浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0116A01: | 淨土要略抄於先師禮阿上人法語中略出 |
Z09_0116A02: | 厭穢欣淨第一 念佛三心第二 |
Z09_0116A03: | 自力他力第三 止惡用心第四 |
Z09_0116A04: | 來迎引接第五 |
Z09_0116A05: | 厭離穢土欣求淨土 |
Z09_0116A06: | 夫れ厭ひても猶いとふべきは三界の炎の宅。欣びて |
Z09_0116A07: | も又ねがふべきは九品の花の臺なり。先ず厭穢とい |
Z09_0116A08: | ふは。是に餘の事有べけれども。今三を出さば。一には |
Z09_0116A09: | 苦。二には空。三には無常なり。一には苦と云は。摠て |
Z09_0116A10: | 人天有爲の界には。實の樂といふ事はなきなり。至る |
Z09_0116A11: | 處には餘の樂なし。た※愁歎の聲のみをきくといへ |
Z09_0116A12: | る是也。縱ひ惑の心の中に苦を樂と思へる。此樂すら |
Z09_0116A13: | 猶久しからず。電光のごとく須臾にすて〻三途に入 |
Z09_0116A14: | り。長時に苦みを受く。いか※是を貪りて厭ふ心なか |
Z09_0116A15: | るべきや。二には空といふは。此諸の事は皆夢のごとし |
Z09_0116A16: | と思ひしりて。何事も强にしみ深き心有べからず。古 |
Z09_0116B01: | 人の語に。夢なりといへども。其事に臨む時は恰も覺 |
Z09_0116B02: | のごとし。覺なりといへども。過ぎさりぬれば又夢の |
Z09_0116B03: | ごとし。誰か心あらん人が夢と覺とにおいて强に異 |
Z09_0116B04: | なりとあらそはむや。といへり。げにぬる夜の夢の中 |
Z09_0116B05: | は。はかなく化なれども。其事に臨み其人に向ふ時は |
Z09_0116B06: | うれしさもかなしさも。露もさむるうつ〻にかはら |
Z09_0116B07: | ざるをや。又目を塞ぎていにしへを思へばた※うつ |
Z09_0116B08: | 〻といふ名ばかりこそは有けれ。すべて夢にかはる |
Z09_0116B09: | 處なし。されば悅も恨も。一ねむりの夢なりけりと思 |
Z09_0116B10: | ひしりて。此世の事に心を止むまじき也。未レ得二眞覺一 |
Z09_0116B11: | 常ニ處二夢中一と佛は敎へ給へり。三には無常のすみや |
Z09_0116B12: | かなる事を思ひしるべし。夫れ一切の事はまぬがる |
Z09_0116B13: | 〻事有といへども。無常の一事はすべてまぬがる〻 |
Z09_0116B14: | ものなりとこそあめれ。只よろづにうたてある心の |
Z09_0116B15: | 發る事は。無常の速なる事をげに〱しく思ひいれ |
Z09_0116B16: | ぬが故なり。たとひ必ず百年のよはひをおくるとも。 |
Z09_0116B17: | 猶ありへては又の歎きのいか※なからむ。況や無常 |