺は。このたび生死を出べか
Z09_0121B06: らざる人は此法に値ふべからず。知べし。今此法に値
Z09_0121B07: ふて信を發す人は。必ず順次に生死を離るべき也と
Z09_0121B08: の給へり。げに六の道いくめぐりしてか。此不思議の
Z09_0121B09: 本願に値ふ事を得たるやと。悅ても又悅べきなり。
Z09_0121B10: 問。此信心具したる人をば。いか※して知るべきや。
Z09_0121B11: 答。本願の文には信樂といひ。願成就のことばには。信
Z09_0121B12: 心歡喜踊躍と說けり。さればこの心を具したらむ人
Z09_0121B13: は。此法に値ひて必生死を離るべしと思ひつ※けて。
Z09_0121B14: 喜ぶ心の發るべきなり。信樂といふは。本願の心を愛
Z09_0121B15: 樂し。念佛の行を樂欲するなり。信心歡喜といふも。か
Z09_0121B16: 〻る拙き身の此本願に値ふて往生をとぐべき事を思
Z09_0121B17: ひ知て。必悅べきなり是を信心具したる人の相とい

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