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Z0500 浄土要略抄 然空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0118A01: てもかくても此身には。思ひ煩ふ事ぞなきと。三には
Z09_0118A02: 中機。隨分に厭欣の心有りといへども忽に死ぬべし
Z09_0118A03: なんど聞く時は。きもつぶれて命をおしむ心不圖發
Z09_0118A04: るべし。是れ無始より習へる思ひ。常の凡夫の心なり
Z09_0118A05: 然ども次の念に思ひかへして。惜むべからざる理に
Z09_0118A06: おちいて。後更に驚ず。一筋に思ひ定る也。四には下機。
Z09_0118A07: 道理に依ては厭欣の心を發すといへども。水に畫が
Z09_0118A08: くがごとくして。や〻もすれば理をもうしなひて。(あはれ)
Z09_0118A09: つゐに行道だにもげになかりせば。さらぬ別をなど
Z09_0118A10: かなげかんやと思はれ侍りて。きたなき心のみぞ常
Z09_0118A11: なる。然どもさすがに又惜むともと※まりはつまじ
Z09_0118A12: ければ。思ひ押て往生を願ひ本願の不思議を賴みて。
Z09_0118A13: 念佛の功をつむ。此人正しく病おもく死いたらむ時。
Z09_0118A14: 念佛の力佛の御たすけにて。娑婆の執心漸く忘れ。淨
Z09_0118A15: 土の願念屢をこるべし。或は又うるはしく佛を見て
Z09_0118A16: 後妄念ながくやみて。正念忽にうるも有べし。慈悲加
Z09_0118A17: 祐令心不亂の佛の御契は。人に隨ひていづれにも有
Z09_0118B01: べし疑ふべかず今しばらく。四の機をいだす。こまかには。かきつくしがたし。問。厭欣と
Z09_0118B02: 三心とは同じきかや。答。三心には必ず厭欣有べし。
Z09_0118B03: 厭欣はやがて三心にはあらず。三心と云は行に就て
Z09_0118B04: 本願を信じて發るべき也。厭欣はしかあらざれども
Z09_0118B05: 又有べし。夫れ人界に生る〻事難し。たとひ人界に生
Z09_0118B06: るといへども。南洲に生る〻事難し。縱ひ南洲に生る
Z09_0118B07: といへども佛法に値ふ事難し。縱ひ佛法に値ふとい
Z09_0118B08: へども。彌陀の本願に遇ふ事極て難し。縱ひ本願に遇
Z09_0118B09: といへども。うるはしく是をきく事難きか中に轉た
Z09_0118B10: 更に難し。今適是等の緣を具せり。知べし生死を出て。
Z09_0118B11: 淨土に入む事正に此時也。靜に案じ思ふに。天台花嚴
Z09_0118B12: の妙なる敎へ。眞言佛心の深き傳へ。此法に遇ふとい
Z09_0118B13: へども機をはかり身をしるには。遠き結緣をば實に
Z09_0118B14: 悅ぶべしといへども。近き得益のうすからむ事は。あ
Z09_0118B15: だかもあはぬ歎に似たらむか。是れ彼法のおろかな
Z09_0118B16: るには非ず。只此身の拙きゆへなり。しかるをかく拙
Z09_0118B17: くつみあるをもすてじと。慈み給ふはひとり阿彌陀

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