浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
Z09_0117A01: | 目にみち耳にみてり。親きも疎きもなき數のみ多く |
Z09_0117A02: | なりゆくを。さのみやは人の上に聞きすぐして。つれ |
Z09_0117A03: | なくも老はつべき。か〻る急務は驚き思はずば有べ |
Z09_0117A04: | からず。止觀には無常の刹鬼は豪賢をもえらばず。奪 |
Z09_0117A05: | 精の猛鬼は貴賤をも論ぜず。深く此理を知て。眠ると |
Z09_0117A06: | もむしろをやすくせず。食すとも哺をあまくせざれ |
Z09_0117A07: | とあるをや。次に欣求淨土といふは。自利々他の二の |
Z09_0117A08: | 大益をしるべし。自利と云は。思ふべし。しらずいくめ |
Z09_0117A09: | ぐりの生死にか苦を受け愁に沈みし。然に念佛の。願 |
Z09_0117A10: | 力の不思議によりて淨土に生れなば。〓身にも心にも |
Z09_0117A11: | 歎き悲みし業をはなれ。目にも耳にも悅び樂む事の |
Z09_0117A12: | み有べきなりと。利他と云は。思ふべし。爰にしては志 |
Z09_0117A13: | 深く思ひ淺からぬ人をも。恣に慈み孚む事なし。〓只徒 |
Z09_0117A14: | に愚なるあらましのみにて。いと※生死にめぐる業 |
Z09_0117A15: | 因を蓄ふ。況や我に恩深き人。我故に多く惡道に沈み |
Z09_0117A16: | て苦患をうく。いか※是を悲まざらむ。淨土に生れな |
Z09_0117A17: | ば心の儘に慈み濟ふべし。謂く宿命智とて宿を悟る |
Z09_0117B01: | 心を得て。其人を知り。天眼通とて。隔にもさへられず。 |
Z09_0117B02: | 遠く見る眼有て。其の在所を見。天耳通とていか程遙 |
Z09_0117B03: | なる聲をも聞く耳を備へて其聲をき〻。他心智とて |
Z09_0117B04: | いはぬ人の心をもしる悟有て。其心に契ひ。神境通と |
Z09_0117B05: | て。無邊の世界へも。一念の間に飛び行く德を具して |
Z09_0117B06: | 其所に行て彼を哀みこれを救ふべき也と。此等の利 |
Z09_0117B07: | 益いか※ねがはざるべき。されば此度いかにも〱 |
Z09_0117B08: | 往生を遂げむと思ふべき也。問。厭欣に淺深あるべ |
Z09_0117B09: | しや。答。機類多ければ其心一にあらざるべし。謂く |
Z09_0117B10: | 一には上々の機。穢土をいとひ淨土を欣ふ心深く。往 |
Z09_0117B11: | 生を急ぐ思ひたへず。報命に任する事を心もとなく |
Z09_0117B12: | して。身を忽に捨つ。大師の在世に身を高嶺に投げ命 |
Z09_0117B13: | を深泉に捨る者。百餘人に及べりといふがごとし。二 |
Z09_0117B14: | には上機。厭欣の心深しといへども。いけるをも悲ま |
Z09_0117B15: | ず。又死するをも歎かず。只畢命爲期の敎をまもる。 |
Z09_0117B16: | 彼の吉水上人の禪勝聖にのたまひしがごとし。いけ |
Z09_0117B17: | らば念佛の功をつもり。しなば淨土へまいりなん。と |