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Z0500 浄土要略抄 然空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0116A01: 淨土要略抄於先師禮阿上人法語中略出
Z09_0116A02: 厭穢欣淨第一 念佛三心第二
Z09_0116A03: 自力他力第三 止惡用心第四
Z09_0116A04: 來迎引接第五
Z09_0116A05: 厭離穢土欣求淨土
Z09_0116A06: 夫れ厭ひても猶いとふべきは三界の炎の宅。欣びて
Z09_0116A07: も又ねがふべきは九品の花の(うてな)なり。先ず厭穢とい
Z09_0116A08: ふは。是に(あまた)の事有べけれども。今三を出さば。一には
Z09_0116A09: 苦。二には空。三には無常なり。一には苦と云は。摠て
Z09_0116A10: 人天有爲の界には。實の樂といふ事はなきなり。至る
Z09_0116A11: 處には餘の樂なし。た※愁歎の聲のみをきくといへ
Z09_0116A12: る是也。縱ひ(まよひ)の心の中に苦を樂と思へる。此樂すら
Z09_0116A13: 猶久しからず。電光のごとく須臾にすて〻三途に入
Z09_0116A14: り。長時に苦みを受く。いか※是を貪りて厭ふ心なか
Z09_0116A15: るべきや。二には空といふは。此諸の事は皆夢のごとし
Z09_0116A16: と思ひしりて。何事も(あながち)にしみ深き心有べからず。古
Z09_0116B01: 人の語に。夢なりといへども。其()に臨む時は恰も(うつ〻)
Z09_0116B02: のごとし。覺なりといへども。過ぎさりぬれば又夢の
Z09_0116B03: ごとし。誰か心あらん人が夢と覺とにおいて强に異
Z09_0116B04: なりとあらそはむや。といへり。げにぬる夜の夢の中
Z09_0116B05: は。はかなく(あだ)なれども。其事に臨み其人に向ふ時は
Z09_0116B06: うれしさもかなしさも。露もさむるうつ〻にかはら
Z09_0116B07: ざるをや。又目を塞ぎていにしへを思へばた※うつ
Z09_0116B08: 〻といふ名ばかりこそは有けれ。すべて夢にかはる
Z09_0116B09: 處なし。されば悅も恨も。一ねむりの夢なりけりと思
Z09_0116B10: ひしりて。此世の事に心を止むまじき也。未眞覺
Z09_0116B11: 夢中と佛は敎へ給へり。三には無常のすみや
Z09_0116B12: かなる事を思ひしるべし。夫れ一切の事はまぬがる
Z09_0116B13: 〻事有といへども。無常の一事はすべてまぬがる〻
Z09_0116B14: ものなりとこそあめれ。只よろづにうたてある心の
Z09_0116B15: 發る事は。無常の速なる事をげに〱しく思ひいれ
Z09_0116B16: ぬが故なり。たとひ必ず百年のよはひをおくるとも。
Z09_0116B17: 猶ありへては又の歎きのいか※なからむ。況や無常

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