浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0119A01: | 佛の本願也。此本願に遇ふ事は只此度のみ也。ふかく |
Z09_0119A02: | 超世の佛恩を思ひしらずば有べからず。 |
Z09_0119A03: | 念佛三心 |
Z09_0119A04: | 夫れ三心と云は。西方の指南。往生の妙術也。稱名の行 |
Z09_0119A05: | 人。先ずこれを要とししるべし。その三とは。一には至 |
Z09_0119A06: | 誠心。至と云は眞なり。誠と云は。實なりと釋して。至を |
Z09_0119A07: | も誠をもまこと〻よむべしと見えたり。されば眞實 |
Z09_0119A08: | 心の三の文字をば。實と讀むべきなり。內心外相調れ |
Z09_0119A09: | る心なり。若し穢土の厭はしからぬを。厭ふよしをい |
Z09_0119A10: | ひ。淨土の願はしからぬを。願ふ氣色をするを虛假と |
Z09_0119A11: | きらふ也。さればまことの心にて穢土をも厭ひ。淨土 |
Z09_0119A12: | をも願ふを至誠心とは云ふなり。問。凡夫の習ひ僞 |
Z09_0119A13: | りは多く。實は少し。いか※念佛のたびに此心を發す |
Z09_0119A14: | べきや。答。誰かいふ。念ごとに此心を發すべしとは。 |
Z09_0119A15: | 只是意樂を云ふなり。一たび此心を發しぬれば。其後 |
Z09_0119A16: | の行は。思ひいる〻にもあれ。思ひ入ざるにもあれ。皆 |
Z09_0119A17: | まことの往生の業なるべき也。爰に三つのたとへあるべし問。もと實 |
Z09_0119A18: | の心を具したる人。時として名利の心にて經をもよ |
Z09_0119B01: | み。念佛をも申さむ。此業は虛假の善にて徒ものにて |
Z09_0119B02: | 有べきか。答。もと實の心有る人は。時として虛假 |
Z09_0119B03: | の心を發すといへども。後に實の心を發してとりか |
Z09_0119B04: | へして廻向すれば。其業必ず往生の業となるなり。只 |
Z09_0119B05: | いかにもして意樂を眞實にもつべき也。凡夫の習ひ |
Z09_0119B06: | 緣に値ては。とある心もか〻る心も發るなり。されど |
Z09_0119B07: | も意樂だにもよければ其業皆往生の業となるなり。 |
Z09_0119B08: | 問。或人至誠心と云は勇猛强盛の心を云ふ。淺き實は |
Z09_0119B09: | 至誠心には非ずといふ。此義いかん。答。ひがごとな |
Z09_0119B10: | り。機類多ければ。發す所の實に深き淺き有べし。只僞 |
Z09_0119B11: | はらずかざらぬを至誠心とは云べきなり。上々の機 |
Z09_0119B12: | の中には。さる心を發す者も希に有べけどれも。中下 |
Z09_0119B13: | の人には思ひ寄るべからず。されば往生する者はき |
Z09_0119B14: | はめてすくなかるべき也。豈末世相應の法といはん |
Z09_0119B15: | や。譬へば三人の賓客あらんに。一人をば心の中には |
Z09_0119B16: | 〻やかへれかしと思へども。口には色代してしばし |
Z09_0119B17: | とまれといふ。是をば僞と云べし。一人をば。深からね |
Z09_0119B18: | ども心の中にもと※まれかし。何となき昔物語をも |